その200、身代わりに差し出す田中クン
200回に到達しました。話をどうまとめようかと思案中……。
このまま、知らん顔をしていくか?
しかし、後で問題になっても困るしな……。
あいつがどうなろうと知ったことじゃないけど、ゆみかに影響あるとまずい。
打算的だが、彼女がメンタルでいらんダメージを喰らうのはよろしくないのだ。
いや、しかし……。
私は結論を出せずに、しばし悶々と考え込んでいた。
そうするうちに、
「僕はそういうのじゃないんで!!」
ユズルは火がついたように駆け出していく。
サキュバスの誘惑を跳ね返すとは……。うーむ、なかなかやるな。
すると、サキュバスの尻尾がスルスルと伸びてユズルの胴体に絡みつく。
「そう邪険にすんなよ。楽しませてやるからさ……」
サキュバスは女の私でもゾクッとなるような蠱惑的な笑みを浮かべる。
まずいな……。こりゃほっとくと、道端でおっぱじめかねない。
しかし、食事の邪魔をされるとあっちはかなり切れるかもしれんな……。
正直サキュバスとまともにやり合うなんて事態は避けたい。
どうする……???
って、グズグズしている間に、ズボンを脱がしかかってる?
あかんわ。これは。
「ちょーっと、待った!」
私はついに割り込んでいってしまった。……いってしまったのだ。
「あン?」
「その子に手を出すのは、カンベンしていただけないかしら?」
私はできるだけ上品につくろって、サキュバスと対峙した。
「あんたは……ブレードの関係者か?」
どうやら、多少私のことを知っているらしい。凶と出るか、吉と出るか。
「ええ。多少縁があるということで、ここでの食事は諦めてくれませんか?」
「悪いけど、それはできないね。こっちは男が少ないせいで飢えてんだ」
「そうでしょうけど、それでもあえて、お願いします」
「冗談じゃない、最近は競争激しくってなかなか喰えないんだぜ?」
「……つまり、食べらればなんでもいいと?」
「まあ、多少アタシの好みと違うけど、若くていきのいいのは久々だ」
「男子高校生はいっぱいいるのに?」
「だから、競争激しいんだって、目ぼしいのはみんな唾付きさ」
「つまり、他のサキュバスの手がついてないなら、いいと」
「他にいるってのかい?」
「……あえて、聞きますが、あなたの好みって?」
「そりゃ、いきがよくって元気なやつさ。贅沢言えばこいつよかもっと骨太なやつな」
と、サキュバスはユズルを捕まえたまま勝手なご意見。
「わかりました」
私は携帯を取り出すと、田中くんに電話をかけた。
「今、時間ある?」
<はあ、大丈夫ですが>
「すぐに迎えに行くから――」
私はワープ魔法で田中くんを捕まえてくると、サキュバスの前に押し出す。
「彼が代理で、どうでしょう」
「え? え?」
理解の追いついてない田中くんを、サキュバスは上から下までジロジロと見つめる。
「いいねえ……! ガッチリと肉付きがあって精気にあふれてて……。今時少ないぜ」
と、ユズルを解放して、代わりに田中くんを尻尾で巻くのだった。
「ちょ、ちょっと!? どういうことですか!?」
「ごめん。ちょっと、彼女の相手して? 経験あるし、大丈夫でしょ?」
「え、まさか……」
「うん。そういうことだから。ごめんね?」
私は相手の気の変わらないうちに、ユズルを捕まえてその場を離れる。
それから、適当な場所にユズルをおいて……帰宅した。
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