その30、「魔法少女では勝てない」と主人公は忠告する
ちょっとそれらしい展開になってきた回?
「ふう……」
巨大コウモリが完全に消え去ってから、私は息を吐いた。
急いで戻らないとな……。
はあ、身代わりになるロボットみたいなもんでもあれば……。
そんなことを思いつつ、帰ろうとすると――
「あ、あの……!!」
声をかけられ、思わず止まってしまった。
「また、助けてくれてありがとうございました」
……。
振り返ると、リリアンゆみかが誰かを立たせながらこっちを見ている。
立たせているのは……。
どうやら、ここの生徒らしいけど、よくわからんな?
百合関係になるキャラは、うちの学校のはずだし……。
例の当て馬少年も同年代のはず。
ああ、そういえば、ゆみかはここの学校の出身だったっけ。
すると、後輩かな?
アニメではあんまりそのへん、描かれてなかったし……。
「人助けのために学校を飛び出したのか?」
私は声のトーンを落とし、口調を変えて言った。
しかし、そんな心配は無用で。
ヘルメットを通して出る声は、機械的な電子音っぽくなっていた。
ちょっと男みたいでさえある。
「え。あの……」
「あまり賢い行動とは言えないな?」
私は嫌味を込めてそう言ってやる。
「でも……」
「魔法少女――魔法使いだから、それを人のために使いたい、か?」
「……!」
私の声に、ゆみかは驚いて表情を変える。
確か、アニメでは彼女はそういった行動原理で動いていたようだ。
母親への憧れから生じたもの。
自分も母のような偉大な魔法使いになりたい、そのためには……というわけか。
そういや、百合アニメのせいか、原作? では父親って影薄かったな。
我が刃光院家でもそうだけれどさ。
「一つ忠告しておく。他はともかく、あの魔女狩りに手を出すな」
「まじょ……がり?」
「こないだや今日暴れた、鳥みたいなヤツさ。アレは、魔法少女の天敵だ」
「……そんな」
「下手に飛び出してきても、お前が犠牲になるだけだ」
それだけ言って、私は今度こそ空に浮き上がった。
「あの! あなたは、どうしてあいつらをやっつけられたんですか!?」
「――魔女狩りは魔女を狩るのに優れているだけだからな」
「それって、つまり……女性の魔法使いは勝てない?」
「わかったら、今度こそおとなしくしていろ」
言い捨て、私は魔法陣で我が母校へとワープする。
……幸いというのだろうか?
校内はまだわいわいと騒がしく混乱していた。
その隙に、女子トイレからそっと出る。
「あ、やっと出てきた!」
「うお!?」
ただしその前で、エミリに出迎えられてしまったけど……。
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