表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
167/301

その167、田中家の騒動



 男子たちの保護要請については、上のほうでも色々あったようだ。


 何しろ、先の大トカゲ魔女狩りのせいでだいぶ被害が出たからな……。



 その上にテロの連発、プラス現政権を攻撃する動きもマスコミで活発。


 魔女党のやった不祥事は濡れ衣だ、誇大広告だと主張する自称・文化人も。



 まあ、旧政権の時に好きかってやってきたご仁たちである。



 これらを抜きにしても、保護要請はつまり、



『日本はテロから国民を守れません』



 と言っているにも等しい。



 事実、今のままでは守れないのだ。


 あちこちに敵がいるし、一般国民にも賛同者がいる状態では。



 それでも、狙われている男の子たちの安全を考えると……。



「頼むしかないわけだよねえ……」


「そうなりますなあ……」



 私と松上少年はうなずき合う。



「色んな意味で資質のある男子たちを狙うテロは続くでしょう。なら巻き添えを恐れる人も出てくるというもの」



 男子が厄介者扱いにされるわけか……。まったく嫌な話だ……。



 何やかんやで、魔法資質者の男子たちは、ベルタエルフの保護を受けることとなった。


 政府の動きとしては、厄介なものを追い払うという感じだ。



 まるで難民……。



 調査の結果によると、とりあえず魔力が認められた男子は全国でひとまず5千人。


 実質はもっといるだろうと思われるが、そこまで調べが進んでないようだ。



 また、



「年齢とか体質的に、確認できていない可能性もあります」



 ということだった。



 何らかの作用で魔力にロックされている状態か、低年齢のためまだ未覚醒か。


 詳細な検査をすればわかるのだけど、今となってはあまり大っぴらにできない。



「向こうで学校を開けるように頼んでみるよ」



 ヅカテ氏はそう言ってくれた。


 ベルタエルフは、そのことに別段気にすることはないようだ。



「まあ……亜種とはいえエルフに魔力で対抗できる人間はそういないですからね」



 松上少年は苦笑するばかり。



 そして、だ。



 私たちの仲間である田中北吉くん――彼にも、保護要請があった。


 これは本人ではなく、彼が魔法少年だと知った家族が、



「未成年ですし……。安全のために……」



 と、願い出てきたものらしい。もっともな話である。



 しかし、



「仲間が必死になってるのに、俺だけ逃げるなんできないね」



 そう言って、家族と喧嘩になり家を飛び出してきてしまった。



「まあ、ご家族の言い分がもっともなんですよねえ……」


「だよねえ……」



 モンスター退治の協力者としても、彼はもう欠かせない。


 けど、家族は息子に魔法の力があるといっても受け入れ切れてない様子。


 あくまでも、平凡な高校生だという認識のようだった。



 そうなると、さんざん戦ってきた自負のある田中くんはますます反発し、



「大人だけじゃなく、同じ高校生の女子だって駆り出されることもあるんだ。ますます逃げるなんてできないネ! ダメだって言うんなら絶縁してくれ!」



 それはさすがに言いすぎだし、やりすぎだとうちの両親に頼み、仲裁役をお願いする。



 これにより、何とか田中家の断絶は阻止できた次第。


 それにしても、田中くんは熱い男だったんだなあ……。







よろしければ、感想や評価ポイント、ブクマをお願いします!

感想は一言でも歓迎!

あなたの応援が励みになります!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