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第16話

己の寛容さを自称するのはどこぞの自称優等生留学生さんと似通った行為かもしれないが、俺の許容範囲は人より広いと思っている


ただ人より広い心を持つとはいえ、俺も人間だ


どうしても嫌いなことが2つだけあるのだ


それは、めんどくさい事とグリーンピース


にしても嫌いなものが2つだけというのは凄いことではないだろうか

(今後の人生で増える可能性はあるが、今のところはこれだけだ)


だがこの2つは大きく性質が異なる


後者に関しては自分が避ける努力をすればエンカウントすることは無いのだが、前者については俺1人ではどうすることも出来ないときがある


そう、他者が関わっている場合だ


俺個人の働きとは無関係に他者は行動し、めんどうな問題を生み出すことがあるのだ


そして、この〈他者が関わるめんどくさい事項〉が今、俺の目の前で起こっている


「なんなの…あっちに行きなさいよ アンタらみたいなクソチンピラとつるんでる暇はないの」


アイスを購入し、店から出た俺が見たのは、アリサとそれを取り囲む3人の不良高校生達だった


俺の美少女クラスメイトに何やってんだよと言いたいところだが、ちょっとだけ怖い


正直、こういう場面は漫画やドラマでしか見たことがなかったし、現実で起こるなんて思ってもみなかった


全く、毎度毎度、なんでこんなめんどくさいことに巻き込まれるんですかね…?


兎にも角にもアリサの身の安全の確保が先決と判断したので、勇気を出して不良の輪に割って入ってアリサを連れて出すことにした


「待たせたな アイス買ってきたぞ 行こうか」


「あっ」


アリサの手を左手でぎゅっと握りしめ、俺はそこから歩き出す


しかし、物事はそう上手くいかないもので不良たちが行く手を阻んできた


「オイ、なにシカトしてんだよ」


俺と同じくらいの身長の不良Aが迫ってくる


とりあえず相手を刺激しないように穏便に…


「悪いね 時間がないんだ 買ったアイスが溶けちゃうから」


「へぇ〜? アイスってその右手に持ってるやつのことかァ?」


「……ッッ!?!?」


次の瞬間、右手に激痛が走る


反射的に両手の力が抜け、荷物を全て床に落としてしまう


在ろう事かアリサの手も離してしまった


どうやらタバコを押し付けられたようだ

左手でおさえる右手がとんでもなく熱い


タバコの火って900度近くあるんじゃなかったっけ


はっきり言おう マジで痛い


そして不良Aは床に落ちたコンビニの袋を上から足で踏みつけた


コイツ…!!俺の買ったハーゲン●ッツを見るも無惨な状態にしやがって


てめぇが踏みつけるために買ったんじゃねえんだぞ


ビビっていた俺の心の中に、次第に怒りが溜まっていく


「ハッ これで帰る理由が無くなったなァ アリサちゃん?だっけ」


気安くアリサの名前を呼ぶんじゃねぇよ


「Fu●k you!![クソ野郎ね!]」


【悲報】自称優等生アリサ、まさかの放送禁止用語をかます


そんな掲示板テロップを頭の中に思い浮かべてしまった


だが不良Aはアリサの言葉に逆上した


「おいコラ… 言葉には気をつけろよ?自分の立場を理解しろや」


「ッ…」


目の前にいた不良Aは、アリサの喉元と腕を掴んで壁に押し付けた


「アリサッ!!!」


「ウッ… 苦しぃ」


苦しむアリサ

喉を締め付けられているので、声がかすれている


その表情には悲痛さが滲み出ていた


「土下座して謝れば離してやってもいいけどなァ… ま、こんな状態じゃ出来っこないか」


頭の中で何かがプツンと切れる感覚があった


これがガチギレというやつ?


その瞬間、この世の嫌いなものが1つ増えた


アリサに暴力を振るうドクズ、テメーだ


許しを乞いても許さない

いや、許しを乞うことすら出来なくしてやる


俺はそう決めた


「…消えろや!!」


本能での動きなのか、右手で不良の後頭部を全力で殴っていた


かの有名なアドレナリンという物質が分泌されているせいだろう、根性焼きの痛みは全くない


「痛ッ………」


不良Aは防御の体勢を取りにかかるが、そうはさせない


続く2発目もクリーンヒットさせた


「………」


反応がないので一瞬だけ気絶していたのだろう


本来であればこれ以上追い討ちをかける必要はないのだが、血が頭に上った俺はトドメの膝蹴りを入れようとしていた


しかし俺は仲間の不良Cに腕を掴まれ、行動を制限される


「調子に乗んなよゴラァ!」


フリーの不良Bに顔面を思い切り殴られた


けどやはり、痛くない


それに、アリサが味わった恐怖に比べればどうということはないさ


「そんなんで殴ったつもりか!」


顔面にくれた不良Bを蹴りで突き飛ばし

俺を掴んでいた不良Cを肘で払い、金的を食らわせた


すかさず、悶絶する不良Cに馬乗りになって殴り続ける


だが意識の戻った不良A、まだまだ元気な不良Bが残っていた


「「ぶっ殺してやるからな!!!」」


「上等だ!」


怒り心頭の俺はまとめて2人相手をすることにした


---------


それからどれぐらいだろうか


俺と奴らは長い時間殴り殴られあい、お互いボロボロになった


不良は共に、顔面が赤く腫れ、血が流れ、打撲の色が痛々しかったが、きっと俺も同じなのだろう


もっとも不良達にはもっと重傷を負わせたかったのだけど、それは叶わぬ願いとなった


この決闘に勝者と敗者は生まれない


なぜなら決着が着く前に邪魔という名の仲裁が入ってしまったからだ


仲裁に入ったのは、俺の通う学校の生活指導担当教員だった


近隣の人が俺の制服をみて学校に通報したらしい


「青峰だな… 学校に来い それから保護者も呼ぶ」


あーあ


なんで父がいる今日に限って迷惑かけてしまうんだろうな


だが警察が来るよりは遥かにマシだったかもしれない


「わかりました」


「それから、そこの女生徒は関係者か?」


アリサを指差す教師


手に持っていたのは、潰れたアイスクリームの袋だった


「(そんなもの大事に持ってんなよ…)いえ、彼女はただの目撃者では?」


俺の発言に目を丸くするアリサ


お前を関わらせたらいけない気がする


「そうか… じゃあ来い青峰 傷の手当てが先だ」


そう言われると身体中が軋むように痛みだし、立ってるのがやっとであった


俺はアリサに何も告げずにその場を離れた


数十分後、父が学校に参上し、面談を行った結果



「青峰は2週間自宅謹慎だ」



高2の初っぱなから謹慎食らう問題児となったのである



一度でいいから、喧嘩を書いてみたかったんです


作者は殴り合いの喧嘩なんてしたことないので、どうしても描写がうまく出来なかったですね

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