その15、急げ! ヒロインがピンチ!
令嬢出撃の巻でござる!
ああー、そうですか。
ヒロインのピンチだものね。
しょうがないね。
私はもう一度周囲を警戒してから、ワンドを振った。
変身。
やっぱり可愛い魔法少女じゃない。
黒いフルフェイスのヘルメットに、スーツ。
ダークっぽい変身ヒーローである。
しかし、このままじゃ飛んでも目立つな……。
そう思うと、頭に浮かぶ魔法。
――時間制限有りのステルス魔法。
これを使うと、姿が見えなくなるようだ。
ちょっと不気味だけど、この際しょうがない。
私は魔法で姿を消してから、すかさず上空へ。
そして、ヘルメット内部に浮かぶ画像。
何かの地図と、矢印。
これは……カーナビみたいなものか。
よくわからないけど、なるほど親切設計らしい。
場所は……隣の市だ。
車なら1時間弱というところか。
でも、空飛ぶヒーローなら?
そう考えて加速しようとすると――
――限定式空間跳躍魔法。
という単語が浮かぶ。
ふむ?
これを使えば、一瞬で行けるのか。
でも、デメリットは?
――現状では、魔法力3分の1を消費。
かなり喰うなあ……。
けど、迷ってるわけにもいかない感じだ。
私は呼吸を整えてから、
「よし、ワープ!」
そう叫んで頭に浮かぶ魔法を発動させた。
と、眼前に紫色に光る円形。
いや、これは……魔法陣だ! よくアニメとか漫画で見るヤツ!
「よし……!」
私はそのまま、魔法陣の中へと突入。
そしてほぼ同時に、眼前に大きな建物が目に入った。
ヒロインの高校だ。
まさに一瞬でワープしたらしい。
見れば、後者の上空に数体の魔女狩りが飛び交っている。
何をしているのか?
翼から黒い弾丸みたいなものを発射して、校舎を攻撃していた。
こりゃいかん……!
私は身を回転させて、魔女狩りの一体にキック。
同時に、ステルスも解けたようだ。
「****!」
「********!」
魔女狩りは相変わらず意味不明の声を発して、こちらを向く。
改めて見ると、やっぱり不気味な連中だ。
少なくとも、心を開いてお友達になれそうな相手ではない。