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第八話 冷蔵庫の欠点と魔道具の開発、そして…

 爆弾投下です、メガトンだと思います。

 十分にご注意ください。時間を少し早回ししてます。

 魔道具〔なんちゃって大型冷蔵庫・横置き型〕が完成した次の日。

 カディウスさんの自宅で、属性魔法の特訓と、紋記号魔法との出会いから一週間が経過した事になる。

 起床し、何時もの様に食事と、ライアスの見送りをし、中庭に出ようとすると、カディウスさんがやって来た。

 先ずカディウスさんは、俺が作った魔道具〔なんちゃって大型冷蔵庫・横置き型〕と、初期型の小さい方の冷蔵庫を見て驚いていた。


「やはりそうか! 私が見込んだ通りだな! ダイン君! 素晴らしい魔道具だが…。一つ欠点がある…」


 えぇ~!? 何処が悪いのでしょうか? 俺は神妙な顔をして尋ねてみる。


「あの~、どこが悪かったのでしょうか?」


 カディウスさんは、一度、うむ、と頷く。


「では説明する前に、私が君に渡したマジックセンサーを持ってきたまえ」


 ん? 何故に? まぁ~、考えても仕方ない、ここは言われた通りに行動するのみ!


「はい!」


 俺は元気良く返事をし、自室に駆け込み、マジックセンサーを取り出し、現在居間で待機中のカディウスさんの元まで、走って持っていく。

 カディウスさんは、俺からマジックセンサーを受け取る。

 受け取ったマジックセンサーを、徐にクイっと回すと、中央に書かれている起動紋記号のみがポロリと外れた。

 俺は一瞬「え?」っと思ったが、直ぐに答えに行き着いたのと同時に、カディウスさんが口を開いた。


「その表情はなんとく理解できたようだな」

「はい! 起動紋記号のみを、付け替えられるようにしている。と言う事ですね」


 カディウスさんは口の端を上げ、笑みとなり、大きく頷く。


「その通りだ、このマジックセンサーは、起動紋記号を魔力注入型から、魔粒子収束型に付け替える事が可能なのだよ」


 正に発想の転換だと思ったね、やはりカディウスさんは偉大だったようだ。


「盲点でした、今後は気を付けます」

「まぁ、それ良いとして。初めて紋記号魔法を使用してこの成果なのだ、むしろ上出来だ、今後の課題とするがよかろう」


 褒められた! やっぱり褒められると嬉しいよね! これからも精進せねば!


「はい!」


 そこでマルナが割り込む。


「そうそうカディウス、ちょっと良いかしら?」

「む、なんだマルナ?」

「この食料保存用の魔道具だけど、あなたの力で、どうにか量産できないかしら?」


 カディウスさんは、しばらく顎に手を当てて考えていたが、少し何かを考えて居たようだったが、やがて口を開く。

 その表情は、真剣そのものだった。


「良いだろう、その件は引き受けた。…が、しかし、この魔道具の発案者はダイン君だ、私の一存では量産には踏み切れない」


 マルナも真剣な表情になり、一度頷く。


「そうね、その方が良いわね」


 カディウスさんは俺に向き直り、真剣な表情で見つめた。

 思わず、学校の先生に怒られる子のポーズをとってしまう。


「うむ、ならば問おう、ダイン君。この紋記号魔法を使って、私がこの魔道具を、大量に生産する事を許してもらえるか?」


 真剣な表情で改まって問われる、俺は勿論これを了承する。

 拒否出来る筈も無い、カディウスさんが居なければ、この知識も得られなかったのだから。


「はい! 俺一人では、大量に生産する事も出来ないと思いますので、是非ともお願いします!」


 俺は、真剣な表情でカディウスさんを見つめる。

 しっかりと相手の目を見て答える、こういう時はそういうモノだ。


「そうか、ならばこの魔道具の大量生産は、私が担当しよう。そこの木箱と同じ大きさの物を、大量に準備する必要もある。鍛冶師や樵の伝は私が持っているので、君はこれからも勉強に励むが良いだろう」


