その70、田中の近所の引きこもり
70回目に達しました。これも応援のおかげです。
一体どれくらいの数がいるんだか……。
私は少し気になって、少々レベル高めの探知魔法を使ってみる。
「……!?」
なんじゃ、こりゃ!?
丸いレーダー画面には、妖怪の反応でいっぱいだ。
ある一か所を中心に、ものすごい数の妖怪が密集している……。
「やっぱり、多いんだ……」
結果を見たゆみかは感心したように言ってくるが――
多いんだ、じゃねーよ。
これはどう考えても異常だ。
「ちょっと。この地点にあるのって、どんな家なの!?」
私は簡単な地図を作って、田中くんに聞いてみる。
「さあ? 近所の、普通の家だと思うけど」
「フツーね……」
そうじゃないから、こんなことになっているんだけど。
嫌な予感がするが、気になるのはしょうがない。
私は松上少年に連絡を入れてから、そこへ向かってみた。
パッと見、妖怪はいない。
だが、それは表面だけであちこちにその気配がある。
よくこんな環境でいられるもんだ。
さて……問題の家は、と。
「出てこないと、施設に強制収容しますからね!!」
む?
その家で、何やら怒鳴り声が響いてくるではないか。
「なに?」
「えーと、そういえば、あの家じゃ引きこもりの息子がいるとか……」
田中くんが答えてくれる。
「引きこもり?」
「俺もよく知らんですけど、喧嘩とか怪我でそうなったらしいです」
「知り合い?」
「ガキの頃はけっこう遊んでもらったこともあったかなー」
「ふむ。息子ね……」
もしかすると、魔法使いの候補だろうか?
魔法の力は悪くすると、こういうことを引き起こす危険性もあるらしい。
「明日中に出てこないと、力ずくで引きずり出しますからね!!」
怒鳴りながら、家から公務員風の女が出てくる。
女はプリプリしながら、私たちとすれ違う。
そいつが見えなくなってから、
「あれ、何か知ってる?」
「何か引きこもりを支援だかしてる市役所の人じゃないっすか」
「支援してるようには見えないけど」
どっちかと言えば、強制退去させたがっているように見えた。
その時、私はゾッとするものを背筋に感じる。
これは……魔女狩りの反応。
ハッとすると、私たちの真上を巨大な虫みたいなやつが飛んでいく。
もう変化した後か!?
巨大虫は、さっきの市役所員だかの後を追っていったようだ。
まさか、あの女が狙いか。
やがて、すぐ近くで魔法の閃光が輝いた。
そういえば、ヒロインゆみかもいたんだっけ?
しょうがない。私は脇道に行くと、素早く変身――!!
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