その77、こちらの毒蜂・あちらの大蜘蛛
ヒロインゆみかのマスコットキャラがいるなあと思う今日この頃。
と、巨大スズメバチが現れると同時に最猛勝の数が増えた?
スズメバチがガチガチ顎を鳴らすのに合わせ、最猛勝は突っ込んでくる。
「あいつを抑えろ!」
私は鳥型ツールに命令を出した。
すぐさま、金属の猛禽が黒い蜂に飛びかかっていく。
空中で何度も激突しあうが、拮抗している様子。
蜂の顎も毒針も鳥型ツールには効かない。
だが、鳥型ツールもなかなか敵を捕まえられないようだ。
接近すれば逃げられ、追えばかわされる。
どうやら、スズメバチは回避に特化したタイプらしいな……。
しかし、ボヤッと見てもいられない。
最猛勝はどんどん増えていき、減ることがなかった。
どうなっている……。
私はもう一度、広域で探知魔法を使ってみる。
すると、瓦解した建物跡らしいものがヘルメット内に映った。
そこから最猛勝はわんさか飛び立ち続けているのだ。
接近して調べてみたいが、敵が多すぎる。
こうなったら、別の応援を呼ぶしかない。ないのだが……。
<松上くん……! 緊急事態なんだけど……!?>
<わかってます。しかし、こちらも……>
<こちらも?>
<うちの所有している土地に、土蜘蛛が出てきたんですよ>
映るのは、巨大な虎に似た獣の頭を持つ巨大蜘蛛。
そのサイズは、まるで怪獣だ。
<人を喰う極めて凶暴なヤツなので、放置できんのです。警察も自衛隊も後手後手にまわっているばかりのようですから――>
<わかった……。こっちはこっちで何とかする!>
まさか、こんな時に同時出現か……。いや、あっちは妖怪のみだが。
大型と小型種の大群。どっちがマシか。
私は考えながら、最猛勝を打ち落とし続けるが、まったく終わりがない。
ゆみかもかなり疲労しているようだし、警官も数が足りないのは丸わかり。
田中くんは……まだ戦えるかどうかもわからん。
くそっ。普段偉そうにしている女の魔法使いどもは何してる!?
……いても、多分役に立たないか。
その時だった。
私の頭にふと思い浮かんだことがある。
馬鹿らしいとは思ったが、この場では藁にもすがりたい気持ちだった。
「山田あああああああ!!」
私は周辺の最猛勝を吹き飛ばすと、空に向かって叫んだ。
「もしも見ているのなら、力を貸せ!! お前も魔法使いの端くれなら――」
私は呼んだのは、あのカマキリを連れた山田青年だった。
まったく無意味だな、とは思う。
けれど、何故かあのカマキリパーカーがそこまで悪質な人間だとは思えなかったのだ。
それは田中くんの彼への対応を見たからかもしれぬ。
田中くんは、彼をきらいも軽蔑もしてないようだったから。
……それがなんだ?
自嘲しながら、私は怪しい場所を目指して飛ぶ。
空には最猛勝でいっぱいだ。
妖怪の攻撃は魔法使いのものほど軽減できない。
このスーツも、どこまで防御してくれるものやら。
だが、元を絶たねばジリ貧なのである。
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