〜操り人形ー
思いつきで、あまり内容は凝ってません。
『ねぇ、なんだかさっきから変な音がするの』
唐突に一人の女性が呟く。
『音?俺には聞こえないけどなぁ』
一緒にいる男性が不思議な顔をしてそう答える。
『今は街中を歩いているのにそんな音なんか聞こえるはずないだろう』
『いえ、確かに聞こえるわ』
『それはどんな音なんだい?』
『なんかね、トントンとか。他には、何かが擦れるようなカサカサという音が聞こえるの』
男性は耳をすます。が、そんな音は一つも聞こえてこない。
『うーん。やっぱり俺には聞こえないな』
『そう』
女性は短く答え、口を閉じた。
それから少しの間、二人の間に静寂が流れる。
『なんだか今日はとても空気が澄んでるわね』
静寂を破るように、女性が再び口を開く。
『?急にどうしたんだ。さっきから同じ場所にずっといるのに』
そう男性が答える。
『え?ここへはさっき来たんじゃ…』
あれ?おかしい。さっきまで私たちは街中を歩いついたはずだ。
『何を言ってるんだ。ずっとこの草原にいただろ』
『え?え…えぇ。そうよね。さっきからここにいるわよね』
確かにそう言われるとそんな気がしてきた。じゃあ、さっきの街中はなんだったのか。
『今日なんかおかしいぞお前。さっきもなんか鉛筆で何かを描くような音がする。とかって言い出して』
『鉛筆の音?』
そんなこと私は言っていない。何かがおかしい…。もしかして…。
『本当に鉛筆の音って言った?トントンって言った気がするんだけど』
『え?あ…あぁ。確かにそう言えばそうだったかなぁ。でもなんでそれが鉛筆の音だと思ったんだろう』
『ふふ。あなたもおかしいじゃない』
女性は少し笑いながらそう言った。
そして、また少しの静寂が流れる。
『よし。もうすぐ着くから降りる準備しないとな』
次は男性が静寂を破る。
『え?降りるってどこから?』
『電車というか、新幹線に決まってるだろ』
『え?』
まただ。また急に場面が変わる。
これは一体なんなんだ。何が起こっているのだ。
『今日お前おかしいぞ。記憶が飛んだみたいなこと言い出して。さっきもそんなこと言ってたし』
『さっき?…もしかしてそれって草原で言っていたこと?』
『あぁ。そうだよ』
『でも私たちずっとこの新幹線に乗ってたじゃない』
『あれ?おかしいな。なんでそんなこと俺思ったんだろ』
『あなたも十分おかしいじゃない』
女性は少し笑いながらそう言った。
そして、また少しの静寂が流れる。
『なぁ、ここはどこなんだ?』
と、男性が話し始める。
『え?どこって…ここはどこなんだろう』
真っ白な地面が延々と続き、地面には、規則正しく並ぶ無数の線が引かれていた。
そして、その線がいくつもの正方形を作り出している。
『は?お前がここに来たいって』
『え?私知らないわよ』
『じゃ、ここはどこなんだよ』
『どこって言われても…』
そこで、女性はついに気付いた。
『なるほど…。そういうことだったのね』
と、涙声でそう言った。
『何かわかったのか?』
『えぇ。何もかも全て…ね…。』
『…ところで…あなたは一体…誰?』
『誰って…俺は…』
少しの沈黙を経て答えが返ってくる。
『俺は一体誰なんだ?』
やっぱり、と。女性は全てを知り、少し笑いながらこう言った。
『私も…誰なんだろうね…』
と。
そこで私は、ペンを置いた。
何か感じるものがあれば嬉しいです。




