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178/301

その178、恋愛は自由である


 田中くんとケライノはドタバタしながらも、訓練を続けていたようだ。


 負荷リングをつけた田中くんを、ケライノがボコボコにしていることが多かったが。



 それでも――殴られても蹴られても、田中くんは元気だった。


 青痣だらけの顔でも、翌日には元通りになってしまう。後遺症もゼロ。


 回復魔法をプラスしても、あきれるほどのタフネスと回復力だ。



「見ているほうが怖くなってくる……」


「よくあんなのが続くもんだよ」



 警備員たちは、かなり引いていつも遠巻きに見ていた。



 まかり間違っても、



「一緒にやろうぜ?」



 などと誘われるのが嫌だからであろう。


 私もあんなマゾ趣味みたいな訓練はごめんだけどな。



 下手すりゃケライノが一方的に甚振っているようにさえ見える。


 だが、日を追うごとに田中くんの動きはシャープになってきたようだ。



 攻撃防御のバランスが整いだし、今まで一方的だったケライノとやり合えるように。


 というか、アレ負荷リングつけてるんだよなあ……?



 私も試しにつけてみたが、効果はありそうだがちょっとの訓練で疲れ果てる。


 下手すれば、そのまま寝込んでしまいかねないだろう。



「これはかなり期待できそうですな!」



 映像越しに訓練する二人を見ながら、松上少年は嬉しそうだ。



「しかし、アレって他の人ができるのかしら?」


「無理でしょうね。脳内麻薬でもドバドバ出ない限り」


「それって、田中くんがそうだってこと……?」


「医学的に調べてはいないですけど、あり得るかもしれませんね。人間は快楽が伴うとどんな無茶でもやるもんですから……」



 と、まあこんな調子で生合叩く見守っていたけれど。



 訓練の合間に、ケライノはやたらと田中くんに引っ付くようになった。


 ベタベタすると言ってもいい。



 田中くんは拒否しきれず、いつもヘドモドしている。


 好意というよりは、ケライノのアレはほとんど性欲だわなあ……。



 今までの日本では魔女党の弾圧のせいで、男性向けのエロスが壊滅状態だった。


 だから、男の子はあんまりそういうものに免疫がないみたいである。



 というか、男性の性欲イコール悪徳という風潮さえあった。


 それは前世の世界でも、ある意味同じかもしれない。



 ケライノには気の毒だが、こりゃ長期戦になるだろうな。



 と、思っていると――



 ある日の朝、私は偶然田中くんが寝泊まりしているフロアを歩いていた。


 すると、部屋のドアが開いて全裸の田中くんがフラフラ出てくる。


 何だか夢遊病者みたいで、頼りない足取りと顔つきだった。



「ちょ……! 服着なさいよ!」



 私がたしなめたが、聞いちゃいなかった。いや、聞こえてなかった。


 そのままフラフラ廊下を歩いて行って、階段からすっ転ぶ。


 ドタドタと面白くないコントみたいな光景だった。


 田中くんはシンボルをむき出しにしたまま、下でひっくり返っている。



「何をやっとるんだ……」



 仕方ないので介抱してやる。幸い少し体を打っただけでケガはない。



 それでも、頭とか打っているかもしれないので、人を呼んだ。


 すぐに治癒と医療用サーチ魔法のおかげで、大事はないとわかる。



「君、何やってんの……。外だったら警察沙汰だよ」


「スミマセン……」



 青菜に塩状態の田中くんを部屋に送っていくと……。









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