プロローグⅠ
世界は今日も終わりへと着々と進んでいく。
今朝、アメリカ西海岸の都市が全滅したとのニュースが入った。
世界に魔物があふれている。
最初は人類が優勢だった。
圧倒的な物量と火力で現れる魔物を制していた。
だが、いつからだろう。
増え続ける魔物。
どこからともなく現れ人類を襲う化け物たち。
その終わらない攻勢に人類が押され始めた。
更に、内側からも崩れ始め、人類の衰退は進んでいった。
人までも魔物へと変わりだしたのだ。
今、世界には大きな壁で囲われた都市がいくつ残っているのだろうか。
どこも限界が近いと聞く。
だからこそ、無謀な論理が崩壊した計画さえも実行されるのだろう。
大義ゆえの正義。
過去の人類の映像。
街には人が溢れ、夜でも明かりで街がまぶしい。
夜の闇に光る赤い塔がまぶしい。
綺麗だ。
映像の中で夜が明ける。
その日も人々は街にあふれている。
当たり前だった日常。
壊れてしまった日常。
戻ってこない日々。
私が生まれる前の世界。
私からすれば夢のような日々。
空で光が弾ける。
突如現れた巨人とそれと戦う何か。
その戦いの衝撃で周囲の建物が崩れ、多くの人が巻き込まれていく。
映像はその悲惨さをひたすら記録している。
戦いは終わり、両者ともに朽ち果て塵となり砕け舞っていく。
舞い落ちる塵は白く雪のように崩れた街の上に降り積もっていく。
その日から世界は崩れだした。
その地を中心に化け物が現れだし、混沌が世界を覆いだした。
たくさんの人が戦った。
そして死んだ。
多くの犠牲の上で私たちは産みだされた。戦うために。
巨人の残骸に残されていた「卵」を複製し、植え付けられた4人。
化け物たちに生身で抵抗できる存在。
私たちは人間なのだろうか?
彼らの仲間なのか?
どちらでもいいのかもしれない。
私たちは戦うだけなのだから。
私たちがやるしかないのだから。
人類のために。
そう、人類のために。