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102/301

その102、凶行は防げるか?



「断る――」



 佐藤は即答した。


 同時に、その頭上に不気味な輝きの魔法陣が展開していく。



「では、仕方ありませんな」



 松上少年のため息に、私は軽く拳を握った。



 魔法陣からは、前以上に禍々しい雰囲気をまとう合成獣が現れる。


 まるで、佐藤の恨みや憎しみを全てまとっているかのようだ。



 多分どうあがいても説得は無理だったのだろう。



 私と松上少年も、鳥型、蟹型のツールを呼び出す。


 2体の頼もしいしもべがいても、合成獣の魔力・迫力・圧力は強烈だ。



 佐藤が、マシンガンを右腕に融合させる。銃剣がギラリと輝いた。


 合成獣が吠えて、サソリの尾をぶるんと震わせる。


 と、毒針が一瞬膨れ上がったかと思うと、巨大な針がミサイルのように飛んだ。


 さらに、毒蛇の顔からは毒霧を吐き出す。



 鳥型ツールは背後に回り込みながら、魔力弾を連射する。


 蟹型は短いチャージから、レーザーを撃った。



 いずれも着弾したが、合成獣は怯まない。そして止まらない。


 前よりも強度・防御力が増しているようだ。



 松上少年が障壁を展開して毒霧を防ぐ間、私は佐藤に挑みかかった。



 放たれる弾丸をかわし、防ぎ、肉薄する。


 そうすると、今度は銃剣が獣のように襲ってきた。


 装甲で覆った腕や足で受け止めるが、ビリビリと軽い痺れが走る。


 力はそれほどでもないのに……。



<毒魔法探知――>



 なるほど、刃の毒がわずかながらにも伝わってくるのか。


 こいつはやっぱり、面倒くさい相手だ……!



 佐藤自身の腕は圧倒されるようなものではない。


 だが、全くの素人でもなかった。


 確実に私の急所を狙い、攻めてくる。


 何よりも山田にはなかった凄まじい気迫があった。



 必ず、殺す。


 そういう呪いのような信念とも妄執ともつかないものが。



 やがて、装甲と刃がぶつかり合い、鍔迫り合いのような形になった。


 暗い炎を宿した、佐藤の目が睨んでくる。


 ほとんど、狂人のように思えた。



「俺を足止めしても、無駄だぞ……」



 暗い、濁った笑みを含んだ冷たい声で佐藤は笑う。



「――知っている!」



 私は答え、掌底で佐藤を吹っ飛ばした。



 佐藤の他にも、別動隊が何らかの破壊行為を行うだろう。


 松上少年はそう予測していた。


 おそらく今度は狙った場所にモンスターを発生させるだろう。



「そんなことが簡単にできるの?」


「人間には無理でしょうがね。でも、エルフやダークエルフなら難しくない」



 ましてや魔物の発生しやすい日本の環境下なら……ね、と松上少年は首を振っていた。



「かなり隠密性の高い魔法を使うでしょう。けれど、直前に高い魔力が検知されることはまず間違いない。それが被害を小さくできる鍵かも」


「検知できたとして、誰が対処するの」


「それは仕事をする人たちにやってもらいましょうよ」



 笑いながら言って、松上少年は空中にデータ画像を映してみせた。


 現在日本で活動している異種族の魔法使いたちを。






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