その62、見学の途中で起きたことは
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「家鳴なんか追いかけてどうするんだか……」
やたら一生懸命な二人に、私は苦笑しかける。
「だけど、大群になると危険だって話だし」
私に対して、ゆみかはちょっと不服そうに反論する。
まあ、確かにもっともな意見ではあるのだ。
こんな雑魚でも放置し続ければ群れを成し、やがては大きな災害を引き起こす。
魔法がなければ、厄介な相手ではあろう。
しかし、初期から中期の家鳴は、Eでも準備をすれば、Dになれば確実に駆除できる。
そんな程度の妖怪なのだ。
まして、ここは魔法学校。
そのへんの防備や備えも完璧で、定期的に警備員が駆除して回るので心配ない。
「警備員のお仕事でしょ?」
「最近は警備員さんだって忙しいでしょ」
また反論するゆみか。これもごもっとも。
確かにまあ、初期からモンスターを駆除しておけば後で楽になる。
災害になる危険性も大きく減らせるだろう。
しかし、今の世の中では全く切りのないことでもあるのだ。
妖怪なんて、いくらでもわいてくる。
「まあ、どうぞご自由に……」
私はヒロインたちから離れ、体育館へと足を運んだ。
通常のものより天井の高い我が校の体育館。
伊達に名のある魔法学校ではない。
FAが生まれた時、即座に部ができたという。
見上げると、空中で部員たちが上に下になって格闘中。
何しろ空中が舞台の格闘技だから、動きは多種多様で変幻自在。
慣れないと見ているほうが目が回ってしまう。
「見学? 入部希望?」
私を目ざとく見つけて、部員がやってきた。
「おはようございます。少し見学させてくれます?」
「ああ、あなた新入生の」
挨拶すると、部員はちょっと嬉しそうな顔をした。
「刃光院さんだっけ?」
「ええ」
「へえ。有望株だって聞いてるよ。うちに来てくれると嬉しいんだけど」
「ごめんなさい。家の事情で部活動は……」
「あ、そうなんだ。残念」
家のことを出すと、部員は納得したような顔。
うちのネームバリューも変なところで役に立つな。
そう思っていると――
ミシリ……。
いきなり、体育館が不自然に揺れた。
まさか、家鳴か? いや、あの程度の数で……。
私が天井を見上げていると、突如として天井が崩れ落ちた。
「な、なに!?」
「地震……!?」
FA部員たちは空中で逃げまどい、パニックになりだした。
しかし、うちの学校、校舎も設備も防災は完璧だという。
生中の地震でこうなるはずがない。
と、すると?
ズン……と体育館が揺れ、床に衝撃がが走って、ひびが入る。
しかし、何も見えない。というか、これはあの――……。
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