その146、新たなる強敵の襲来
今回は朝がたに投稿です。
かくして、鉄と生身の大蟹同士が戦うわけだが――状況はあまり芳しくはなかった。
怪物ガニは見た目通りというべきか頑丈で、しかも凶暴。
多少のダメージを……効いていないのかもしれないが……無視して、攻撃してくる。
至近距離からショートチャージのレーザーを撃つが、牽制程度にしかならない。
かといって、長くチャージすればその隙にやられてしまう。
怪物ガニは巨体に似合わない細かく俊敏な動作をするのだ。
何とか施設から押し戻そうとするが、とにかくしつっこい。
そうなると、ちょっとやり方を変えるか……。
蟹型ツールが横に逃げると、怪物ガニも追ってくる。
施設よりも蟹型を優先するようだ。
それならば、少なくとも引き離すことはできる。
私は蟹型を囮にして、その間に松上少年と連絡を取ろうとして、
「ぬ!」
思わず、口から声が漏れた。
施設の中庭で魔力の爆発を感知したのである。
飛んでいくと、蟹仮面となった松上少年が何かと戦っている。
蟹と人間を混ぜたような怪物だった。
それに、空には大型のコウモリが飛んでいる。
よく観察するとどこか爬虫類のような特徴があり、普通のコウモリ型ではない。
どっちにしろ、モンスターには変わりがないか……。
また、今まで駆除てきたものと違い、動きが統制されているようだ。
使い魔? あるいは、誰かに操られているのだろうか。
とにかく、合流して加勢しないと――
私が降下しようとした時、警告音がヘルメットに響いた。
「!?」
ハッとしたところへ、強烈な衝撃が叩きつけられる。
キリキリと舞いながら落下していくのを自覚した。
……なんだ?
どうやらやられたようだが、致命傷ではないらしい。
かなりの速度と魔力だったように思う。
見ると、空中から何かが真っすぐに私へ飛んでくる。
メットの映像で拡大すると、暗い緑の髪をした女。髪にはウェーブがかかっていた。
「この!」
私はとっさに魔力弾を撃つが、相手は小盾だか籠手のようなもので防ぐ。
背中に、冷たいものが走り抜けた。
そこへ狙いすましたかのように、相手は無駄のない動作で殴りかかってくる。
ハッとして腕を十字に組んで顔を守るが――
重たく鋭い攻撃で電流のような衝撃……私は一瞬骨折をイメージした。
だが、折れてはいない。
蹴り飛ばそうと膝で打つが、相手は寸前で逃げてしまった。
しかし、そのまま逃亡したわけではなく、距離を取りながら執拗に追ってくる。
こいつ……違うぞ。さっきの蜂仮面とは動きも魔力も……!
私は何とか低空飛行に移り、手足の装甲を再強化した。
かと思うと、敵は真上から襲ってくる。
「なんの……!」
しかし、いくらか予測もできていた。私は咄嗟に散弾で応戦する。
でも、今度は防ぎもしなかった。
相手はそのまま魔力の散弾を受けるが、いずれも表面で弾かれてしまう。
どうやら、かなりの魔力で強固に守られているようだ……。
そして、私は低空と相手と対峙する。
青黒い鎧とも甲殻ともつかないものに覆われた姿で、コウモリみたいな翼……。
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