その38、ストーキングまがいな……
意外な縁で知り合った人物は……?
何故だ……?
このまま、この少年を逃がしてはいけないような気がする……。
とにかく、何ていうか、抗いがたい衝動というか、確信?
「ど、どうかしたのか?」
私が黙っていると、少年はモジモジしだす。
「私は刃光院黒羽って、いいます」
直感に導かれ、私は手を差し出した。
「あ、俺は田中北吉……」
そして、握手しあう私と田中少年。
ビリッと感じるものが、確かにあった。
私と、田中くん。同じ何かを……。
「田中くん、だっけ? 何かSNSとかやってる?」
「え、ああ……」
「良かったら、連絡先を教えてくれないかな?」
私はできるだけ笑顔を意識して、そう言った。
忘れがちだが、私こと黒羽はすごい美少女なのだ。
田中少年はすっかり困惑して、顔を赤らめている。
こうして私は主導権を握り、お互いの連絡先を交換したのだった。
「じゃ、また連絡するから」
私は笑顔で手を振ってから、田中少年と別れた。
そして。
少し離れた後、密かに彼の尾行を開始する。
使えて良かった、ステルス魔法。
その途中、こっそりとワンドを取り出していた。
<魔力探知……ステータス確認>
対象の保有魔力をある程度数値化して、わかりやすく表示できる魔法だ。
それを、田中の背中に向けてこっそり使用。
<潜在魔力:350~500>
と、出た。
「魔力が、ある……? それって」
それは、魔法を使うため――魔法使いになるためには必須の資質だ。
現在、男性にはそれがない、というのが常識だけど……。
……え? これってトンデモない発見なのでは?
私はドキドキしながら、尾行を続ける。
田中少年の家は、郊外のある普通の一般住宅のようだった。
ふむん……。私は家をいくらか確認してから、その場を去る。
とんだことになったけど、今は帰って休もう……。
まきめやエミリともう一度連絡を取りながら、私は帰路についた。
家に帰ると、シャワーを浴びてからベッドに。
そういえば明日は学校なのだ。
けだるい思い出明日の準備をしている途中……だった。
不意にスマホへ着信の報せ。
まきめかエミリかな、と思ったのだが、
「動画?」
どこからか、私のメールへ動画が添付されてきた。
今まで魔女狩り出現を報せてきたものとは、違うようだが……。
何か不吉な気持ちで開いてみると、
「え」
動画は、私が例のヒーローに変身している最中のもの、だった。
――この件について、明日話がしたい。
メールには、そう記されていた。
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