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136/301

その136、田中北吉奮戦す

ちょっと違う時間に投稿です。






「おおお……」



 そういえば、今日は平日で学生は学校だったな……。


 私は映像で送られてくる田中くんの活躍を見ながら、手を叩きそうになった。



 田中くんはその重装甲を生かして、真正面からケルベロスと戦っている。


 巨大な爪や牙に拳で応戦しているわけだ。



 ケルベロスもなかなか強かで、隙あれば田名君をねじ伏せ、噛み殺そうとしている。


 だが、田中くんは突っ込んできた頭の一つをがっしり受け止め、思い切り上下にこじ開けた。



 これにケルベロスは顎骨をやられたらしく、悲鳴を上げてのけぞる。


 そこへ、田中くんはもう片方の頭を狙って拳を構えた。


 途端に、構えた右腕に光るものが現れる。



 あれは……プロペラか!?



 プロペラは回転しながら、ケルベロスの頭を引き裂いていった。


 黒い血が噴き出し、頭は肉片となって校庭に散乱していく。



 首が一つだけとなったケルベロスは、もはやでかい犬だ。


 それでも地獄の番犬は、憎悪を燃やした目で田中くんを狙っていた。



 と、不意にケルベロスは大きく後退する。


 逃げる気か……? と、思った矢先に――



 口から、白い炎とも瘴気ともつかないものを吐き出したものである。


 田中くんはとっさに両手で顔面をかばう。



 白い火炎を吹きつけられた田名くんはいきなり動きが鈍くなった。


 何と……スーツのあちこちが白く石化し始めたのである。



 ケルベロスには、こんな能力もあったのか。


 これは、やはり急いでいかないと!



 私は焦ったが、



「いや、待った」



 松上少年はぐいと私のすそをつかんでくる。



 その間にも、ケルベロスはぐるんと体を回転させ、蛇の尾で田中くんを殴った。


 よけられずに、田中くんはゴロゴロと校庭を転がっていく。



 しかし。 



 ケルベロスが大きく口を開けた途端、田中くんは跳ね起きた。


 そして、ロケットのように加速しながらケルベロスの腹に。



 どうなるのかと思いきや、田中くんはそのままケルベロスを貫通してしまった……。


 腹に大穴をあけられ、これはもはや勝負あったかと思えたが。



 ケルベロスは執念深く唸りながら、またもあの白い炎を吐いた。


 だが、今度は田中くんも対応する。


 右腕を突き出すと、光のプロペラが巨大化した。


 プロペラは回転して強風を生み出し、ケルベロスの火炎を跳ね返していく。



「おおお……」


「やりますねえ、彼」



 私たちは素直に田中くんを称賛してしまう。やはり防御とパワーはピカイチだ。


 自分の吐いた炎を逆に浴び、ケルベロスは顔を歪めて首を左右に振った。



 うろたえているケルベロスの上に、ひょいと跳躍した田中くんはまたがる。


 そして、回転するプロペラが高速で怪物の首を切り裂いていく。



 数秒を待たずに、ケルベロスの首はどうっと地面に落下した。


 同時に体も力を失って倒れ伏す。




 田中くんは肩を上下にしながら、それを見下ろしていたが――


 やがて絶命を確認したらしく、姿を消したのだった。



 遅れて、校庭の上に飛行パトカーやヤタガラスが集まってくる。


 魔女狩りと違い、魔力を失いながらもケルベロスの死体は残っていた。



 普通は、魔力をできるだけ減らさないようにすばやく解体して、素材として持ち去る。


 ダイノヘイムでは、そうなっているらしいが。









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