 うおおおい! しかも気遣ってくれるとは…。

 絶対に何かお礼がしたいが、今の俺は幼児だ、成長したら必ずしよう。

 それまでは、もう少しお待ちください。


「はい! 精進します!」


 カディウスさんは、良い返事だ! という顔をして頷く。


「うむ、良い返事だ」


 その後、俺はカディウスさんの自宅に、マルナと3人で向かい、先週と同じように、地下に在る紋記号魔法で作られた空間に入る。

 俺はそこで、エナジーハンドを披露して見せた。

 すると、カディウスさんは驚愕の表情を浮かべていたが、色々と説明すると、何時もの表情に戻り、今度は興味深げにエナジーハンドを触り始めた。

 その後、俺は先週と同じように、全力で属性魔法をぶっ放し、その制御方法などを学ぶ。

 体内魔力も、先週よりも増していたので、存分に色々試したりした。

 ぶっちゃけ、非常に楽しかったです。

 轟音を轟かせながら、あたり一面に雷の柱を何本も作ったり、風の属性魔法で竜巻を起こしてみたりと、色々やってみた。

 そうそう、この時に始めて、対物理障壁を作ってみたが、属性魔法は貫通するようで、きちんと使い分ける事が重要みたいだった。

 カディウスさんの属性魔法は、非常に丁寧なコントロールがされていて、俺を傷つけないようにしてくれていた。

 この時に、初めて身体強化も使ってみた。

 軽く地面を蹴るだけで、俺の体は広大な訓練場の、端から端に飛んでしまった。

 正直調整が難しい、これは慣れるしかないと、カディウスさんにも言われた。

 そんなこんなで俺の体内魔力も少なくなり、属性魔法と補助魔法と身体強化の練習を終わりにした。

 実に有意義な時間でした、また今度色々やらせてもらおう。

 その後、俺とカディウスさんは居間に移動し、美味しい紅茶を飲みながら、紋記号魔法談義を始めたのだった。

 この日も色々と勉強出来、俺の知識もうなぎ上りだ。

 俺は、そんな素晴らしい生活をしばらく続けた。


 ●

 ●

 ●


 それから数ヶ月の間に、俺は幾つかの、生活用品の魔道具を考案した。

 俺の歳では、色々と伝とか、偉い人達の面子も有るとかで、主な資材の発表や、市場への投下は、カディウスさんが行ってくれた。

 そして、今やこのルキリスの街は、空前の魔道具ブームが到来している。

 髪を乾かすドライヤー、水を沸かすポット、風呂場に設置されたシャワー(温度調節可能)等、生活用品が市場に出回った。

 始めは、この辺り一帯の魔粒子が、枯渇するんじゃないかと思ったが…。

 カディウスさん曰く。


「例え、大規模な戦が怒ったとしても、魔粒子が枯渇する事はない。仮に魔粒子が仮に枯渇したならば、我ら人類は生きてはいないだろう。そもそも、そんな事は起こり得ないがな」


 との事だったので、一安心だったのだが。

 魔粒子が枯渇すると、何故人類が死んでしまうのだろうか?

 それも疑問に思ったので、併せて聞いてみたところ。


「すまんな…。それに関しての情報掲示は、エルフの掟で禁じられているのだ…。知りたければ、エルフの里の長に直接聞くしかなかろう…。悪いな…。こちらにも、色々と事情が有るのだ…」


