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117/301

その117、再び現れた怪人物

久しぶりに登場したキャラ。




 その時――



 私はふと違和感をおぼえて顔を上げた。


 松上少年もヅカテ氏も、うなだれたまま固まっている。動かない。



 しかし、何だこれは。



 二人は呼吸も何もしていないようだった。石のようになっている。


 そして、お代わりをいれたばかりの紅茶。


 湯気が立っているけれど、その湯気が空中で静止しているのだ。



 これは……!!



 おぼえがある。かつて2度経験した。


 最初は、入学式。2度目は、鳥型ツールと『秘密基地』をもらった時の……。



「いやあ、まいったまいった」



 部屋の中に、いつの間にかさえないあのサラリーマン風の男性が立っていた。


 ハンカチで汗をふいている。



「あなたは――」


「ええと、今回はあなたにある情報を届けに参りました」



 男性は言って、小さな紙片を手渡してくる。



「ちょっと待って!」



 受け取りながら、私は男性の腕をつかむ。



「な、何です?」


「あなた誰? 何で私に魔法の杖だの、鳥のロボットだのをくれたんですか!?」



 過去に言えなかった疑問を、ここぞとばかりにぶつける。



「ですから、私はただのお使いみたいなもので……」


「じゃあ、誰に頼まれたの!? こんなことして、何の得があるの?」


「……それは私にはわかりません。ただまあ、あなたにはわかるだろうと言われましたけど、『転生特典』の後払い、のようなものだとか……」


「てんせい? それは、私を生まれ変わらせた相手ってことですか?」


「まあ、はい、そうです」



 男性は恐縮したように何度もうなずいている。



「それって、神様ってこと?」


「うーん。それはまあ、そういう解釈でもいいんじゃあないかなと思いますが」


「あなたの上司……多分だけど、そうなんでしょ? それがわからない?」


「私も何もかも聞いているわけじゃあないんです。カンベンしてください」


「そう……」



 私は煮え切らない相手の態度にいらつきながらも、いくらか気分を落ちつかせた。



「じゃあ、その神様だかの超能力? を使って、私たちを助けていただけませんこと?」


「そ、そういう権限も能力も私にはないんですよ」


「じゃあ、ホントにただのお使い?」


「だからそう言っているじゃあないですか」



 男性はちょっと泣きそうになっている。逆に私のほうが情けない気分だ。



「ただ、お渡しした情報がきっと助けになるだろうと聞いてはおります」


「これが?」



 改めて確認してみると、どこかの住所が書かれていた。


 関東圏だからだとかなり遠いな。



「では」



 私が紙面を見ている隙に、男性はするっと手を逃れて小走りに逃げ出す。



「あ、こら……!!」



 叫んだが、その時にはもう姿は見えない。気配もない。



「はあ……」



 私は紙を慎重にしまい、納得できないまま席に戻った。


 そして、時はまた動き出す――何も変わらないまま。



 だが、私はジリジリと焦りを抱えながら、紙をしまったポケットを触り続ける。







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