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鮮血のドラゴンスレイヤー、帰宅する

見たこともない巨大な生き物がそこにいる。

背中の大きな翼を羽ばたかせ、逞しい四肢の先には鋭い爪が生えている、太く長い尻尾を揺らして、その大きな顎には無数の牙、鈍く光る眼は何故か片目だがそれ故に畏怖を覚える。

『レッドドラゴン』と、女騎士はそう呼んでいた。


「まさか、こんな所まで追ってくるとはな。やはり、あの時無理にでもとどめを刺しておくべきだった」


そんな女騎士の言葉に、レッドドラゴンは威嚇するように尻尾を地面に叩きつける。

その衝撃で、地震が起きたのかと思うほど大地が揺れた。

なるほど、察するに潰れている左目は女騎士がつくったものか。


「しかし、ここで戦うには民家もあって住人にも被害が及び危険だ。それに、私の住むところが壊されるのも困るし、どこか違う場所に誘いださなくては」


なにやら女騎士が困っているようだ。

なにか、俺に手伝えることはないだろうか?

そんなことを考えながら辺りを見回すと、そのには丁度いいものがあった。


「ええい、ままよ!なせばなる!」


震える足を強めに叩き気合いを入れる。

アパートの前に止めてあった俺の車に飛び乗る!

素早くエンジンをかけ吹かす。

低く唸るような音と振動が俺の体に伝わる。

どうやら、今日はご機嫌がいいようだ。

目立つようにライトを点け、女騎士に向かって走り出す!


