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122/301

その122、二つともある美童



「……大丈夫? どこか異常はない?」



 ヅカテ氏は危険はないと言っていたが、それでも確認してみる。



「あ……大丈夫です」



 美少女となった八郎くんは、夢から覚めたような顔でうなずいた。



「僕……どうなったんだろ?」



 八郎くんは言いながら、ベッドから降りる。


 よく見れば、周辺というか部屋中に蛹の残骸が散らばっていた。



「蛹の殻は残しておいてください。後で入念に調べるので」



 部屋に入ってきた松上少年が残骸を浮遊させながら、透明な箱に集め出した。



「まったく……。とにかく、着るものを」



 私は部屋に置いてあった服を手に八郎君を見て、



「えっ!?」



 自分でも驚くような声を出してしまった。



 何故なら。



 完全に美少女になってしまったと……思われた八郎君の股間。


 そこに、男性のシンボルがしっかりとぶら下がっていたからである。



 色は白だったが、しっかり大人の形をしていた……。うわあ……。



「ひえ……!?」



 気づいた八郎くんはあわてて股間を隠す。



「……あー、ごめんなさいね? これ、どうぞ」



 私は目をそらしながら八郎くんに服を渡した。


 今さら男性シンボルくらいでキャーキャー言う年齢ではない。前世をプラスすると。



 八郎くんはあわてているせいか、スムーズに服を着れない。


 ちゃんと着るまで結構な時間がかかったようだ。



「ふーん……。なるほど……」



 ヅカテ氏は小型の魔法陣を展開させて、八郎くんを調べて、



「どうやら、両方の特性があるようだね。まあ、男4で女6というくらいか……」



 不思議そうな顔で分析を述べていた。



「ぼ、僕……どうなっちゃったんですか……?」


「いわゆる両性具有になったようだなあ。機能まではすぐにはわからないけど」


「機能って……」


「ま、そのへんは医者の意見も聞かないとね。しかし……」


「しかし? なんです?」



 少し表情のきつくなったヅカテ氏に、私は尋ねた。




「この魔力数値は、本当にダークエルフの域だぞ? 人間という種を圧倒的凌駕している」


「確かに魔力は感じるけど……」



 大きな力はあるが、あまり危険は匂いはなさそうだと、私は感じるけど。



「魔法を使うにしても、うまく制御しないととんでもないことになるなあ……。逆に、魔力が強すぎて魔法を使えない可能性さえある」


「何か、補助する装置が必要かもしれませんなあ」


「下手に拘束したり抑え込むと、かえって存在魔力が上昇するかもしれない」



 男ども二人はうなずき合ったり、話し合ったり。……なんか楽しそうだ。



「八郎くん、君は原因はわからないけど、魔法の力を得てしまったようなの」


「……はあ」



「それがどう作用するかはまだわからないけど、もしも制御できるなら協力してほしい」


「僕がですか?」


「ええ。もちろん報酬や待遇はきちんとします」



 男衆が学問的なことに熱中しているので、私は今後のことを話しておく。



「ただ、名前は変えてもらうことになるかもしれない……。あなたはその、前とは全く違ってしまっているし……」



 そのへんを話しても、八郎くんはあまり関心がないようだった。






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