その59、仮面はしつこかった
昨日うっかり更新忘れ……。
「はっ!!」
「がっ…………!!」
私の魔力を込めた一撃に、仮面魔法使いはひっくり返りながら吹っ飛ぶ。
手ごたえは十分。
しかし、舗装された地面を転がった後、相手はすぐに起き上がってくる。
そして刃を振るってくるのだが――
遠距離も近距離も、攻撃パターンは大よそ読めた。
私は余裕をもって回避しながら、足にローキックを決めてやる。
転倒して、まともに頭を打つ蜂仮面。
でも、やっぱりすぐに起き上がってきた。
まさか、ホントにダメージがないのか……?
私は一瞬不安になるが、よく観察すると動きは着実に鈍くなっていた。
反撃は素早いのだけれど、その後徐々に動作に切れがなくなり出す。
ただ、半端な痛みやダメージでは、埒があきそうになかった。
それこそ殺すか、息の根を止めない限りは。
だけども、さすがにそこまでする気もない。
こっちのやる気に対して、向こうは戦意むき出しだった。
攻撃の一つ一つに、明確な殺気がある。
……付き合いきれんな、これ。
私がうんざりしかけた時、
<拘束魔法。呪縛輪>
これでいくか。
私がわざと大きなモーションで、隙を誘うと案の定敵は斬り込んできた。
そこに、きつい一撃を食わして吹っ飛ばす。
死にはしないが、今度は容易に立ち上がれまい。
そこへ拘束魔法を放つ。
無数の魔力リングで相手を縛るシンプルだが、使い勝手がいい魔法。
喰らった蜂仮面は、簀巻きのようになって動けなくなる。
「やれやれ」
やっと帰れるか……。
私は自分の肩を揉みながら、ワープ魔法の準備に入る。
「……待て!!」
動けない蜂仮面が馬鹿でかい声で言ってきた。
「逃げるな……! 逮捕する……!!」
「お断りだ」
私は背を向けて、ワープ魔法陣に入った。
転移したのは、パーティー会場の近く。
そういえば、パーティーの途中だったな。
もう再開はないだろうが、ちょっと様子を見るか。
私は変身を解いてから、もう一度ワープ。
会場のある建物は、すでに警察でいっぱい。
出席者や警備員などが警察と話しているようだった。
もう帰りたいが、さすがにそれはまずいか。
私はワンドを魔法で隠してから、警官の一人に声をかけた。
「すみません、さっき逃げてきたんですけれど……」
「あ、出席者のかた!? こちらでお話を、ケガはありませんか!?」
「大丈夫です。ちょっと混乱しちゃって……」
「無理もないですよ。ともかく、ご無事で何より」
そういうわけで。
私は簡単な事情聴取の後、帰宅を許された。
警備員などはその後も拘束されたようだ。
このことは、すぐさまその夜のニュースとなり、ネットで騒がれるわけだが……。
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