その195、猫型ツール出動せよ
「黒羽さん、よけて!」
私の前にゆみかが割り込んでくる。
「魔壁!!」
ゆみかは巨大な魔力の壁を出現させ、黒い少女の魔力を防ぐ。
だが、黒い少女は翼をはためかせ……いや!? 広げた翼そのものを壁に叩きつけた。
その瞬間、壁に大きな亀裂が入り、砕け散って霧散していく。
これは……翼というよりも巨大な手のような働きだ。
「魔爪!!」
続いてゆみかは巨大な猫の手を生み出し、それを振るう。
「ふん」
しかし、相手も魔力の槍を生み出して猫の爪を受け止めた。
「邪魔するなら、容赦しない!」
「こんなテロをするなんて……!」
冷たい声の少女に対して、ゆみかは熱い叫びを返した。
「ゲートを壊したら、どれだけの人が危なくなると思うの!!」
怒りに任せて、ゆみかは少女を押していく。
感情の高ぶりと共に魔力がどんどん増幅しているようだ。
「私は自分のするべきことをするだけ……!」
少女はゆみかをいなし、右手をゆみかに向けた。
途端、羽根状の魔力が複数ゆみかへと飛んでいく。
「散弾(ショットガン!!)」
対して、ゆみかも魔力の散弾でそれを打ち払った。
空中で一進一退の攻防が続き、勝負は長引いていく。
「なんともはや……」
私もある程度回復もしたので、何とか加勢したいがなかなか隙がない。
下手に突っ込めば、双方から攻撃されそうな雰囲気だった。
とはいえ、このままほっとくわけにもいかないのである。
私はわずかな隙を突き、黒い少女へ魔力弾を放った。
「くっ!?」
当たったが鎧の防がれてさほどの効果はない。
だが、それでも十分である。
「坂本さん! 猫を」
「……! はい!!」
ゆみかは応え、召喚の魔法陣を展開させた。
そこから、松上少年製の猫型ツールが飛び出してくる。
「使い魔!?」
黒い少女はひるみ、わずかに距離を取る。
その間に、ゆみかはパッと猫型へ飛び乗った。
猫型は一声鳴いて、口からピンク色の魔力を吐き出す。
魔力は黒い少女の周辺を飛び回り、動きを牽制するのだった。
「この……!!」
少女は鬱陶しそうに全身から魔力を放ち、それを吹き飛ばす。
だが、そこに猫型に乗ったゆみかが肉薄した。
「でやあああああああああ!!」
「く!!」
ゆみかが魔爪を振り下ろし、それを受ける少女。
と、猫型はまたも鳴いた。
一瞬気をそらした少女に向かって、猫型は両目から閃光を放つ
あわてて顔をかばう少女へ、猫型はその大きな頭をぶち当てるのだった。
よろめいたところを狙い、ゆみかが魔爪を今度こそヒットさせる。
黒い少女はうめきながら、大きく後退するのだった。
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