第6話
年末から期間が空いてしまい申し訳ありません
明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
苦しい…
今日も今日とて満員電車の中、肉団子にされる勢いで押し潰されそうになる
この世のあらゆることには〈慣れ〉というものが存在するらしいが、どうも満員電車だけには適用されない概念らしい
そして春は新生活を始める人間が多いようでいつにも増して混雑しているようだった
まぁこの美少女留学生(仮)も、そのうちの1人と言えるのだが…
「…ぐっ うえっ ハァハァ… ハッ!!」
アリサ、お前なにかと格闘してんのか
つり革に捕まっているアリサだが電車の揺れに揺らされて、立ってるのもままならない様子だ
「大丈夫か? つり革が高いなら俺の腕にでも捕まってもいいんだぞ」
「ハァ!? 誰がアンタなんかの腕に捕まるもんですか そんなことするぐらいなら床に座った方がましよ」
乗客がいるので声は張り上げられないが、キツめな表情をしている
片手は床を指差すジェスチャーをしている
ほんとボディーランゲージが多いなこの人は
つり革の手、片手で大丈夫か?
でも普通そうだろうな
昨日今日会った男の腕を掴むなんて、逆の立場なら絶対したくない
心配しての発言とはいえ後悔した
暫くはお互い無言で、ただひたすら満員電車を過ごしていた
ガタンッ
電車がカーブに差し掛かって大きく揺れた
その拍子に片手でつり革を握っていたアリサが転げそうになったのだ
一抹の不安が見事的中した
咄嗟にこちらに抱き寄せる
なんとか間に合ったようだ
「危ねえなあ 大丈夫かよ?」
アリサは何も言わない
「どこか打ったか? 足でも捻ったのか」
「……」
??
どうしたんだろうか
「…がと……」
電車の音でなんて言ってるか全く聞こえない
「え? なんだって? がと?」
それまで俯いていたアリサがようやく俺を見上げてこう言った
「ありがとって言ってんの! あといつまで触ってんの!? キモいんですけど!!!」
例えるなら林檎だった
礼を言うのが恥ずかしかったのか、胸を触られたのが恥ずかしかったのかは分からないが
デレたアリサは心底可愛かった
「あぁ すまん… 不可抗力ってやつだ 許して欲しい」
「わかってるわよ… 私の不注意だったから けどアンタ、一生の運を使い果たしたわね 可哀想に思ってあげるわ」
こんな時でも上から目線の物言いは変わらないし、片手はまたもや自分を仰ぐボディーランゲージに使われてしまっている
失敗から学ばないタイプだな…
「両手で捕まんないとまた転げるぞ おチビちゃん」
「聞き捨てならないわね? 撤回しなさい?」
「身長が伸びたら撤回してやるよ」
「今に見てなさい、アンタなんか直ぐに抜かしてやるわ」
おいおい、身長180超えの女の子とか、俺は怖いぞ少しだけ
「はいはい そろそろ着くぞ」
容姿端麗、完全無欠って感じなアリサミルフォードかと思いきや案外ポンコツな一面もあるんだなぁと思った高校2年生2日目の朝通学であった