その205、恋するラミアはハッスルする
「何かユズルくんの様子がおかしくなったんですけど……」
またゆみかが相談に来た。
「……どういう風に?」
「何か私を避けてるっていうか、いっつもコソコソしてるっていうか……」
「あー。そりゃフラれたわけだし。顔合わしにくいでしょ?」
「そ、そういうもんですか? 私は、今まで通り友達だって思ってるけど」
「あなたはそうでも、向こうはそう割り切れないってことじゃないの? 小学生からの恋愛に破れたわけだから」
「私、そんなつもりじゃ……」
「あんたの気持ちはともかく、そういうものでしょ。良くも悪くも。恋愛沙汰なんて」
きれいごとばかりじゃあすまないわよ、などと私は知った風に言う。
3次元の恋愛なぞ、全然わからんのに。あはは……。
「どうすれば良かったんでしょう……」
「まあ。それ以上は向こうの問題だし。あんたがどうこう言う問題じゃないわ」
「何もなければいいんですけど」
「ショックで変な女に誑かされたりしてね」
「ええ!?」
ちょいと意地の悪いことを言ってやると、ゆみかはギョッとする。
「そんなこと、あるんでしょうか?」
「だって、あの通りの美少年で、優良物件だしね。傷心につけこむわけじゃないけど、今こそチャンスだって動く子がいたって不思議じゃないでしょう?」
「そっかあ……」
ゆみかは感心したようにうなずくが、私は適当なことを言ってるに過ぎない。
「今は見守るだけ、ですかね」
「そうなんじゃないのう?」
ホントに保護者気取りだなと私は嘆息。こりゃ見込みなかったはずだわ。
っと、そういやあのラミアはどうしたんだろ? 姿が見えない。
まさか、あの美少年を丸のみにしたってわけじゃあるまいが。
と、思ってると、
「おはよーございます!」
窓から妙に機嫌良く入ってきたのは、蛇塚ラブ子だった。
腰を振りながら席に着き、携帯をいじり出す。
……こりゃあ、喰ったかな? あの態度からして。
まあ、ああしてみると美少女だし、一途だし、好かれる男子は果報者と言えるかな。
「何か機嫌良いですね?」
「そうだね……」
ここ最近どこかピリピリしてたのが一転あの調子である。
ゆみかも不思議そうにしてるのだった。
……原因を知ったら、一体どう思うんだろうな?
てなことを思っていると――
またも携帯に連絡が、近くでモンスターが召喚されたので応援を……とのこと。
最近は大型すなわち危険度の高いヤツは真っ先にベルタエルフなどに回される。
おかげでこっちに来るのは中型や小型が中心になってきたのだが、
「よっしゃあああ! 稼ぐぞーーー!!」
ラブ子はガッツポーズを取るなり、変身して飛び出していった。
なるほど、あいつらには相応の報酬が出るから張り切りるのか……。
あるいは、向こう柄の応援要請は、のモンスターかもしれないな。
恋人……? ができたんで、ガッツを出しているのか……。
「あ、じゃあ私も行きますね」
先にゆみかが出ていったので、私も仕方なく行くことにした。
また何ぞなければいいのだがなあ……。こればっかりはどうも……。
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