「女騎士さん、乗って!」


そう叫んで、助手席のドアを開ける。


「な、なんですかこれは!?」

「説明は後だ、早く乗ってくれ!」


案の定、女騎士は驚いている。

都合よくレッドドラゴンも驚いているようだ。


「大家殿、狭くて入らないです」


そういえば、フルプレートの鎧が乗れるかは考えていなかった。

とにかく、シートを目一杯後ろに下げて背もたれを倒す。

ギチギチだがなんとか乗れたようだ。

素早く外からドアを閉める。

若干、車体が傾いているが気にしていられない。


「南無三!」


一気にアクセルを踏み込み走り出す。

クラクションを鳴らしながら、レッドドラゴンの周りを煽るように走る。

どうやら、レッドドラゴンが興味を持ったようだ。


「このまま、レッドドラゴンを誘導するから」


そう言って、たいして舗装されていない道を進む。

今日ほど、この車が四駆でよかったと本気で思ったことはなかった。

ルームミラーで後ろを見ると、レッドドラゴンが翼を羽ばたかせ飛ぶところが見えた。


「せ、狭いです。レッドドラゴンはどうしました?」


女騎士は文句を言いつつ、レッドドラゴンの様子を聞いてきた。


「どうやら、飛んで追ってくるみたいだ。あの巨体が空を飛べるなんて信じられん」

「レッドドラゴンの飛行速度は速いです。並みの馬車では簡単に追いつかれてしまいます。これがなんなのか分かりませんが、追いつかれるのも時間の問題です」


できるだけ民家がある場所から離れたい。

スピードメーターの針は180を指している。

レッドドラゴンを見ると、振り切ることはできないも追いつけてもいない感じだ。


「どうやら、簡単には追いつけないみたいだ」

「なら、開けた所がありましたら下ろしてください。あの街以外に近くには街も村もありませんから、戦っても被害が及ぶことはないと思います」


ある程度進んだところで開けた場所に出た。

後ろをみると、レッドドラゴンは直ぐそこまで近づいていた。

あんなに離れていたのに、脇見もせずに律儀に追っかけて来たみたいだ。


「ここなら、大丈夫だろう。女騎士さん、着きました」


車から降りて外から助手席のドアを開ける。

女騎士が這い出るように車から出てきた。


「ふう、やっと楽になりました。しかし、この乗り物は凄いですね。ドラゴンすら追いつかない速さで走るとは」

「そんなことより、レッドドラゴンが直ぐそこまで来てますよ」

「ここなら、思う存分戦えますね。大家殿は、離れて隠れていてください」

「分かった。もし、無理そうだったら大きな声で呼んでください。直ぐ、駆けつけますので」

「ありがとう。しかし、ここできっちり勝負をつけます!」


そう言って、女騎士はレッドドラゴンの方に駆けていった。

俺は、近くにあった林の方に車を移動した後、女騎士が戦ってる様子が確認できるギリギリの距離まで戻った。

すでに、女騎士とレッドドラゴンの戦いが始まっていた。


「すげぇ、なんで女騎士さんはフルプレートであんなに速く動けるんだ?」


今まで体験したことない出来事にドキドキしながら、女騎士とレッドドラゴンの戦いを見つめていた。



私は、こちらに向かって飛んでくるレッドドラゴンに向かって駆け出した。

できるだけ離れて、大家殿が戦いに巻き込まれないようにする。

こちらの存在に気づいたレッドドラゴンが、着地をしようと速度を落とす。


「一閃!」


レッドドラゴンが着地する瞬間を狙って剣を抜き、剣技の一閃を放つ!

剣から生まれた衝撃波がレッドドラゴンの右脚に直撃した。

ダメージを受け、着地を失敗したドラゴンがバランスを崩して倒れこむ。

そこに、再び一閃をお見舞いするが、完全には倒れず踏みとどまり尻尾を振り回し衝撃波を掻き消された。


「また、その尻尾ですか。やはり、前回の戦いの時と同様に厄介ですね」


そう言って、もう一撃放つがまたも尻尾の攻撃で衝撃波が掻き消されてしまう。


「ならば、届くまで何度でも攻撃を放つまで!」


さらに一閃を放とうと、レッドドラゴンの死角に駆け出し剣を構えるが、レッドドラゴンがその大きな翼を広げ羽撃く。


「くっ」


突然突風が襲いかかり、攻撃の手を止められてしまう。


「まさか、こんな攻撃方法を持っていたなんて」


前回の戦いでは、牙と爪そして尻尾での攻撃しかしてこなかったというのに、まさか学習しているのか?

新たな攻撃方法を使ってくるとは思いもよらなかった。


「だが、これしきの風で私の攻撃を止められると思ってもらっては困る」


そう言って、腰を落とし再び剣を構える。

しかし、レッドドラゴンも更に翼の羽撃きの速度を上げた。

すると、周りの砂や土を巻き上げ、突風が重なり竜巻を作り出した。


「まさか、魔法を使うことなく竜巻を作るだなんて、やはり戦うことで進化しているのか!?」


先程の突風ならフルプレートの重さで吹き飛ばされることはなかったが、あの竜巻があっては無闇に動くことができない。

無理にでも攻撃してバランスを崩せば、竜巻に巻き込まれ一巻の終わりだ。

ただ、レッドドラゴンも右脚に受けたダメージが大きいのか、片足だけで踏ん張るのが精一杯のようで、他の攻撃をしてこないのは幸運というべきか。


「私の根気が果てるのが先か、レッドドラゴンのスタミナが無くなるのが先か。ふっ、いいでしょう勝負といこうではないですか」


私は、剣を地面に突き刺し少しでも長く突風に耐える体勢をとった。



「おいおい、なんだあの攻撃は?」


今まで女騎士が優勢かと思っていた。

すると、レッドドラゴンが翼を広げ羽撃いたと思ったら、突然女騎士に向かって突風が吹き、しまいには竜巻まで発生したぞ!?

どうやら、レッドドラゴンは隠し球を持っていたみたいだ。

どちらも動くことなく体力勝負になっているらしいな。

ただ、フルプレートで動き回れると言っても女騎士は人間だ、レッドドラゴンの体力に勝てるとは思えない。

なにか、この状況を一変できるものはないのか?

