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171/301

その171、防衛戦の成功




「かあッ!!」



 いきなり――鋏女は予備動作もなく跳ね上がり、何かを吐きかけてきた。



 私は障壁でそれを受け止める。


 半透明な魔力盾シールドの向こうで、赤黒い液体が沸騰したように泡立っていた。



<魔力反応――毒感知>



 毒……。こんなものを吐きやがるのか、この女は……。


 私がウンザリしていると、その隙に鋏女は大空へ逃げ出していた。



「悪いけど、逃がさない……」



 私はジャンプし、一気に飛行魔法で間合いを詰める。



「しつこいぞ!」



 鋏女は身をよじるようにして、速度を上げた。


 私はそれを追って、さらに加速する。


 あっという間に追いつき、私は鋏女に拳を叩きこんだ。



「ちぃ……!!」



 鋏のついた篭手で、鋏女は防御する。


 しかし、拳には螺旋を描く魔力が圧縮して込められていたのだ。


 一撃で……あるいはすでにダメージが蓄積していたものか……篭手は砕け散った。



「まさか……!!」



 鋏女は今までの余裕を完全に崩し、気の毒なほど狼狽うろたえた。


 隙あり、である。



「少々痛い目を見てもらう!」



 私は背後に回り込むと、両手を握った拳で殴りつけた。



「ぎゃん!!」



 鋏女は絶叫して、そのまま地上へ落下していく。


 そして、アスファルトの上に激突して、動かなくなった。



<生命反応あり――魔力微弱>



 一応加減はしたから、死んではいないか……。やれやれ……。


 私は気絶した鋏女を魔力リングで拘束すると、施設のほうを見た。



 施設の周辺ではまだ戦闘は続いているけれど、大よそこちらに分がある様子。


 テロリストたちはベルタエルフに次々と撃破され、撤退しつつある。



 どうやら、私はハッスルするまでもなかったらしい。


 修行の成果は実感できたが、ちょっとばかり肩透かしだ。



<松上くん、男の子たちは無事?>


<はい。急いで転送していますが、全員無事です>



 通信を入れると、松上少年は明るい返事を返してきた。



「ふう」



 私は鋏女を担いで、仲間のもとに戻っていく。


 そして、テロリストは完全に撤退していき、大半が捕縛されたのである。



「皆さん、ご無事で?」


「もちろん」



 ベルタエルフたちはみんな平然として、自然体だった。


 エルフ属だけあって、やはりその能力は目を見張るものがある。



「しかし、彼女たちはよくわからない連中ね?」



 ベルタエルフの一人が捕縛されているテロリストを見て言った。



 まあ、わからないんだろうなあ……。



 美しく、強靭で高い魔力を有した種族たち。



 色んな意味でこじらせて男を諸悪の根源とし、ついに子供にまでテロを仕掛ける。


 そんな風になっちゃった女の気持ちなど、わかるはずもないのだろう。



 私も、本当の意味でわかるとは言えないけど。


 でもわかってしまったら、オシマイなのだろうか。



 それとも、そこから抜け出る方法もあるんだろうか……? うーむ……。











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