その2、記憶をたどれ! 破滅回避のそのために
女性しか魔法使いになれないでござる
(人間の場合は)
OK、OK。まずは現状の確認から始めよう。
と――私は教室の席で頭を抱えていた。
携帯していた手鏡で、自分の顔を確認。
癖のない真っ黒な長い髪。切れ長で赤い色の瞳。広めのおでこ。
誰もが認めるような美少女が、この世の終わりみたいな顔をしていた。
刃光院黒羽。
漫画みてえな名前だが、ここはアニメの世界だったな。
『魔法少女リリアンゆみか』に出てくる、一応魔法少女の一人だ。
一応というのは、こやつ、ヒロインの仲間とか友達ではない。
役どころで言ったら、ほとんど悪役令嬢である。
金持ちで成績優秀でおまけに美少女。
だが、ヒロインの幼馴染の少年に興味を抱き、ちょっかいをかける。
しかし、ヒロイン一筋な幼馴染はなびかないので、これにブチギレ。
ヒロインにさんざん意地悪をするが、ラストで逆襲を食らう。
学校を退学になり家は破産。
その上、敵の襲来時にその他大勢もろとも惨殺される運命である。
……ああ、黒羽の最後はマジで救いがなく、思い出すだけでゲロ吐きそうだ。
ただまあ、アレである。
その幼馴染の美少年も、所詮当て馬なのだが。
何せ百合アニメの世界である。
ヒロインが他の美少女とイチャついてるのを横目にフェードアウトするのだ。
あいつも劇場版では結局惨死するしな。
そう、悪夢の劇場版――映画だ。
配信時から、それっぽい伏線があったわけだが、魔法少女の天敵が出てくる。
『魔女狩り』。
中世のペスト医師の仮面みたいな顔の、真っ黒な化け物。
魔法少女の力を受けつけないこいつらが、わらわらと出てくるわけだ。
映画では結局一体も倒せずに、魔法少女は全滅する。
この学校も崩壊。
日本もメタくそになってしまうのである。
って……あと、三年もないじゃんか。
下手すれば一年あるかどうかもわからない。
こんな状況で、どうやってアレを回避すればいいのだろうか……。
気づけば、私は頭を机に叩きつけていた。
何か、何かないか?
思い出せ……。何か対抗策のヒントがあるかもしれん……。
そんな風に悶々としているうちに、担任教師が入ってきた。
武市綾子。
体育教師っぽい雰囲気の美女。
少ない出番ながら、けっこう人気のキャラだったっけ。
そんなことを考えている間に、担任は話を進めているようで。
「……というわけで、あなたがたはこれから魔法を学ぶことになるわけですが――」
ああ。そうだ。
この学校は魔法使いを育成するための特殊な学園である……。
「ご存じの通り、魔法とは女性にしか扱えないもので――」
あー。そういや、そんな設定だったなあ。
女しか魔法使いになれないってやつだったっけ。
そんで、色んな分野で女が活躍するようになってるんだった、かな。
ん? 待てよ? 女……?
『あらゆる種族の女の魔法を無力化するものなり――』
この時だった。私の脳裏にごっつい電撃が走ったのは。