表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/301

その170、久々の戦いに昂る



<警告。攻撃的魔力接近中――>



 ヘルメットに響く警告。それを受けてから、私は反射的に身をかわした。


 私がいた地点に、黒い影が音もなく着地する。



「お前は……!」


「ふん……」



 思わず叫ぶ私を鼻で笑ったのは、鋏のような籠手をつけたあの女だった。


 以前は、田中くんに助けられたけど……。



「今度は逃がさん」



 鋏女は籠手を構え、ゾッとするような目つきでこっちを見てくる。


 私は、ただ無言で構えた。



 敵の殺気と魔力がひしひし感じられる。


 レベルアップしただけ、より鮮明に相手のやばさがわかるようだった。



 かと言って、逃げる気はない。



 こいつは、逃げたら逃げた分だけ執着して追いかけてきそうな気配だ。


 かなり、『素敵』な性格をしていそうだし、とっととケリをつけた良いだろう。



「特訓でもしてきたか……?」



 鋏女は少し不快そうに眉を上げて、腰を落とした。


 まあ、実際その通りだ。特訓した。時間にして2年ほどミッチリと。



「しゃああああ!!」


「ふん!!」



 相手が構え、疾風のような動きでこちらに飛びかかってきた。


 迷いなく、私の急所に鋏を突きこんでくる。



 だが、動きは見えた。


 私は真正面から片手で鋏を受け止めて、そのまま空いた手で脇腹に叩きこむ。



「ちぃ……!」



 殴られた鋏女は転がって、距離を取ったかと思うと背中の翼を広げた。



 何をするかと思うと、翼が大きく羽ばたく。


 強い風と埃、それに魔力が伴って押し寄せてきた。



 ヘルメットで視界をカバーしているから埃は平気だ。


 だが、それらは魔力を受けてスーツの上に叩きこまれてくる。



 小さいが散弾みたいな感じだった。


 ダメージはほぼないが、動きは牽制されてしまう。



 私がつい顔をかばった途端、鋏女は横に飛んでいた。


 そうかと思うとたちまち跳躍して、真上から鋏を打ち込んでくる……!



「今度は、そう簡単に……!」



 私は鋏をよけながら、カウンター気味に装甲をまとう拳を女に叩きこんでやった。


 鋏女は悲鳴もあげずに空中に逃れ、翼を広げて回転する。



 と、翼が巨大な刃物のようになって襲いかかってきた。


 魔力で強化され、スピードを伴い、見るからに寒気のするような攻撃だ。



「この……!」



 私は腕の装甲で受け止め、そのまま身を倒してスライディングした。


 で――跳躍した鋏女の真下に、もぐりこみ、



「おりゃああああ!!」



 腹にめがけて、螺旋状の魔力をまとうパンチをめり込ませた。



「が……!?」



 鋏女は吐血し、べしゃりと地面に倒れ伏す。


 うむ……。どうやら演技ではなく、本当にダメージを受けたようだ。



 これを逃す手はないぞ……。



 私は女の翼をつかんで、そのまま振り回して地面に叩きつけた。


 翼が少しちぎれ、女は地面に顔面をぶつけて痙攣する。



 やったか……? いや――……。









よろしければ、感想や評価ポイント、ブクマをお願いします!

感想は一言でも歓迎!

あなたの応援が励みになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