その61、魔法少女はモンスターを追う
本日2回更新予定。
母に言った通り、私は翌日問題なく登校した。
普通の少女ならば、相応のショックを受けていなければおかしい。
しかし、私は普通ではないのだ。
前世の享年はアラサーだったし、今生を入れれば一体いくつになるだろうか。
おまけに自分でもわけのわからん変身ヒーローをやっている。
あれしきのことでオタオタしてはいられないのだ。
学校に向かう車中、スマホでSNSなどを見ていると――
先日行方不明になった大学生の話題が出ていた。
この近辺の大学だが南条とは別のもの。
少し気になりその大学生について検索してみると……。
うちの学校は違うが、魔法系高校の出身らしかった。
大学に上がってからはやめているが、高校時代はFAをやっていたようだ。
FAか……。
そういえば、魔女狩りに襲われた学生もFA部員だったな。
待てよ……?
私が何か引っかかるものをおぼえた時。
松上少年からメールが来た。
――あなたの学校のFA部について調べるか、接近してほしい。
という要望のメール。
ひょっとして、彼は何かに気づいたのだろうか?
私は妙にはやる気持ちを抱いて学校に着く。
早速FA部を尋ねてみようと思った矢先、
「あっちに反応!」
「急いで、急いで!」
「……」
校門をくぐるなり、グラウンドを忙しそうに横断している女子生徒二人。
坂本ゆみかと、中岡稲見。
何やら簡易の魔法陣を目の前に展開させ、ダッシュしている。
あれは……探知系の魔法か。
ちゃんと道具さえあれば初心者でも使える魔法のはずだ。
もっとも。初心者向けと侮るなかれ。
相応の実力者が使用すれば、かなりの精度でレーダーとなるものだ。
一体何を探しているのか……まあ、関係ないけど。
FA部は確か、体育館で早朝練習しているはずだったな。
私は真っすぐにそちらへ向かっているのだが。
「あ、おはよう」
「何してんのさ」
何故か、同じ方向にゆみかと稲美の二人が。
「……少しFA部に用事があって。で、あなたたちは?」
「えっと、モンスターの駆除です」
「モンスターって……」
「あ、ゆみちゃん、いたよ!」
何言ってんだと私が言いかけると、稲美が先に走り出す。
私も魔法でサーチしてみると、確かにモンスターの反応がある。
だが、魔女狩りのような厄介なものではない。
モンスターがいたのは、体育館の裏手だった。
壁のあちこちに、小さくて不格好な鬼みたいなものが張り付いている。
大きさは、手のひらに乗る程度か。
「家鳴……」
程度の低い騒霊現象を起こす妖怪だ。
魔法時代にはそのへんに確認される雑魚妖怪である。
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