その51、蠢く『せいじてき』な事
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「はああああああ…………」
あれから、一週間がたった。
すなわち私が空中で警察に追いかけまわされてからだが。
「ど、どうしたの、黒羽さん」
「ものすごい疲れてる……」
「あははは……まあねえ……」
まきめとエミリは顔を見合わせながら言ってくる。
メイクで多少誤魔化しているが、目の下に隈ができかけていた。
たかが一週間。されど一週間。
私は目の回るような忙しい日々であるのだ。
まず、常に松上少年との報告連絡相談は欠かせない。
学校の授業の他、自主トレで魔力を、魔法を高めることも欠かせない。
そして。
家のコネに関係するイベントだの、パーティーだのも欠かせない。
これがきつかった。
元々そういうことはしていたが、まだ中学生だった頃はたまにだった。
しかし、今や名門の魔法学校に入ってしまっている。
入学式では新入生代表として挨拶もした。
そして、名のある魔法使いであり、実業家でもある女の娘。
これはもう声をかけてくれと言っているようなものだ。
何故こんなことをせねばならぬのか。
もちろんコネづくりである。
女性魔法使い中心政党こと、通称魔女党。
それに対抗するために、色々やらねばならぬ。
松上少年も色々やっているようだが、如何せんまだ子供。
天才で転生者というアドバンテージがあっても厳しいものあるらしい。
代わりに、そのへんを私に担わされているのだ。
まあ、確かにコネはあるが、私が政治家の先生に、
「ねぇん、協力してぇ?」
と、『ワガママ』言ってどの程度通じるものか。
やれやれ。不安ばかりだ。
「それで、今度は何のパーティーに?」
「大したことじゃないです。お母様のおともで……」
好奇心のエミリに、私は誤魔化す。
実際は、我が家も関係している、警備会社の新しい部隊について……だ。
その関係者のパーティーに顔を出した。
現在与党こと魔女党の政権は、とにかく急いで私こと仮面のヒーローを逮捕する気だ。
まあ、確かにグレイなこともしている。
しかし、それに対抗する動きもある。あるのだ。
「強引な手段ではなく、対話と交渉で協力を仰ぐべきではないか」
「威圧的なやり方は、むしろ問題を悪化させる」
野党からそういう非難も出ている。
もっとも、お飾りの総理はおざなりの回答をするばかり。
「法治国家として」
「国民の安全のためにも多少強引な手段もやむを得ない」
と、カンペ丸出しの答弁だった。
これらは以前になかった動きだが、どうやら前々からのものらしい。
どうやら、松上少年は影から色々と各策を練っていたようだ。
しかし、客観的に見ても女性魔法使い中心の魔女党政権は感情的な動きが多い。
感情的なアレで、色んなものの規制を推し進めてきたものか。
同じ女として、思うことはたくさんあるのだった。
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