その169、修行の成果を見せてやる
<大型魔力反応確認――接近中>
続いて送られてくる警報。
私は小さなウィンドウで映像を確認する。
この施設……小型の空港に似たゲート施設に、巨大な影が迫っていた。
馬鹿でかい怪物の蟹。
「前のやつか……」
以前手痛い目にあったことを思い出し、私をワンドを握り締めた。
しかし、そればかりに注目してもいられない。
怪物ガニの他に、小ぶりだが奇妙な合成怪物があちこちから施設に迫っていた。
やはり、狙いは送られる男の子たちか。
それにしても、執念深いな……。
「男の子たちをのこと、お任せしていいですか?」
私はさっきサソリトカゲの女を捕縛したベルタエルフに言う。
「もちろん」
「ありがとう……」
私は一礼してから、急いで出口に向かった。
怪物ガニはもうそこまで迫っているのだ。
「はっ!!」
変身……とでも叫ぶべきだろうか?
走りながら、ワンドを振るい、スーツとヘルメットを身にまとう。
久々にまとったスーツは、少し窮屈に感じられた。
だが、それだけ身が引き締まり、闘争心が掻き立てられる。
「でやああああああ!!」
<装甲強化>
私手足の装甲を増加強化し、魔力をまとった蹴りを怪物ガニに喰らわせた。
怪物ガニは後退しながら、よだれを垂らして目をキョトキョトさせる。
どうやら、焦っているらしい。効果アリだ。
蹴った時の感触は、軽かった。しかし、手ごたえも十分。
私はそのまま、怪物ガニの顔面に向かっていく。
怪物ガニは巨大な鋏を振るってくるが、私は回避しながら付け根を狙って斬りつけた。
装甲の間は、やはり弱いようだ。
以前はそこを狙える余裕はなかったが、今度は違う!
傷から黒い血が噴き出すと、怪物ガニは吠えて暴れる。
おっと、施設を壊されちゃあたまらん。
<鳥型ツール発進>
私はツールを呼び出すと、素早くその上に騎乗する。
そして、魔力を送り込んでその爪を強化させた。
吠える怪物ガニに向かい、その腹に向かって爪をえぐりこませる。
怪物は腹も堅かった。
だが、私もレベルアップしてる! 手出しできないレベルではない……。
私は鳥型ツールを駆り、そのまま怪物ガニを施設から引き離していく。
存分に攻撃ができる距離まで。
程よいところまで離すと、いったん怪物ガニから離れ、上から魔弾を打ち込んでいく。
私の強化に合わせて、鳥型ツールの能力も向上しているようだ。
いや、むしろ今まで扱いきれていなかったのか?
攻撃の度に怪物ガニの甲殻にひびやへこみが入り、怪物は泡を吹き出していく。
「このまま……!」
私はいよいよ魔力を大量に流し込み、鳥型ツールをはばたかせた。
そして、真上から魔力で輝く爪を叩きこむ!!
瞬間、怪物ガニの背中が見事に砕けた。
黒い血と肉片、魔力が散乱して、怪物ガニは黒い泡を吹いて崩れ落ちる……。
よろしければ、感想や評価ポイント、ブクマをお願いします!
感想は一言でも歓迎!
あなたの応援が励みになります!