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153/301

その153、パワーアップ



「襲撃してきた連中を見るに、どうやらキマイラ型の魔法使いが多いですなあ」



 様々なデータを空中に表示しながら、松上少年は言った。



 確かに。


 蟹とコウモリやら、蜂とハエジゴクやら。亀とウツボやら、猫とヤモリやら。



「なかなか危ないことをしてますぞ」



 不安定な魔力を示すデータを指しながら、松上少年は言った。



「連中は魔力そのものは上がっていたが、それを使いこなせていたかは微妙だな」



 横でコーヒーを飲みつつ、ヅカテ氏の意見。



「大よそ、魔法使いは自分の魔力性質を表す『型』がある。使い魔にはその特徴がよく現れる。松上くんなら蟹。黒羽さんならオオガラスのようにね」


「それは基本的に変わることはないし、変えるべきものではない。しかし、これに別の要素をプラスして、より強化するというやり方もある。今回のテロリストがそれだ。大体モンスターというのは、普通の生物が複数合成したような姿が多い。このシステムを応用しているんだ。自分の魔力+別の魔力。最低でも倍にはなる。これは……そうだな。こちらの科学技術などで例えるならば、サイボーグのようなものだ。魔術サイボーグだね」


「うーむ。それって、やっぱり……」


「ああ、ダイノヘイムの技術だろうね。それもあまり穏やかではないタイプの」


「まいったなあ……」



 私は気が重くなり、壁にもたれかかってため息。


 あちらの魔法技術は進んでいる。それが悪用されて牙をむいてくるとなると――



「言っちゃアレだが、こんなのが相手では今に限界が来るな」



 ヅカテ氏は困った顔ながら、ハッキリ明言した。



「それはとっくに来てますよ」


「うん。特に顕著なのが君だね」


「え?」



 わたし? と、私は自分を指さしてヅカテ氏を見た。



「うん。君の魔法スーツ装備は独自技術で非常に優れているんだが……」


「だが……?」


「安定しており、完成度が高い分、拡張性は低い。強化や装備変換が非常にしにくい」


「あらら……」


「そうなると、だ」


「方法は二つです」



 と、松上少年がⅤサインのようなものを突き出してきた。いや、Ⅴではなく2つか。



「一つは、スーツ一式を一から作り直すこと。もう一つは、あなた自身のレベルアップ」



 なるほど……。



「それで、あなたのおすすめは?」



「うーん……」



 尋ねると、松上少年とヅカテ氏は困った顔を見合わせあった。



「何というか……。そのどっちもどっち? かなあ」


「スーツはそれそのものが未知の魔法技術の塊だから、どうにもこうにも……。で、君自身のレベルアップは時間がどれくらいかわかんないと――」


「……」


「漫画やゲームならさくさくレベルアップするとこですがね。現実はそうはいかんわけで」


「1年2年と時間をかければ、黒羽さんは優秀だし、確実だが……」


「ことは急を要する、と」


「そういうこと」


「……」



 これは、困った。


 ここにきて、私はお荷物になるとはなあ……。いや、別にええねんけど……。



 ……。



 良くはないか。









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― 新着の感想 ―
[一言] 特訓するか改造するか、悩ましいところですね。 戦闘技術に関してはほぼ我流みたいですから、キチンとした師匠に基礎を直してもらうだけでもだいぶ違うかと思いますし、スーツの拡張性に問題があるなら外…
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