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150/301

その150、憂慮される今後の事情



「黒羽さん、無事だったんですね!?」



 シェルターは見た目、大型の金庫という感じだった。


 出入り口だけで3メートル近くある。


 そこを開くと、鎧のような姿の八郎くんがドスドスと出てきた。



「ぜんぜん連絡できないし……どうなってるかと……」


「いや、あなたには何かあったら、さらわれたりしたら大ごとだから」


「だけども、こんなところにいても何もできないじゃないですか」


「今回は君に何かしてもらう気はなかったですよ」



 そう言うのは松上少年だ。


 腰に両手を当てて、演説でもぶちかましそうな雰囲気で八郎くんを見上げた。



「大げさに聞こえるかもしれないけど、君は生きているだけで非常に価値がある。もしも敵に害されたりしたら、我々のみならず人類全体の損失なのです」


「ホントに大げさだなあ……」



 八郎くんはごつい手を兜のようになっている頭にやり、所在なさげに言った。



「けど、襲ってきたのは一体何なんです?」


「まあ……一言で言うと、テロリストですな」


「それが何で僕を狙うんだか……。男の魔法使いだから?」


「どういう意図なのかは、正確にはわかりません。ただ、八郎くんが目的だったのは確かだと思われますね」


「えらいことになったなー……」


「そう、えらいことになっているんです」


「とにかく、八郎くんには今後誰かがついてなきゃいかんだろうな。人手がいる」



 と、ヅカテ氏は難しい顔で一同を見回す。



「あるいは、どこかよそに移送ということも考えるべきだなあ」


「まあ、確かに。この施設は相手にバレバレですからね」



 私はため息を吐いて、そこでようやく変身を解く。



「ちょ……!? 黒羽さん……傷だらけじゃないですか?!」



 素顔の私を見るなり、八郎くんは大あわてで叫んだものである。



「え? ああ……」



 確かに、あちこち傷を負って服もボロボロだ。


 治療魔法を自分でかけたから、大きな傷は一つもないが……。


 衣服の損傷や汚れはそのまんまである。



「君も毎回ひどい目に合うなあ」


「もう慣れましたよ」



 同情するように言うヅカテ氏に、私は苦笑で返す。



「とにかく、そのまんまじゃアレだ……」



 言って、ヅカテ氏は私に魔法をかけた。


 すると、細かい傷が治っていき、汚れも落ちていく。


 さすがに衣服の損傷までは直らなかったけど。



「ありがとうございます」


「礼はいいけど……。君が今後大けがしたら、シャレにならんことになるなあ……」



 ヅカテ氏は顎を撫でながら、うなるように言った。



「今回襲ってきた連中はけっこうな手練れも多かったし、今後ダイノヘイムの種族も加わるという可能性もある。そんなに高い可能性ではないと思うがね……」



 生き物は追いつめられると、思いもよらないことをするもんだ――


 と、ヅカテ氏はため息と共に言った。



「確かに……。前政権も魔女狩り対策のために、他種族の魔法使いを雇ってましたからね」



 松上少年もうなずいた。



「しかも、目的がテロなら金で動く凶悪なのを雇う危険もあります」



 と、松上少年はゾッとしないことを言って首を振る……。



 なんともはや……。ますます今後が心配だ…………。









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