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180/301

その180、サキュバスは反発を招く


 サキュバスの協力自体は、政府のほうでもうまく対応してくれるだろう。


 元々、ある程度の協力関係があるにはあったわけだし……。



 と、私は若干お気楽にとらえていたのだけど。



 気づけば、国会ではウダウダと揉めて、なかなか進展しないようだった。


 与党や野党問わずに、反対意見が多いのである。



「サキュバスの行動は、日本の風紀を著しく乱し、悪影響です!」



 と、ある女性議員が息巻いていた。


 ネットなどでもそれを応援する声が飛び交う。



 ベルタエルフはあくまで子供や若者――独身男性がターゲットだった。


 しかし、サキュバスはより範囲が広い。


 どうやら……これに不快感を持つ女性が多かったらしいのだ。



「しかし、昨今では独身者も数が多く、マイナス面は少ないのでは」



 そういう擁護意見もある。



 だが、



「なんで女性を無視する政策ばかりなんですか! 女性を守るようにしてください」



 国会中継では、野党の女性議員が吠えていた。


 本当に面倒くさいな……。



『政府は女性を差別するな!』


『男よりも女性を最優先せよ!』



 という横断幕を持ったデモ隊が東京の街を行進している。



「もしや、これって、火に油を注いだんじゃないのかなあ……」



 私は携帯で映像を見ながら、深い深いため息。



「しかしね、転移に備えた準備をやろうとすれば人も金も足らない。サキュバスの力を借りることができれば、相当助かるんですよ」



 松上少年は難しい顔だった。



『ベルタは差別をやめよ!』


『ダイノヘイムは女性の受け入れを!』



 テレビをつければ、そんなプラカードを掲げたデモ隊もいる。



<……とにかく、政府が弱腰なのがいけないんですよ。いいかげんダイノヘイムにリベラルな考えを受け入れさせて、女性を保護させるべきなんです! 喝ッ!!>



 と、吠えているコメンテーターも。



「言っちゃなんだか、浅ましいもんだな……」



 ヅカテ氏は疲れた顔で、首を振っている。


 戻ってきてからもあれこれ動き回って、それこそ昼夜を問わず働いているしなあ……。



「調べたところ、30~40代、もしくはそれ以上の女性はサキュバスに対して悪い印象しかないようですねえ。仕方のない部分もあるけど……」


「まあ、そうだろうなあ」


「その年代となると、ダイノヘイムとの黎明期に10代から20代だった……」


「ですね。その頃に一番早く多く来たのがサキュバスです」


「ありゃあ……」


「その頃は若い男性の草食化とか、そんなものが問題視されてた頃ですね」


「草食男子ね……?」


「ま、あくまで人間相手ならね……。サキュバスなら面倒がないし、理解もある。それに美女ばかりだ。そりゃあ男はなびくわな」



 ヅカテ氏は懐かしそうに笑った。彼は普通のリアルタイムで見てきたんだろうな。



 松上少年はタブレットで情報検索している。



「都心地方関係なしにでうろついて逆ナンする……。高い魔法能力のあるサキュバスはお金も楽に稼げて、羽振りが良かったようです。で、ナンパした男に奢ると」


「そりゃ、至れり尽くせりだわ」


「マスコミはそういう男性をかなり叩いてようですが。しかし流れは止まらなかったわけで。それが巡り巡って鎖国政策やら魔女党の台頭につながっちゃうんですわ」









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