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103/301

その103、テロリストは止まらない

ずっと戦闘シーンばかりな気がする今日のこの頃……。




<広域探知。高濃度魔力確認――場所……>



 私が佐藤を吹っ飛ばした後、反応を確認した。


 県庁に近い場所と、高速道路内のある地点。



 飛行自動車の普及で、旧来の高速道路は寂れつつある。


 それでも、普通の自動車がけっこうあるの現状は維持されているが。



「もう、あんたのテロは失敗した。警察に渡す気はない。このまま去ってくれ」



 私はダメージを受けて屈みこみ佐藤に、淡々と言った。



「……嫌だね」



 佐藤は、一瞬身震いした後、顔を上げる。



 私はそれにギョッとして声を出しかけてしまった。



 佐藤の顔は、爬虫類のような特徴を持った異形に変化していたのだ。


 鱗に覆われた顔に、毒蛇の瞳。



 明らかに尋常ではない。


 元々、異種族だった……いや、この感じはおそらく違う。



 何より、感知される魔力が普通の反応ではなかった。


 バイタルが不安定なものになり、メラメラと燃え上がるような反応。



 これは……明らかに、佐藤自身に大きな負荷をかけている。


 そのくせ、魔力は先ほどとは比較にならないほど強力なものに。



 どうやったのかは、わからない。


 だが、多分佐藤は自分の命を削って、魔法と魔力を手に入れたのだろう。



 そうなると――



 私は身構え、冷たい覚悟を腹の底で決めるしかなかった。



 佐藤は、自分の命などとっくに捨てているのだろう。


 命を捨てても、自身の憎悪を全うしようとしている……。



 さっき見た狂人の瞳は本物だったようだ。


 もはや、きれいごとの説得で止まる相手ではない。


 あるいは10数年前からそうなっていたのかも。



 私は無言で構え、嫌の気分を抑えながら拳を握り直した。


 もしかすると、人を殺すことになるかもしれない。



「しゃああああああああああああ!!!」



 佐藤は蛇の呼気音を吐き、マシンガンを乱射してきた。



 私は顔を両腕でかばい、ダッシュする。


 装甲が削れ、体のあちこちに被弾して痛む。



 しかし、下手に距離を取れば千日手になりかねない。



 私は接近して、本気のパンチで殴りかかった。


 それに、佐藤の銃剣が返してくる。


 前に増して切れ味や重さが凄まじい。


 当たり所によっては、手足が落とされる危険もあった。


 力を温存できる状況ではない。



<魔力ブースト――>



 私は短期決戦のため、魔力をフル稼働で挑みかかる。


 本気の殴り合い、斬り合い、刺し合いだ。



 佐藤からはどんどん人間的な部分が削れ、毒蛇に近づいていく。



 考えてみれば、こいつの操る魔女狩りがFA選手たちを何人も殺めている。


 犠牲になった警察官もいる。


 すでに、彼は『向こう側』に行ってしまったのかもしれない。


 躊躇すれば、こちらが犠牲者の一人にカウントされるだけ。



 私は思考を切り捨て、ただ相手を打ちのめすことだけに集中した。


 それでも、おいそれと倒れてはくれない。


 私が殴れば、相手が斬りつける。



 傷つけ、傷つけられた感触だけを感じて、私は無我夢中で動いていた。





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