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その202、サキュバスの商品と謝罪と


 とにかく。まあ飢えたサキュバスたちは積極的に活動したようだ。


 あちこちでサキュバスに捕まった男性を見かける、見かける。



 しかし、ま。


 それはある意味で助かっていると言えなくもない。



 何しろ強力な魔族がボディーガードになっているようなものである。


 1人の男性に、2、3人のサキュバスがくっついていることもけっこうあった。



 ある程度平和にすんでいるのは、サキュバスの好みがけっこうわかれているせいだろう。


 典型的な『イケメン』を好むタイプは案外多くないようだった。



 基本雑食性だが、その中でも好みが細分化していたりする。


 オタク系やいわゆる陰キャの男性を好むもの、マッチョや肥満体。あるいは老年とか。



 こんなのが蔓延れば、性病なんぞも心配……というのは、前世のことである。



 最初期にサキュバスが地球に持ち込んだのは、性病の治療薬と防止用の護符。


 治療薬は副作用ありだが、効果てきめんで安価。



 護符は、部屋や建物に設置しておけば最低一か月は、中での性病や妊娠をカット。


 これによって、多くのサキュバスはかなり儲けたらしい。



 またサキュバス自体はそういった病気を振りまくことはないのだ。


 実質的に、人間よりもずっとずっと清潔な生物なのである。



 で、これも私が誤解していたし、世間での誤解も激しいが。


 サキュバスが人間の男性を搾り取ってミイラにしてしまうようなパターンは少ない。



 相手の生命力を魔力に変換して奪い取る魔法――エナジードレイン。


 サキュバスが得意として攻撃によく使うので、誤解されているけど……。



「基本、サキュバスは好意を持った相手から精気を吸うんだ」



 ただし、その行為がかなり自分本位だったりすることもあるが――


 ヅカテ氏はこう説明してくれた。



 またサキュバスは精力を増進させるポーションや回復魔法にも長けている。


 これらも大変な需要で大いに彼女らを儲けさせた。


 どうやら、男性にとっては切実な問題らしい。



 ポーションでも特に売れ筋で人気があったのは『ファットイーター』なるタイプ。


 訳せば、脂肪を喰うもの――か。



 体脂肪を燃焼させて精力増進させるというもので、ダイエット薬ともなった。


 特に肥満に悩む現代人には需要のありまくるものだったろう。



 勢力の衰えと肥満。


 中年男性の悩みを直撃する売れ筋商品だった。


 ただし、乱用すると下半身はギンギンでも全身ガリガリになる危険も。



 これはむしろ女性のほうがよくあったそうだ。


 手軽な痩せ薬だと誤解してえらいことになったらしい。



 魔女党政権下では、色々制限されたものでもあった。


 現在では、効果を緩めた廉価品がこれまた売れているようだ。



 まあ、それはともかく……。



「ごめんなさい」



 私はとりあえず田中くんに土下座しておくことにした。



「あの……」


「君を男娼みたいに扱ってしまった。きっと不愉快で嫌な思いをしたでしょう」


「えーと……」



 顔を伏せているので顔は見えないが、狼狽うろたえているのがよくわかる。



「この通り、ごめんなさい。謝罪します」


「あの……。スイマセン、大丈夫っすから……」


「ホントに?」


「えーと、はい……」



 顔を上げてみると、田中くんは何とも困った顔で目をそらしていた。


 どうやら、満更でもない。どこか、かなり満足してしまったらしい。……やっぱりね。






その202、サキュバスの商品と謝罪と

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