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その13、魔法の訓練はきつし

訓練は瞑想。




 吉田エミリが転がり込んできたおかげで、『私』の話題は流れてしまった。



 新入生たる私たち。


 いよいよ魔法学校で学び始めることとなるのだが――



「なんか、禅寺みたい……」



 私は休憩時間に思わずつぶやいた。



 基礎科目である数学や国語、英語などはそう変わらない。


 問題は、魔法を学ぶ授業だ。


 基礎知識は事前にある程度予習していたから問題ないのだが。



「まずは魔力を制御できるようになること。これが第一です」



 と、担任の武市は言う。



 クラス一同『訓練室』なる何もない部屋に連れていかれ、座る。


 その後半眼になり、事前に教えられた呼吸法などを行い、瞑想。



 なるほど。なるほど。



 黒羽の肉体というか、才能は確かなようで。


 やってすぐに魔力をしっかりと感じられた。



 魔力を滞りなく前進に循環させ、ゆっくり燃やすイメージ。


 これによって、魔力を強化、さらに体になじませるらしい。



 訓練中は私語厳禁。



「違反者には罰がありますから、気をつけて」



 と、武市は怖い笑顔で言うのだった。


 最初はなかなか戸惑ったが、慣れてくると不思議な快感がある。



「それまで」



 武市が声をかけるまで、私は半分自分の意識に埋没していた。



 そして。


 さっきのセリフとなるのだが。



 私が膝をほぐして深呼吸していると、



「うあ……」


「きっつい……」


「なにこれ……。後ですごいくる……」



 と、クラスメイトはみんな死屍累々。


 半分以上が大の字になったり、倒れたまま動けないようだった。



 そういえば。



 私も確かに疲労感がずしっときて、足が重かった。


 この後が昼休みなのは幸いかな。



 まきめやエミリも、グロッキー状態だった。



「大丈夫?」


「……はい。多分」



 まきめは何とか返事をするけど、顔を上げられない。




「こひゅー、こひゅー……」



 エミリはただ荒い呼吸をするばかりで声も出せないようだった。



「じ、刃光院さんは、平気、なんですか?」


「平気ってわけでもないけど」



 言って、私は座り直す。



 後から疲労はきつくなるけど、倒れるほどでもない。


 黒羽の持つ資質に感謝すべきなのか。 



「この基礎訓練は基本毎日行います。休みでも家でやっておくといいですよ」



 パンパンと手を打ちながら、武市は笑顔できついことを言うのだった。


 クラス一同、何とも言えない雰囲気である。



 やれやれ、と思いながら、私はふと妙な違和感。



 ……すっかり忘れていたけど。



 ヒロインの坂本ゆみかはどこだっけ?






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