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168/301

その168、移動の時となりて



 思ったよりも、早くに時は来た。



 5千人の魔法資質男子が、異世界ダイノヘイムに渡る。


 もっと揉めて遅くなるとか思われたが、緊急時ということで少々強引に進めたようだ。



 地球とこちらをつなぐゲートは限られているので、場所は選べない。


 男子たちは色々に変装して、時には護衛など同伴しながらゲートを潜っていく。


 あるいは、荷物の中にこっそりと潜ませて移送などなど。



「できれば、幼い子供を先に送りたい」



 と政府も要望したので、警備にはヤタガラスの他、ベルタエルフも参加してくれた。



 かなり目立つと思われるが、変身魔法で姿を変えているため、人間としか見えない。


 エルフ属の種族が味方というのは実に心強いものだ。



 ホントに……。いつもこうだったらいいのにね。



 そんなことを思いながらも、私もゲート管理の職員に変装して協力していた。


 まずは幼児たちがどんどん送られ、まずは数百人が異世界に移動していく。



 このまま、何もなければいいが……。



 いや、そういう時に限って事件ことは起こるんだよな。


 何とも嫌な予感を抱えながらも、粛々と仕事を進めていくと――



 不意に、一人の客が列を離れていった。



「あの――」



 私が声をかけようとした時、



<警告。攻撃的魔力反応!>



 ワンドから、頭に直接警告が飛んできた……!?


 ハッとすると、トイレのほうから何かが転がるように飛び出してきた。



 出てきたのは、でかいワニ……? いや、トカゲだ。


 コモドオオトカゲみたいなヤツである。



 しかも、そいつは大きいだけではなかった。


 全身のあちこちに装甲みたいな甲殻に覆われ、尻尾には長い毒針がうねっている。



 サソリの尾だ……。



 怪物トカゲは毒の尾を振りながら突進してくる……!



「危ない!」



 私が飛び出そうとする前に、さっき列を離れた客が割り込んできたではないか?


 客はフッと、手を振った。



 瞬間、突っ込んできた怪物はトカゲは粉々に砕け散った。


 わずかな肉片も、魔力となって大気に消えていく。



 え!? すると……このひとは…………。



 客はふわりと身をひねると、ベルタエルフに姿を変えていた。


 肌は白いが、緑系の髪はコマサと似通っている。



 すると今度は、物陰から不気味な姿をした女が飛び出してきた。


 半分は鱗に覆われた爬虫類のような肌と、半分はサソリのような甲殻に覆われた体。



「貴様ああ!! 邪魔するなあ!!」



 女は憎悪のこもった眼でベルタエルフを睨み、飛びかかっていく。



 それに対して、ベルタエルフは弓を構えるような動きを見せた。


 弓を横に構えて、今にも射ようという姿勢。



 いつの間にか、ベルタエルフの手には碧の魔力で構成された弓が――



 そして、ベルタエルフが光の矢を放つ。


 光の矢は水を泳ぐ魚のように動きながら、的確に女を射貫いてしまった。



「ぎゃ……!」



 女がくぐもった叫びをあげ、床に倒れこむ。



「まずは一人」



 ベルタエルフは光のリングを複数造り出し、女を拘束してしまった。


 私が割り込む隙も無い、流れるような見事な動き。



 だが、事態はそれだけでは終わらず……!?








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