表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/301

その131、嵐の去った後で



<反応消失――>



 雷撃を受けた魔女狩りは、ブスブスと黒い蒸気を上げながら消えていく。


 本当に片づけてしまった……。


 あんなでかい化け物を、たった一人で。



<八郎くん?>



 通信を送ってみたが、返事はない。



<魔力が急速に低下しています! 気をつけて>


 松上少年からの声を受け、私は急いで接近する。


 と、空中にいた八郎くんはガクンと崩れ、落下を始めたのだった。



 やばい……!



<八郎くん、八郎くん!?>



 すぐさまキャッチしたが、通信を送っても返事がない。


 まさか、魔力を使いすぎて……!?



 いかんよ、いかんよ……。いくら怪獣やっつけても、そんな終わり方は……。



 私はすぐに松上少年に連絡を入れ、八郎くんを施設まで連れ帰った。



 スーツとメットを脱がすと、八郎くんは昏睡状態。


 しかも、水色の髪が普通の黒に変わっていた。体型も変化している。



 そのまま、事後処理は松上少年に任せ、私は八郎くんについていた。


 で、検査の結果。



「……えーと。性別が、なくなっていますね?」



 検査した医師が困惑した顔でそう報告する。



「え? ど、どういうことですか?」


「つまり、以前は確かにあった精巣や子宮、性器などがなくなってます」


「ええーー……」



 両性具有から、無性状態? どこまで変化が激しいんだろうか。



「で、健康状態は!?」


「そのへんは大丈夫です。性別の点以外は、特に異常も見られません」



 ふう、と私は息を吐く。ようやく人心地ついた気分だった。



 許可を得て、私も八郎くんの寝顔を見たのだけれど……。


 顔立ちは、特に変わってもいない。 


 相変わらずの、羨ましいくらいきれいな顔だ。



「これって、どういうことでしょうか?」


「さて……」



 ヅカテ氏に聞いてみたが、彼も困惑してる様子だった。



「性別を変える種族や魔法は存在するけど、こんな変化の仕方は見たことがない」


「魔力の反応は落ち着いているんですが……」


「以前のような異常な数値数ではないねえ。まあ、普通になったと言えるのか」


「はあ……」



 そうなると、私たちは将来の災害に対処する人材を失ったのだろうか?


 まあ、無事に生きていたくれただけで、良しとすべきなのだろう。



「周辺の魔力素を吸収しているわけもないな……。以前の状態はなんだったんだ?」



 ヅカテ氏はしきりにうなっていた。


 施設の研究員たちも色々検査を繰り返すが、結果は変わらなかったようだ。



「いやはや。ようやく一段落つきました」



 そんなことをしていた折、松上少年が帰ってくる。



 大トカゲ魔女り狩りの出した被害で、日本は大わらわだ。


 対モンスター対策も大幅に変更が余儀なくされた。



 そして。



 政府から、八郎くんについての質問が山のようにやってきた。



「諸外国からも、色々探ってきてますねえ」



 松上少年もうんざりした顔で、報告書を読むのだった。






よろしければ、感想や評価ポイント、ブクマをお願いします!

感想は一言でも歓迎!

あなたの応援が励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