その194、補助なしでの全開バトル
私は地面に叩き落されそうなところを、何とか踏ん張る。
そして、スーツの機能をオフにしてヘルメットを投げ捨てた。
魔力増幅も防御機能もなくなるが、余計な抑制もない。
そして、私は魔力を全開にして、飛行魔法で黒い少女に迫った。
相手は次々に矢を放ってくるが、かわせない速度ではない。
私は回避しながら、前面に障壁を展開しつつ突っ込んだ。
「ふん……!」
黒い少女はすぐに槍に切り替え、またも横薙ぎにしてきた。
私はそれもかわして、顎に蹴りを喰らわせる。
相手が怯んだところへ、その首を両足で挟み込んだ。
「ぐ……!」
魔力で強化した筋力で締め上げ、ついでに足から麻痺魔法も打ち込んでやる。
例え即効性はなくても、けっこうな嫌がらせにはなるはずだ。
「おりゃああ!」
そのまま、私は体をひっくり返して相手を投げ飛ばす。
向こうが態勢を整える前に、ワンドからありったけの魔力弾を連射してやった。
黒い少女は魔力の盾を出して防ぐが、そこには爆裂魔法を放つ。
相手は吹っ飛び、私はそこに接近して魔力をまとったパンチや蹴りを食らわしていく。
「が……!」
苦しげにうめくところを捕まえて、後ろに回り、
「せいや!」
空中で投げ落とした。いや、捕まえたまま下に落下させていく。
「……離せ!!」
苦し気にわめく少女を無視して、私はそのまま地面に激突させた。
衝撃がこっちまでくるがダメージというほどでもない。
「……げほ」
もろに脳天をコンクリに叩きつけられた少女はうめき、大の字に転がった。
そこにのしかかるようにして、私は腹へ麻痺魔法を叩きこんだ。
「…………!!」
声にならない声を出して、少女は痙攣して……動かなくなる。
「やった、か……」
私はつぶやき、少し離れてから額をぬぐった。
気づけば、顔からものすごい汗が流れている。
わずかなやり取りで相当消耗してしまったようだ。
しばし呼吸が整わず、やたらに喉が渇いた。
かといって、自販機なんぞに行ってくるわけにもいかない。
拘束魔法で鎧の少女を縛ってから、口の中で舌を動かし、唾液で喉を潤した。
ぜんぜん、潤わないけどな……!
しかし、こいつ一体何なんだ。普通の魔法少女でないのはわかるけど。
「黒羽さーーーん!」
とりあえず、警察に報せておくか思った矢先、ゆみかの声が飛んできた。
見ると、猫耳の魔法少女があわてた顔でこっちに向かってくる。
助っ人はありがたいが、ちょっと遅かったかもな……。
「――後ろ!?」
ゆみかの叫びと、背後の気配を感じたのはほとんど同時だった。
振り向きながら反射的に障壁を展開させる。
その前で、跳ね起きた少女が魔法拘束を吹き飛ばしていた。
けっこう強めにかけたはずだが……えらい魔力だ。
呆れていると、少女は腕に手を回して何かしている……?
何かついたブレスレットのようなものだった。
それが輝きだすと同時に、少女の背中に黒い翼が広がったのである。
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