とにかく車に戻って何かないか探してみる。


「何か、何かないのか?レッドドラゴンを意表を突いて、女騎士さんに反撃のチャンスを与えられるものは」


とにかく車内を調べるが、何もない。

最後にトランクを開けると、そこには去年の夏に姪と一緒にやった花火の残りがあった。


「これは、ただの花火か。いや、これならいけるかも!?」


ラッキーなことにライターも一緒に袋の中に入っていた。

とにかく車を走らせ、レッドドラゴンの裏手に回った。

途中で女騎士を確認すると、剣を地面に刺して突風に耐えているみたいだ。


「まだ、なんとかなりそうだ。だが、とにかく急ごう!」


風の影響を受けないように走り、レッドドラゴンの背後に到着した。

どうやら、女騎士に攻撃するのが精一杯でこちらに構う余裕はなさそうだ。


俺は、花火の残りを手に持ち車から降りて、レッドドラゴンの背後から花火を構えた。

そう、残っていた花火というのはロケット花火だ!

早速、ロケット花火を手に持ったまま導火線に火を点けてレッドドラゴンに投げる、空中で噴射を始めレッドドラゴンの頭に向かって一直線に飛んでいく。


「それっ、それっ、それっ、それーーーーっ」


ロケット花火は十数発残っていた、それを手に持ち火を点けて投げていく。

面白いようにロケット花火が、次々にレッドドラゴンの頭に向かって飛んでいった。

子供の頃に友達とやった戦争ごっこを思い出すなぁ。

すると、パーンと大きな破裂音が響いた。


「よっしゃー!」


思ったより大きな音が鳴ったので、思わず叫んだ。

それを皮切りに、破裂音が連続で鳴り響き、ここにいても耳をつん裂く様な音が響き渡る。


「おっしゃー、大成功!」


レッドドラゴンは、強烈な破裂音に驚き羽撃くのを止めたようだ。

あれだけの音が耳元で響いたせいか、運良く目も回している様だ。

後は、やることは決まっている。


「撤収ーっ!後は、女騎士さんよろしくねぇー!」


逃げ出すついでに、女騎士に向かって叫んだ。

俺は車を走らせ、さっきの林の方に逃げた。



大家殿が叫びながら林の方に逃げたことを確認した。


「何をしたのか分かりませんが、大家殿が作ってくれた好機は無駄にしません」


なぜか羽撃くのを止め、目を回しているレッドドラゴンに向かって一閃を放つ!