 そう言われたので、俺は何も言えなかった。

 だがしかし、その情報はなんとしても得たいな、成長したら絶対にエルフの里に出向くとしよう。

 せっかく拾った第二の人生だ、この命は大切にしなければならない。

 その為の訓練と、その為の知識なのだからな。

 話が逸れたので、魔道具の話題に戻そう。

 市場に出回った、生活用魔道具の利益だが、俺が2割、カディウスさんが3割、販売店に2割、その他技術者やらに3割となっている。

 俺は、得た利益の1割を貯金し、残り1割を俺の研究用の道具や、家の生活費に回している。

 2割と言っても、かなりの金額だったので、俺は満足している。

 寧ろ、貰いすぎである。

 マルナなんかは。


「きゃーーー! 嬉しいわね~! これで少し贅沢が出来るわね!」


 なんて言っていた。

 俺もそう思うよ、ライアスの稼ぎは全く悪くないが、そろそろ弟か妹も生まるみたいだし、有って損は無いだろう。


 だがしかし、その魔道具が全て成功した訳じゃない。

 俺もそこまで万能では無い、人間とは失敗する生き物なのだ! 種族は違うけど…。

 ドライヤーなんかは、最初にどんな形にするかで、大いに悩んだ。

 あの形と機構で再現しようとすると、どうしても手間が掛かる。

 俺とカディウスさんが悩んでいると、ルインズさんが閃いたのだ。

 ルインズさんの閃きにより、その形は筒状になった。

 ただの木筒の底面を抜き取り、その底面に紋記号円を書き、起動紋記号を書く部分を更に抜き取り、抜き取った小さい方に起動紋記号を記述する。

 紋記号円は3つ必要だったので、木筒の中に、丁度良い大きさの、紋記号円の書かれた木板を2枚入れ、それぞれの紋記号円を、接合紋記号円で繋いで初めて完成となったが。

 試作一号は念の為、属性魔法の訓練場で起動実験を行ったのだが…。見事に失敗しました!

 いや~、あの時はビビッたね、まさか爆発するとは思わなかったよ。

 カディウスさんと俺は、対物理障壁と、対属性魔法障壁を展開していたから難を逃れたが、そうでない者が居たら、間違い無く大怪我しただろうな。

 面白かったのがポットだな、コイツは沸かす! という動作は出来ていたが、保温という機能が抜けていたのだ。

 永久に水を沸騰させ続けるポットは、なんだかシュールで笑えたな。

 勿論改良して、きちんと保温機能も付けたが、それでもなんちゃってだ。

 保温させるのにも、手間が掛かるのだ。

 その解決策が、蓋を2種類用意する事だったのは、開発秘話である。

 それらの失敗を踏まえ、完成したのがシャワーだった。

 コイツはほぼ完璧に作動した、なんと言っても、各家庭に取り付ける物なので、完璧でなければ困るのだ。

 機構としては、かなり複雑になったので省くが、温度調節が出来る様にしたのは、俺の我侭だったとだけ記しておこう。


 そうそう、国外からの発注もあるとかで、カディウスさんは大忙しだ。

 カディウスさんが家にいない時は、合鍵を渡されたので、それを使って訓練場を使用している。

 とても信頼されているようで、俺は嬉しい。

 だが、カディウスさんの家までの道のりは、マルナと一緒である。

 これには、ちゃんとした理由がある。

 先ず、各層には入場制限が設けられている。

 ある一定の年齢、もしくは交通手形や身分証がなければ、出入りできない仕組みになっている。

 貴族層、王城の在る最上層は、交通手形が必要になる。

 なんでも、マルナはこの交通手形を持っていて、何時でも出入り出来ると、とても自慢げに話していた。

 何故そんなに自慢げ? と思ったが、何か良い思い出でもあるんだろう。青春しやがって!

