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196/301

その196、ヒロインゆみかの大奮戦



 これでだいぶ消耗させたか……?


 だが、私がそう思った矢先、黒い少女はカッと両目を見開いた。



 途端に背中の翼が大きく広がり、魔力の波動が激流のように周囲を吹き飛ばす。


 こいつ、まだこんな余力が……?



 私が両腕を交差させて防いでいると、黒い少女は魔力の槍を持つ。


 それがさらに巨大化して、1メートルほどの刃渡りへと変化した。



 黒い少女が槍を振るうたびに、轟々と凄まじい波動が流れ出し、圧倒してくる。


 ゆみかは明らかに威圧され、腕が縮こまっていた。



 槍を一気に突き刺しでもするかと思えば、黒い少女はゆみかに近づき――


 石突いしづき――つまり刃のついていないほうでゆみかの腹を打った。



 一撃でゆみかは猫型から叩き落され、地面に落下していく。


 猫型も、何かする前に黒い少女に蹴飛ばされた。



 まずい……!!



 私はあわててゆみかを救助に飛ぶが、頭の隅で疑問がよぎる。



 何故、あのまま槍で突かなかった?


 これだけのテロをしたくせに、今さら殺人が嫌だとでも言うのか?


 わからない。



「くっ……!!」



 ゆみかは地面に転がって跳ね起き、またも杖を手に空中へ跳び上がった。


 致命傷ではないが、かなり体を強打していると思うが。



魔弓月クレッセント!!」



 振るわれる杖から、三日月形の魔力が雨あられとなって空中へ飛んでいく。


 それらはまるで意思があるかのように自在に飛び回り、黒い少女を狙った。



 少女は三日月を打ち落とし、払い落とすが、それでもいくつかは被弾。


 一瞬動きが鈍った黒い少女へ、ゆみかは杖を構える。



 高濃度の魔力……何か大技を仕掛けるのか?



魔咆ハウリング……!!!」



 と、猫の手型杖から、螺旋状の巨大な魔力が音を伴って黒い少女を襲った。


 まるで猫が威嚇する声みたいな独特の音だ。



「が……!?」



 それらを喰らった少女は、一瞬痙攣して槍を手から落とした。


 少女の手から離れた槍はそのまま消えて、大気に溶ける。



魔猫目キャッツアイ!!」



 さっきのでもかなり魔力を消耗したのに、ゆみかはさらに大技を繰り出した。


 黒い少女は黄金の、猫の眼に似た魔力の球体に包まれる。



 これは……。



 途端に、少女の前身から一瞬魔力が全て感じなくなった。


 なるほど。強力な破魔法ディスペルか。



 この手のヤツは扱いがけっこう難しく、負担も大きい。


 黒い少女が落下するのと同時に、ゆみかも杖を握ったまま落下。



 落ちるゆみかを、すばやく猫型ツールが背に乗せた。


 とすれば、私はあの黒い少女を何とかするか……。



 やれやれ。まさに主人公な大活躍だったな、ヒロインさんは……。


 私が黒い少女を追おうとした時――



 突如空中に黒い雷鳴のようなものが走った。


 虚空から駆けてくるそれは、巨大な馬の形をしたもの。


 しかも、足は8本もある。あれは……スレイプニルか!?



 地球では北欧神話に登場する神馬だ。


 ダイノヘイムでも、乗り手を選ぶ騎乗獣として知られているという。


 エルフ属でも、乗りこなせるものは少ない暴れ馬だとか。



 そんなものが、一体何故ここに……? そう簡単に召喚や使役できるものじゃない。









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