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128/301

その128、YESと答えた彼(彼女?)

本日2回目の更新です。



「わかりました」


「え?」



 あまりにもあっさりした承諾に、私はかえって不安になった。


 八郎くんは美しい顔を平然とさせたまま、YESと言ったのである。



「いや、あの、非常に危険というか無茶な話だと思うんだけど……」



 自分で頼んだくせに、私はアタフタしてしまう。おお、情けない……。



「それはわかりますけど……。松上くんの考えでしょう?」



 八郎くんはそう言って、私の横に立つ松上少年を見た。



「怖いけど……できないことをやれというタイプじゃないし。できるって言うのなら、やって見るのも悪くないかも――」



 八郎くんと対峙する私たちは変身を解いて素顔のままだ。


 仮面をつけたままする頼み事ではないと思ったからだが……。



「やってダメだったら逃げてもいいんでしょう」


「それはそうだけど……」


「逃げられたら、ですがね」



 言葉を濁す私に、言いにくいことをハッキリ言う松上少年。



「あの魔女狩りは大味な攻撃しかしないけど、破壊力も範囲もすごい。危険は大きい」


「だけど、僕にやれと」


「はい、そうです」


「……なるほど。やります」


「本気で言っているの?」


「はい。それに、黒羽さんも一緒にいってくれるんでしょう?」


「ええ」


「だったら、勇気100倍です。何だかスゴイいけそうな気がしてきた」



 八郎くんには実に似合わないガッツポーズをとり、笑顔で言った。


 ただ――


 その笑顔はどこか捨て鉢なようでもある。いや、それは当然なのだろう。



 内実は、怪獣を倒すために特攻してこいと言ってるのだ。



「けど、どこまでできるかな……」


「実行時は僕が通信でサポートします」



 と、松上少年は黒いヘルメットとスーツを八郎くんに渡す。



「サイズは合わせてあるので、すぐ着れるはずですぞ」


「ありがとう――」



 八郎くんは受け取ると、その場で服を脱ぎ始めた。



「あ、ちょ……」



 止める間もなく下着だけになり、すばやくスーツを着込む。


 松上少年や田中くんのものと同列のデザイン。


 ただし、体型にフィットしているために体のラインがバッチリ見えてしまう。



 ちょっと、セクハラかも……。



「これ、ちゃんと前見えるの?」



 ヘルメットを両手に持ち、八郎くんは疑うように言った。


 全面は黒で覆われている上に、顔面には黄金の蝶がデザインされている。



「大丈夫。視界は万全です」



 松上少年が受け合うと、八郎くんはメットをかぶった。



「おお、ホントだ!? 何か素の時より良く見えるみたい……!」



 八郎くんは感動したように叫び、キョロキョロと左右を見回す。



「補助機能があるので、生身よりも魔力操作も容易になっています。負担軽減できるかと」


「うん、バッチリ。体は自由に動くよ」



 八郎くんはふわりと浮きながら、楽しそうに言った。


 はしゃいでいるけど、良いのだろうか? まさか、死ぬ気じゃないだろうな?



 あっさり承諾したことといい、私は不安が消えなかった。






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