 私情が入ったが、次は年齢制限についてだ。

 基本的に物騒な区域への立ち入りは、15歳以上からとなって、その物騒な区域とは、主に港層を指す。

 この区域では日常的に、何かしらの闇仕事が行われているらしい。

 俺も行った事ないから、詳しくは知らない。

 その内、行く機会も有るだろう。

 0~4歳までは、何か特別な理由が無い限り、どちらかの親と出歩かないといけないようだ。

 5~9歳までは、一般層の居住区と、広場と呼ばれる、子供たちが遊ぶ区域までなら自由に出歩けるらしい。

 俺も早く5歳になりてー! もう少しの我慢だな…。

 10~14歳までは、商業区まで出歩けるらしい。

 何故そんなるーるが有るのか? 俺も詳しい理由は知らないが、国の命令だと、ライアスが言っていた。

 確かに、ガイドブックにも載ってなかったしな。

 これもその内、知り得る機会があるだろう。


 こんな感じの、慌しくも楽しい生活がしばらく続き。

 俺は、あっという間に4歳になろうとしていた。

 そんなある日の事である、マルナのお産が始まったのだ。


 マルナのお腹も、かなり大きくなっていたので、ライアスは隊の仕事を、しばらく休む事にしていた。

 俺は何時もの様に、中庭でエナジーハンドの練習と、体内魔力の鍛錬に勤しんでいた時だ、ついにその瞬間が訪れる。

 マルナの産気が始まったのだ。

 それを見や否や、ライアスは何時もとは違う表情になる。


「ダイン! お前は母さんの様子を見ていろ! 何か重い物が必要な時は、お前のエナジーハンドを使って作業するんだ!」


 言われるまでもない! そうするつもりだったからな。


「解った! 父さんも気を付けて!」

「ああ! 急いで医者と産婆さんを呼んでくる!」


 俺とライアスはお互いに、目を合わせ頷き合う。

 その後、ライアスは玄関をバタン! と開け走り去って行く。

 よほど急いでいるのだろう、戸を閉めずに行ってしまった。

 俺は、その開けっ放しの玄関の戸を、エナジーハンドを使って静かに閉め、エナジーハンドを魔粒子に還元する。

 その直後、マルナが急に苦しみだしたので、俺はマルナの元に急ぎ駆け寄った。


「母さん大丈夫?」


 苦しそうだが、気丈な態度を崩さずに、問いに答えるマルナ。


「ええ…。まだ大丈夫よ、イテテ…!」


 どう見ても、大丈夫とは言えない様子だったので、近くに用意された桶に掛けてあった布で、彼女の額の汗をエナジーハンドを用いて拭ってあげる。

 拭った後は、エナジーハンドを魔粒子に還元し、体内魔力の温存に勤める。

 体内魔力は一日に使用できる量は限られて、一晩ゆっくり眠らなければ回復しないのだ。ん? 前にも言ったかな?

 今日はもう体内魔力の鍛錬もしないので、こうして体内魔力を温存している。

 こういう時は空気を読むのも、大人の作法だ。


「ありがとう…。ダイン、今は本当に大丈夫だから、こっちにいらっしゃい」


 俺は言われるがまま、マルナに近づく。

 するとマルナは、俺の頭を撫でてくれた。

 母親のする事は、男である俺には今一良く分からなかったが、なんだか嬉しかった。


「あなたも良くここまで成長してくれたわね、母さんも嬉しいわ」

「俺も母さんと父さんの子で良かったと思うよ」


 そう言って、俺はマルナの手をギュッと握った。

 マルナは涙目になり、俺をじっと見つめている。

 俺は少し恥ずかしくなり、目を逸らしてしまったが、俺の手を握るマルナの力が、より一層強くなるのが伝わってくる。

 そうしてしばらく手を握り、彼女の問いに答えながら待っていると。

 ライアスが、医者と産婆さんを連れて戻って来た。

 出て行った時と同じく、勢い良く玄関を開く。

 バタン! と音を立て、ライアスと、壮年の渋いおっさんと、老年のお婆さんの3人が、マルナとライアスの寝室になっている部屋に入ってくる。

 ライアスは開口一番。


「ダイン! マルナは無事か!?」


 俺は、マルナに手を握られながら冷静に答えた。


「大丈夫だよ、父さん。急いでいるのは分かるけど、玄関の戸はもう少し静かに開けないと、母さんがビックリしたらどうするの?」


 ライアスは呆気にとられた顔をしているが、謝罪の言葉を述べる


「うっ! すまん…」


 なんだか、ひどく凹ませてしまったように思えた。

 こういう時の男って、どこか頼りないなと思ったが、俺も男だったな。


「母さん、手を離して。玄関閉めてくるから」


 マルナはゆっくりと、握っていた手を解く。


「ええ、ありがとう…」


 その直後の事だ、破水しお産が始まったようだった。


 俺が玄関から戻ると、医者と産婆さんは手際良くお産の準備を進めていた。

 その横で、ライアスは一人固まっていたので、俺は助け舟を出す。


「父さん。こういう時は、夫である父さんが、妻である母さんの手を握ってあげるものだよ。そうすると、母さんも安心するからね」


 ライアスは戸惑いながらも、俺に言われた通りに、マルナの手をギュッと握る。

 まったく…。今回で2回目だろう?