左脚に衝撃波が直撃してバランスを崩し倒れこむ。


「まだ、終わってません。くらえっ!奥義、八葉一閃はちよういっせん!」


八度連続で放たれ重なった一閃が強烈な衝撃波を生み出しレッドドラゴンの胴体に直撃する。

その衝撃で目を覚ましてしまったが、度重なる大ダメージでもがいているのか、無闇やたらに尻尾を振り回す。


「そんな無茶苦茶な攻撃が当たると思っているのですか?」


更に、前脚の爪と無数の牙が生えた顎で襲いかかってくるが、今更そんな攻撃が当たるはずもなく。


「そんな甘い攻撃しかできないのですが、目も当てられないですね。ならば、この一撃で終わりにしましょう!」


そう呟いて、無闇に暴れるレッドドラゴンと距離をとる。

一旦、剣を鞘に納めた。

剣全体が淡い光を纏い始める。

力が収束していくのを感じる。

再び剣を抜き放ち、正眼に構える。

心を研ぎ澄まし、剣と一体となった。


「秘剣、あまつ 九重一閃ここえいっせん


振り抜いた剣から一筋の光がレッドドラゴンを直撃する。

『九度振るいし重の剣、生まれし軌跡は天より光の一閃が如く』、レッドドラゴンの首に一筋の跡があり、ゆっくりとズレていき大きな音立てて地面に落ちた。


「レッドドラゴン退治完了です」


私は、静かに振り返り鞘に剣を納めた。

レッドドラゴンは、切られた首から大量の血が噴き出し絶命していた。

しかし、格好をつけ振り返ってしまったので、そのことに気がつかなかった。そして、一気に頭上から血の土砂降りを浴び、血塗れの手を見てはじめて気がついた。


「あ、あ、あ?ち、ち、ち、ち、血ですわ!?」


そこいら中に飛び散った大量の血を見た途端に、女騎士は目を回し意識が遠のきその場に倒れた。



俺は、レッドドラゴンの首から血が噴き出したのを見て驚いていた。


「すげぇ、女騎士さんあんな技持ってたんだ!」


あの後、また戦いが見えるギリギリの場所まで行くと、女騎士が剣を振り一直線に放たれた光がレッドドラゴンを直撃して、首が落ちるところだった。


「とにかく、女騎士さんを迎えに行かないと」


急いで車を走らせ、女騎士の元に向かう。

すると、なぜか女騎士が倒れている。


「ど、どうしたんだ!?まさか、どこか怪我をしたんじゃ」


くっ、女騎士が倒れていた所は、レッドドラゴンの血で辺り一面が真っ赤に染まっていた。当然、女騎士も返り血で真っ赤だ。

女騎士を運ぼうとしたが、フルプレートの鎧の重さのせいで動かすことができない。

なんとかしようと試行錯誤していたら、いつのまにか俺までレッドドラゴンの血で真っ赤になっている。

うげぇ、血が少し口に入ったのか気持ち悪い。


「うがっ、フルプレートがこんなに重いだなんて。なんでこんなもの着て女騎士さんは動けるんだ?」


やっぱりダメだ、腕や足などの部分は動かせても運ぶことができない。鎧を脱がせるにも、外し方がわからん。

すると、シュウシュウと音を立ててレッドドラゴンの血が消えていく。

よく見ると、レッドドラゴンの体も刈り取られた頭も、まるで水が蒸発するかのように湯気だか煙だかを出して消えていく。

女騎士と俺に着いた血も綺麗さっぱり消えていた。

周りを確認すると、レッドドラゴンの頭があったところには、拳大の大きさの紅い宝石のようなものが落ちていた。


「なんだこれ?宝石にしては大きすぎるな?」


手に持つと、ズシリと重く存在感がある。


「う、うーん。ち、血は嫌なの」


すると、女騎士の声が聞こえた。


「あっ、気がつきましたか女騎士さん」

「うーん、あれ?大家殿ですか」


女騎士は、起きると自分の体をくまなく調べ出した。

そして、周りを見ると安堵したようで、何事もなかったように振る舞いはじめた。


「大家殿、ありがとうございます。あなたのおかげでレッドドラゴンを倒すことができました」

「いやいや、俺は大して何もしてないよ。レッドドラゴンを倒したのだって女騎士さんの実力でしょ」


実際俺がやったことは、レッドドラゴンにダメージなんて与えてないことはわかっていた。


「いえ、レッドドラゴンが羽撃きをやめたのは大家殿が何かしたからでしょう?私には、突風と竜巻のせいで何したのかは見えなかったのですが。一体何をすれば、あのレッドドラゴンが目を回すようなことになるんですか?」

「まぁ、ロケット花火をレッドドラゴンの頭付近で爆発させただけなんだけどね」

「ロケット花火って、なんですかそれ?」


うーん、ロケット花火を知らないのか。じゃあ、なんて説明すればいいんだろ?


