心の皮
物語はリアルだから面白い。
現実味のない話はつまらない。
リアルな葛藤が、読者の心を刺激する。
これは、一人の男の片想いの物語である。
人は、本当に人に恋をする時、
今までの恋愛は擬似であったと悟る。
人は、本当に人に恋をする時、
今までの恋愛は擬似であったと悟る。
だが、その本当の恋は、ほとんどの場合、実らないことが多い。
男は信じている。思い描いたものを実現できると。
その実現には、どうしても破かないといけないものがある。
男は、仮性包茎でもあり、心も仮性包茎だ。
常時、人前では、実が顔を出さない。
高校までの不遇さ、大学時代の失恋など、
報われなかった記憶が、その男を包み始める。
ちょっとやそっとやじゃ傷がつかない頑丈な皮は、
男の心を鈍くする。響かない。刺さらない。
自分なりに消化した液体を染み込ませないと、その男の心には届かない。
その男は、人間の狂気に敏感だ。
怒ること、侮辱すること、そんな人間らしいものに、人間らしいなと受け入れつつも、
その皮は、全力で、その男を硬く包む。
お節介な人間どもは、包茎手術を施そうと、試みるも、
動じない。
男は、動じないことでポジティブになれることを良く思っていた。
だが、その皮が男の成長を妨げいているのだとしたら、
諸刃の剣だ。
男は、中途半端さに嫌気がさしている。
本当の意味で変わり、描いたものを実現したいと思っている。
その場が見つかっても、その皮が男の光を奪ってしまう。
自問自答する。その皮をゆっくり下ろして、本当の声に質問を投げかける。
その男は、本当の気持ちに向き合い続ける。
自分の可能性の引き出すことを諦めない。
報われなかった片想いを後悔しながら。