 その時だ! マルナが急に苦しみだし、産婆さんは、マルナに呼吸を整えるように促す。


「はい、マルナさん。今頭が出てきたからね、大きく息を吸って、ゆっくり出しながら、力むのよ」

「すーーー…。はーーーー…。ん!」


 俺は内心で、マルナ頑張れ! と応援する。

 そして、しばらくそのやり取りが続き、ついに生命の誕生である。

 出てきたのは女の子だった。

 良く見ると髪の毛は水色、目の色は両目とも赤だった。

 それと疑問思っていた事も、この時払拭される事となる。

 そう、臍の緒だ! この世界で、人類にカテゴライズされている4大種族は、デモニックを除き、臍に当たる部分に魔結晶を持っている。

 その臍の緒だが、なんと魔粒子で出来ていたのだ! 医者は、この魔粒子臍の緒を、丁寧に魔法を使って取り除いている。

 すると、その臍の緒がシュルシュルと短くなって行き、緑色と青色の光を放ちながら、魔粒子に変換されて行くのが見て取れた。

 その処置の後、生まれたての妹の魔結晶を見てみると…。

 …青だった。

 それを見た医者と産婆さんは。


「おおぉ~、ダイン君の時と違って、普通の色だったようだね」


 普通じゃなくて悪かったね!

 産婆さんが、生まれたれの妹を大事に丁寧に抱いて、マルナに語りかける。


「ホントですね~ 先生~ でもま おめでとうございます マルナさん」


 マルナもホッとしたのか、安堵の表情を浮かべているが、汗まみれだし、息切れもしている。

 見るからに辛そうだった…。


「ありがとうございます、リトリスさん」


 生まれたての妹は、オギャー! オギャー! と泣きながら、産婆のリトリスさんから、産湯で体を拭かれている。

 そして、拭き終わった妹を、清潔な白い布で軽く包み、マルナの寝ている傍にそっと置く。


「元気な女の子だね~、名前は決まっているのかい?」


 マルナは視線を泳がせていたが、やがてライアスに目線を向ける。


「そうですねぇ…。ライアス、あなたが決めて頂戴」


 マルナの手をじっと握って、沈黙していたライアスが再起動する。


「俺が…。決めて良いのか?」


 そんなポカン? とした顔をしないの!


「ええ、ダインの時も、すんなり決めていたでしょう?」


 うお~い! 俺の名前って、そんなにすんなり決まったのかよ!?

 と、心の隅で突っ込みを入れるが、そんな事は知る由も無いだろう、ライアスが思案している。

 しばしの思案の後、クイっと顔を上げ、その名を口にする。


「そうだな、マルナに似て、美人で可愛くなってほしいからな…。―――ミルフィーナ…。 この子の名前は…。ミルフィーナだ!」


 マルナも嬉しそうな表情をしている。

 何かの物語の登場人物だろうか? それとも思い付いただけか?


「うふふ、いい名前ね…。ミルフィーナ、私が母さんですよ~」


 この後、ミルフィーナはマルナの豊満な乳に吸い付き、最初の授乳を果たす。

 その光景を見ていた、壮年の医者が口を開く。


「さて、授乳も始まったようだし、ワシと母は帰るとしよう」


 ライアスは、その医者に向き直り、丁寧にお礼を言った。


「ありがとうございます! モーゼル先生! リトリスさん!」


 しかし、このお婆ちゃんなんか良いな…。

 勘違いしないで頂きたいが、そう言う趣味は無い!


「いんえ~ 良いのよ~。これが、あたし達の仕事なのだからね~」


 モーゼル先生は、ライアスの肩に手を掛ける。


「母の言う通りだよ、ライアス君。それにしても…。ダイン君は、ますます君に似てきているようだね。鋭い目付きは、君にそっくりじゃないか?」


 え? 俺ってそんなに目つきが鋭いのかよ…。

 今の内に祈っておこう、将来悪人顔になりませんように…。


「そうですね…。なんだか、自分の生き写しを見ている気がたまにしますよ」


 ライアスはそう言って、恥ずかしそうに頭をボリボリ掻き始めた。

 ま、俺としてはイケメンに成れるなら何でも良いが、親としては恥ずかしい部分もあるのだろう。

 俺には良く分からない感覚だな。

 その後、俺とライアスは、モーゼル先生と産婆のリトリスさんを玄関まで送り、そして見送った。

 後は片付けが残っている。だがライアスは、ここぞとばかりに張り切って、後片付けを始めた。

 俺も、エナジーハンドを有効活用し、二人で素早く片付けを行う。

 この日から、この家族に、ミルフィーナという名の妹が加わる事となったのだ。


 来る所まで着ました! 妹誕生です! キャラの増加がもう直ぐそこです!

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