「つまり、凄く大きな音を出してレッドドラゴンを驚かせたって言えばいいかな?女騎士さんは大きな音が聞こえなかった?」

「大きな音ですか、突風と竜巻のせいで何も聞こえませんでしたから」


なるほどね、俺には音が聞こえたのに風のせいで女騎士には音が聞こえなかったのか。もし、聞こえていたら女騎士も驚いていた可能性もあったな。まぁ、結果オーライってことで。


「そうそう、レッドドラゴンが消えた後にこんなものが落ちてたんだけど、女騎士さんに渡しておくね」


そう言って、さっき拾った紅い宝石のようなものを渡した。


「これは、竜玉石ですね!しかも紅い竜玉石が手に入るのは稀なんですよ」


女騎士が凄く喜んでる。そんなに稀少なもんなんだ。


「でも、今回レッドドラゴンを倒せたのは大家殿のお陰ですので、これは大家殿が受け取ってください」

「えっ、だってこれ稀少なものなんでしょ?」

「はい、だからこそ大家殿に受け取ってほしいのです」

「わかりました。この、竜玉石は大切にしますね」


とりあえず、これで解決したのかな?

わからないことばかり起きて、今はとにかく休みたい。


「そういえば、怪我は大丈夫ですか?」

「怪我ですか?えぇ、どこにも怪我はないですよ」

「いやぁ、レッドドラゴンが倒れたのを確認して、ここに戻ってきたら血塗れで女騎士さんが倒れていたから驚いちゃって。大怪我したんじゃないのかって慌ててたんですよ。さっきの街に連れて行きたかったけど、そのフルプレートの鎧が重くて運ばなくて困ってました」

「そ、そうだったんですね、重ね重ねありがとうございます」

「いえ、怪我がないのならよかったです」


それじゃあ、とっとと帰りますか。

俺は車に向かって歩き出す。


「あの、聞いても笑わないでくれますか?」


唐突に女騎士が話しかけてきた。


「なんですか?まぁ、笑わないでと言われれば笑いませんよ」

「ありがとうございます。じ、実は、私・・・ごにょごにょ」

「ん、ちょっと聞こえないんだけど?」

「わ、私、ちが・・・ごにょごにょ」


なぜか、最後の方が聞こえない。


「私っ、血が苦手なんです!しかも、大量の血を見ると気絶しちゃうんです」


女騎士は覚悟を決めたのか、いきなり叫んだ。


「えっ、そうなんですか?」


なるほど、だからレッドドラゴン倒した後倒れていたのか。しかも、あの噴き出た大量の血を浴びてしまったから気絶したんだな。


「笑わないでくださいね」

「笑いませんよ、誰だって苦手なものは一個や二個あるもんですよ」

「そ、そうですよね。誰だって苦手なものありますよね!ふふっ、大家殿が優しい人で嬉しいです」


兜を被っているから見えないけど、笑った顔も可愛いんだろうなぁ。


「とにかく、帰りましょう」

「はい!」


再び車に乗り来た道をゆっくりとアパートに向かって走り出した。



ふむ、見た目は同じアパートだ。

街に帰って来て気がついたが、周りの家に比べて浮いている。

明らかに外観に違和感があるよなぁ。はっきり言って怪しいと思う。

車を駐車場に停め、改めて女騎士とアパートを見ていた。


「よく、こんなアパートの部屋を借りようと思いましたねぇ」

「そうですか?他の家に比べて、この借家って見た目が可愛くないですか?」


なるほど、この外観は可愛いのか。

きっと、女騎士は独特のセンスを持っているんだな。


「しかし、どうやって元の田舎町に戻れるんだ?」

「どうしたらいいのでしょうか?」

「女騎士さんが、こっちに来た時はどうやったんですか?」

「別に変わったことはしませんでしたよ。こうやって、普通に大家殿の部屋の扉を開けただけです」


女騎士が扉を開けるマネをしたので、とりあえず俺の部屋の扉を開けてみる。

しかし、周りは何も変わらず。


「変わりませんね?」

「なら、一度入って扉を閉めてみるか」


そう言って、女騎士と一緒に玄関に入り扉を閉める。

そして、緊張しながら再び扉を開くと。


「おおっ、凄い。元の辺鄙な田舎町に戻った!」

「やりましたね大家殿!」


そこは、見たことのある風景に変わっていた。

こうして、俺と女騎士は元の辺鄙な田舎町に戻ることができたのだった。

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