その23、ヒロインが転校してきてでござるの巻
アニメヒロイン、ついにやってくるの巻。
いや、それはどうだろう。
「うううん……」
私はつい声に出してうなり、机に突っ伏してしまう。
「黒羽さん?」
「大丈夫ー?」
そんな私をまきめとエミリはのぞき込んでくる。
「いえ、大丈夫。少し考え事で……」
私はホホホと笑い、何とか顔を持ち上げた。
「そうですよね……。黒羽さんだって……大変だったから……」
と、何か納得したようなまきめ。
多分、自分と同じくトラウマを食らったと思ってるのかな?
まあ、ある意味そうではあるか。
しかし、グダグダしてて何もできてないなあー。
男性の魔法使いに関しても、何も進展ないし……。
何とか他種族の男性魔法使いとコネを作りたいのだが――
どうも、ヨロシクない。
他種族でも魔法に長けた者は数が少ないようで。
それに、乗り気になってくれる者もいないようだった。
<自分のような魔法使いは、あまり歓迎されにくいんですよねー>
少し伝手のあるエルフとメールしてみたが、返事はこんなもの。
そもそも。
魔法自体が異世界から伝わってきたのに。
……今は、異世界との交流も減っているようだ。
異世界からは、他種族や魔法の他にもモンスターという異形の存在も入ってきた。
魔物。妖怪。悪魔。
だからまあ、敬遠したがる人もいるのはわかるんだけど……。
しかし、魔法自体はすごく広まってるし。
魔法使いとか、魔法少女は社会的にも評価が高い。
何か、歪んでいるというか。
矛盾しているような気がするなあ、これ。
などと、私が悶々と――
いつの間にか、次の授業が始まったようだ。
確か、担任の授業だったはずだなー、と思っていると。
「はーい。みんな、席について」
担任は、見知らぬ生徒を連れて入ってくる。
いや……。違う。
知ってるぞ、この子。知ってるけど。
「途中からになったけど。今日からうちのクラスで一緒に勉強する……」
担任が黒板に名を書いた。
「坂本ゆみかです。よろしく」
遠慮がちに自己紹介したその美少女。
アニメの主人公、リリアンゆみかその人であった。
あー、今日だったんだ……。
私は思い出して、頭を振る。
アニメでも転校生として、この学校にやってくるのだが。
いつの何日とかは、わからなかったしな。
それに、色々とアニメと変わってるから、今さらか。
私が若干不吉な気分で彼女を見るのだった。
自業自得ではあるが、刃光院黒羽は彼女が原因で破滅するようなものだから。
いや、私はそんなことになりたくないし、なる気もない……。
だから、まー、できるだけ関わりたくもないかなーっと、思う。
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