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第3話

一体どういう状況なんだコレ…


現在俺は、この美少女留学生アリサ ミルフォードと1つの部屋に2人きりで座っている。

改めて見ても実に可愛らしい顔たちである。

綺麗な二重ラインは主張が強過ぎず、くっきりとした輪郭は、スレンダーな証拠だ。可愛い。


おそらく5分も経ってないと思うが、体感する時間の流れが遅すぎる。

緊張とは、まさにこのことだ。



『青峰幸真クンとアリサはこの後進路室に来てくれ』


先程LHRの終わりがけに森島先生にそう告げられてやってきたわけだが、とても気まずい。

クラスの男子からの視線がとても痛かったのを思い出す。


そりゃそうだろう。なんでお前なんだよってメッセージが届いてたもん。

けどな、それは俺が1番知りたい。


とはいえ、このまま沈黙に耐え続けるのもしんどかったので俺から話題を切り出すことにした。


「Umm.. so Alyssa, why did you come to Japan?[えーと… そのアリサ、なんで日本に来たんだい?]」


このくらいが無難な話題だろうと思いながら、尋ねると


「Sorry, but we are not close enough to explain the reason.[ごめんなさい、その理由を説明するほど私たちは仲良くないわ]」


………

無難どころじゃなかった。

距離感が完全にログアウトしているぞ。

あれ以上にベストな質問があったか!?

いやまあ、あったんだろうけど

それは俺の管轄外だわ。


戸惑っていると、今度はアリサから質問があった。


「Don’t mind that. By the way, why you are so good at in English?[気にしないでいいわ。ところであなたはなんでこんなに英語が上手いの?]」


気にするなと言われても、気にはなってしまうものだ。

だが、まあ話題が増えたので結果オーライだな。


アリサの質問に答えようとした、その時

進路室の扉が開いて、森島先生がやってきた。


「やあやあ。青峰クンだったな。今日ここに呼んだのは他でもない、キミに頼みごとがあるからなんだ」


「頼みごと?ですか…」


なんなのだろうか。俺は人に頼まれるほど優秀な人間ではないのだが。

まあ話を聞いてみよう。


「さっきの1発目の自己紹介でキミは躊躇なく、英語を話していたね?あのコミュ力は大したものだ。そしてイギリス訛りの流暢な英語力を持つキミの実力を買っての頼みだ」


この人訛りまでわかってしまうのか…

実は俺は、生後から小学生4年生までの時期をイギリスで過ごしていた帰国子女なのだ。

まあだから英語力はそこそこ高いと自負していた。


訛りとはおそらくその名残のせいだろう。

それをたったあの瞬間だけで見抜くのは、流石英語科担当教員といったところだ。


「それで僕は何をすれば?」


「キミには、日本語がまだ上手く話せないアリサにつきっきりで学校生活をサポートしてもらいたいんだ。通訳を含め、学校のことでわからないことは説明してあげてほしい。ついでに日本語も教えてくれると助かるな」


「おっけーです」


「おお、即決だね。今からアリサに説明するから青峰クンはもう帰りたかったら帰ってくれていいよ。ありがとう、感謝してるよ」


「はい、では失礼します」


----------------



おっけーです。で良かったのか!?!?!?

教室のある階の廊下で俺は後悔に近い感情を抱いていた。



そう、俺は何か大切なものを失ったのではないのだろうか…

美少女をつきっきりでお世話する権利を得た反面、俺の自由行動が剥奪されたんじゃねえの?


いやでも、こんな千載一遇の権利を見逃すほど馬鹿じゃない。


上手くいけば付き合ったりも出来ちゃうかもしれないし!?


そんな俺の汚らわしい妄想をかき消すかのごとく、あの男が現れた。


「おいおい… なにニヤニヤしてんだよ… 気持ち悪り〜」


「陽平か。部活は行かないでいいのか?てか気持ち悪いとかいうなよ…」


ニヤニヤしてたつもりは無いんだ。


「今日はもう帰るわ。一緒帰ろうぜ。悩みがあったら聞くからさ。らしくない顔しないでくれよ」


本当にコイツのこういう優しいところが俺は好きだ。何かあったらすぐ心配してくれるんだなあ。

彼女がいるのも納得できる。調子に乗るとアレだけど。


「大丈夫だ。悪いけど今日は寄るところがあるから1人で帰るわ。あと悩みなんてねーから安心してくれ」


「そうか、じゃあな幸真」


「おう また明日」


陽平と別れて、1人教室で帰り支度を始めた


アリサのカバンがまだそこにあった


今日からアリサのサポートをしていくのか…

上手くいくのかわかんねーな

通訳を含め日本語まで教えるのか…

自信はないけど精一杯やってみようかな


そう思いながらいると、教室にアリサが帰ってきた


目があって、先に口を開いたのはアリサだった


「ちょっとアンタなに勝手に私のサポートだか、なんだか知らないけど引き受けちゃってんのよ!」


「ん?今聞き間違えたかな…」


もしくは人違いだろうか


「私これからどうしたらいいの?アンタとは学校でずっと一緒にいなきゃいけないワケ?どうしてくれんの!?日本語ペラペラなのバレちゃったし!!やばいわよ!」


何故、流暢な日本語がこの美少女留学生の口から聞こえるのだろう…


今世紀最大の謎が生まれた

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