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187/301

その187、限界に至ってしまう


 魔力消費が大きいから、急いで決めなければ!!


 私は黒い女に接近して、回し蹴りを放った。



「ふん……!」



 黒い女はすばやく魔力で盾を編むが、盾もろとも蹴り倒す。


 吹っ飛ぶところを追いかけ、その腹に魔力を込めた掌底を叩きこんだ。


 衝撃プラス麻痺の魔法をこめた攻撃である。



「ぐう……!」



 戦闘不能、前後不覚になるはずが、女は耐えて反撃してきた。


 槍をかわし、私は蹴りで女の顎を撃ち抜く。



 だが、浅い……。


 当たる直前、女は自分から後ろに飛んだのだ。



 私を手強いと見てとったのか、女はだんだん回避や防御に徹し始めた。


 そうなると速度があり、機動力に優れるだけに捕まえにくい。



 できるだけ細かく当てていくが、どれも決定打にはならなかった。


 しかし、相手もノーダメージではない。少しづつだが、動きが精彩を欠き始めた。



「はあ!!」



 私はさらにブーストして、膝蹴りを腹に打ち込んだ。


 今度は、まともに入った。



「がはっ……!」



 女はわずかながら空中に吐瀉物をまき散らし、動きを鈍らせた。


 好機チャンス!!


 私はそのまま一気にとどめをさそうとするが――



 バチン……。



 急に嫌な音がして、スーツの一部が弾けた。


 途端に、魔力制御が緩んで相手を素通りしてしまう。



 まずい……。ダメージで破損したのか!?


 私はあわてて魔法で応急措置をすると、再度女と対峙する。


 だが、力を込めた途端にスーツのあちこちから火花が飛び始めた。



 なんだ……!!?



<危険。危険。魔力の過剰増幅。使用魔力の減速を推奨――>



 はあ!? つまり、あんまり魔力を使うなってこと!?


 そんなことを言ってる場合じゃないのに……!!



 私があわてていると、体勢を立て直した女が魔力の槍を振るってきた。


 回避するが、その間にもスーツは悲鳴をあげ続ける。



 何てこと……。こんな時に故障……? するなんて。 


 とはいえ、まさかスーツを脱ぐわけにもいかない。



 私は仕方なく魔力を抑えながら、戦うしかなかった。


 そうなると、全力を出せない私はどんどん追い詰められ始める。



 簡単にやられもしないが、勝つことができない……。


 相手の攻撃をか防御するばっかりになってしまった。



 これはまずい……。



 優位に立っても女からは感情らしいものは読み取れなかった。


 機械的に、私を追い込んでくるばかりだ。色んな意味で頭に来るな、こいつ。



 どうする……?



 私の脳裏に、『撤退』の文字が浮かんだ時だった。



魔弾ブリット!!」



 横から、魔力弾が飛んで女をのけぞらせる。



「私が相手……!!」



 勇ましく叫びながら、そいつは杖から魔力弾を連射しまくる。


 猫耳に、尻尾のはえたその美しい少女は……。



 リリアンゆみかこと――坂本ゆみかその人だった。








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