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132/301

その132、鎧のごとく



 そして、八郎くんは目を覚ました。


 性器がなくなっていたことに、ひたすら驚いており、



「ええ? えええええ…………!?」



 とにかくもう、それは見ていて気の毒すぎるほどで。



「魔女狩りと戦ってくれと言った時は平然としてたのにねえ……」



 私は思わずつぶやいてしまう。



「あの時は、どうなってもいいと思ってたから……」


「え?」



 聞き捨てならない発言に、私はギョッとなる。



「あ……」



 八郎くんは『しまった』という顔で目を伏せたが、



「いやあ、色々あったからけっこうアレな感じというか? 混乱?」


「じゃ、また同じことやれと言われたら?」


「む、無理じゃないですかね……。力もなくなっちゃったし……」


「……」



 その発言通り、現在の八郎くんの魔力は著しく下がっている。


 平均的なCランク程度の魔力しかないのだ。



「下がるというより、使い切ったというべきでしょうな」



 横から口を出してきたのは、松上少年だ。



「ちょっとテストしたいので、お付き合いください」


「あ、うん」



 そのテストとやらに、私も同伴することにした。


 場所は、施設の中庭である。



「では、今説明した呼吸法をしながら、周辺の魔力を吸収するイメージで――」


「――」



 八郎くんは何度か独自の呼吸法を行った後、両手を空に広げた。



 すると、私にも明らかな魔力の流れを感じ取れた。


 八郎くんの内部に、急激な魔力が膨らんでいく。



 そして、同時に八郎くんの衣服が弾け飛んだ。


 さらに八郎くんの細身が、鎧のようなものに覆われていくのだった。


 いつかPRGで見た重装兵ヘビーアーマーに似ている。


 体型は相撲取りのようなアンコ型で、手足が大木のように太い。



「う、うあ!? なんだ、コレ! なんだコレ!?」



 変身してしまった八郎くんは可愛い声のまま、アタフタとして転ぶ。


 ズシンと地震みたいに中庭が揺れた。



「……なんともまあ、これはたまげたなあ?」



 松上少年はマジマジで八郎くんを見つめ、首をかしげる。



「少し触ってよろしい?」


「あ、うん……」



 松上少年、許可を得てから装甲のような表面を触っていたが、



「これまた興味深いですな」



 しまいには、拳でコンコンと叩き出した。



「痛いですか?」


「いや、何も……」


「でしょうなあ。ちょっと失礼」



 言うなり松上少年はいきなり八郎くんを蹴飛ばした。



「ちょっと!?」



 私は怒鳴ろうとしたが、松上少年は逆に吹っ飛んでしまう。



「……恐ろしい防御力ですよ。これ衝撃を簡単に吸収する……」



 大の字になったまま、松上少年は楽しそうに笑うのだった。


 どうやら、八郎くんの前途はややこしいままのようである。






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