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184/301

その184、ラミアが言うのは不吉な相手


「ちなみに、フルネームは?」


「岡田ユズルくんって言うんだけど……」



 ……。



「あ」



 その名を聞いた私は、無意識のうちに立ち上がっていた。



「え?」


「どしたの?」


 驚いたのかラブ子も、まきめ・エミリも私を見つめている。



「もしかして、知り合いなの?」



 探るような目つきで、ラブ子は私を見つめてきた。いや、睨んでいるか?



「いや。ぜんぜん、ぜんぜん。別のこと思い出しただけ」



 私は誤魔化して、席に座り直す。


 しかし、まいったな……。こんなところで縁ができてしまうとは――



 **高校の男子で、岡田ユズル。


 多分間違いないだろう……。ヒロインこと坂本ゆみかの幼馴染だ。



 で。



 アニメの中で現在の私こと刃光院黒羽が横恋慕する相手でもある。



 あああ~~~~~~~……。



 正直、絶対関わりたくねえ!!!



 アニメでは横恋慕がきっかけで黒羽は惨めな破滅の道を歩むことになるのだ。


 そりゃもう、ゆみかへの一途な恋心をクローズアップするためだけに。



 ま、そのユズルも結局当て馬にしかすぎんのだけど。百合アニメだったから。


 おんなじ道は歩んではいないが、縁起が悪いこと山のごとし。



「男の子のことはあんまりわかんないし、悪いけどあんまり助けにならないわね」



 私はとっと切り上げて退散しようとするのだが。



「待って」



 鋭い声と視線で、ラミア少女は私を見つめてきた。


 姿は人間と同じ姿であるが、その目力には蛇体をさらしたような迫力。



「もちろんタダとは言わないよ。あんたがやってる仕事の手伝いしたげる」


「む……」



 正直、抗いがたい誘惑がないでもない。


 いくらベルタエルフやサキュバスの援助があっても、それには限度がある。


 予測できないことも多いし、助けは多いに越したことはない……。 



 けど、問題が問題だしなあ……。不吉だ。


 ないとは思うが、もしも私自身が岡田ユズルに恋してしまったら。



 …………。



 ああ、嫌だ、嫌だ、嫌だ。想像するだに恐ろしいわ……。



「素敵な申し出だけど、受けられない。恋愛は自分でがんばって」



 結局、私は断った。



「……わかったよ」



 ラブ子は不服そうだったが、文句も言わなかった。



 やれやれ……。とっくの昔に『原作』はないものと思ってたのに。


 まさか、こんな形で追いかけてくるとはなあ……。



 ホント忘れてたけど、そういや百合アニメだったよな、『原作』……。



 といっても。



 色んな女子キャラはいるものの、特定の相手がいるってのでもなかったが。


 組み合わせはファンによって色々だったか。


 ものによっては、黒羽×ゆみかなんてのもあったな……。



 ちょっと思い出すとシャレにならんが。



 てなことを思っていると、携帯に連絡が入った。


 緊急――という松上少年からのもの。ちと、嫌な予感がするけど……。









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