その40、松上少年との会話
本日2回目の投稿。
「で。一体いつから、私をストーキングしてたのかな?」
「それは誤解ですな。まあ、いくらか観察はさせてもらいましたけど」
「ふーん。まさか、お風呂なんかのぞいてないでしょうね」
「失敬な。僕ぁ紳士を自認してるんですよ」
「立派な肩書の人間が、色々やばいことって、けっこうあるからさー」
「やれやれ……」
いくらか会話をした後、松上少年は肩をすくめる。
「まさか、噂のダークバードがこんな人物とはね……」
「なにそれ」
「あなたのあだ名ですよ。ネットじゃ普通に通じる」
「闇の鳥ね……。何かはっちゃけた中学生っぽい名前だわ」
「中二病的というのですか? まあ、それはいいですよ。あなたは何故あの黒い怪物と戦っているんです? 社会正義のためですか?」
「いきなり聞くわね……」
私はちょっと苦笑してしまう。
「まあ、ボランティアみたいなものかしら。ほっとくとまずいし」
「いずれ、あの怪物は――」
「大量発生する」
「……ご存じですか」
「何となくそうなるんじゃないかなーってね……」
松上少年の鋭い視線に、私はコーラを飲み干す。
「だから、魔女狩りを倒すために男性魔法使いを探してたんだけどさ」
「魔女狩り……。ふむ、確かにピッタリの名前ですな。まさに魔女の天敵だ」
松上少年は面白そうに目を細め、ベンチに座り直した。
「でも、あれって何なのかまでは知らない。わかるのは女性の魔力は通じないってことぐらいかしら。あなた、知ってる?」
「推測でしかないですがね……」
私の質問に、松上少年は空を見上げた。
「自然発生的なものでしょうが、場合によっては人工的に増やすこともできるかと」
「増やす? まさか、養殖でもするっての?」
「まあ、一般的な交配で増えるものではないけど。そもそも、アレに性別はないし」
「研究済みってことかな」
「まあ、何体か解剖してみた結果ですけど」
「か、解剖ね……」
やっぱり、かなりやばいヤツかもしれない。
私はちょっと引いてしまう。
「問題は対処法ですが、男性魔法使いならば、そうレベルの高くないもので駆除できますよ。ただし……合体融合して変化したものは別ですが」
「殺虫剤みたいなもので一気に殲滅できない?」
「それも研究中ですが、何しろ現代日本ではどこでも発生しうるモノみたいだから」
「発生条件は?」
「ま、簡単に言うと女性の魔法使いばかりの環境です」
「それって……地球上どこでもそうじゃないの!?」
「いかにもその通りです。だから、どこで大量発生してもおかしくない」
「今のところは、出てきたものをしらみつぶしに倒すしかないですけど……。わりかし無為な行為ですなあ」
「無為ね……」
「切りがないですから」
そこまで行った後、松上少年は立ち上がった。
「では、そろそろ塾の時間な失礼しますよ。またご連絡します」
勝手に言って、少年は公園から去っていくのだった……。
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