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第七話 新魔法の開発と、なんちゃって大型冷蔵庫

 見切り発車気味です、ご了承ください。

 なんちゃってチルド冷蔵庫が完成した翌日。

 俺は、何時ものように中庭に出て、体内魔力の鍛錬をしようとしていた。

 その時にふと閃いたのだ、魔粒子を硬化出来ないのかと。

 思い立ったら即行動するのが俺の心情だ、早速試してみる事にする。


 初めて行う事なので、魔粒子を俺の30センチ程前に収束させる。

 そして、何時ものイメージだ。

 今回は、魔粒子を人の肌程の柔らかさにするようにする。

 すると、魔力球の魔粒子が更に収束を始めた。

 収束が終わり、俺はその魔力球を指でツンと突いてみた。

 驚いた事に、その魔力球は、俺の肌と同じくらいの弾力を持っている事が分かった。

 中庭の丸太人形にぶつけようと一瞬考えたが、ぶっ壊した失敗を忘れてはならない。

 したがって、今回は地面にぶつけてみる事にした。

 なるべくゆっくりと、速度を落とし、そろそろと魔力球を操作する。

 そうすると、何時もならそのまま地面に吸収されるのだが、今回は吸収されずに、ポスっと音を立て、その場に残っている。

 これはしめたと思い、俺は何度か、地面にその魔力球をぶつけてみる。

 魔力球は消えずに、今も俺のそばに浮かんでいる。

 実験成功のようだ!


 そしてまたふと思いつき、今度はその魔力球を、人間の手の形をとれないかと更にイメージする。

 最初は俺の利き手でもある右手だ、すると…。

 なんと! 魔力球がだんだんと、人の右手の形を成し始めたではないか! 消費魔力は何時もの3倍程のようだ、そんな感覚がする。

 遠距離に生成する時よりも、ずいぶん楽である。

 因みに、限界距離に生成すると、近くに生成する時の10倍近く体内魔力を消費する。

 しかしだ、黒い人の手は少々不気味だな、俺の魔結晶の影響だろうが…。

 だけど、何で属性魔法は黒じゃ無いんだろう? 謎である。

 魔力球は黒いが、属性魔法は色々な色になる。

 う~む…。不思議で仕方ないな…。

 まぁ、いずれその疑問も解消するだろう。

 それはともかく、更に実験は続く。

 俺は、その右手を成した魔力球の指を、一本一本動かすように操作する。

 なかなかに集中力を要したが、体内魔力の消費は加速していないようだった。多分ね…。

 そして次に、中庭に置いてあるホウキを、その手の形を成した魔力球で掴めないかを実験してみる。

 焦らずゆっくりと、丁寧に…。少しでも力加減をミスると、ホウキをポキリと折ってしまうだろう。

 10秒程かけて実行する…。すると見事にホウキの柄を持つ事に成功! 次はその魔力球ハンドで、ホウキを操作してみる。

 これもまた、変に力が入らないように気を付けながら行う。

 そして俺は、見事に魔力球ハンドで持ったホウキで、地面を一度掃く事に成功する。

 よし! この調子で、調整方法と操作方法をマスターしよう。

 そう思って、しばらく練習してみる。


 数十分後…。俺は魔力球ハンドの操作方法と、力の調整方法に、ある程度慣れてきたので、もう一つ魔力球を作る。

 何故かって? 勿論、魔力球ハンドをもう一つ作るためですよ!

 だってさ、人間は両手で物を触ったり、持ったりするからに決まってるだろ?

 決め付けている訳ではないが、やはり手は、左右あったほうが何かと便利だしね。

 では挑戦してみるか、今度は左手をイメージしよう。

 俺の体内魔力の消費が、一気に加速したのが解った。

 イメージに従い、新たに作った魔力球が、更に魔粒子を収束し、やがては硬化、そのまま左手の形を成す。

 体感的に、近距離に魔力球だけを作る時の5倍だ。

 因みに、今現在の俺の体内魔力総量から計算すると、魔力球で両手を作り出せるのは、一日に1時間程が限界のようだ。

 今度は、両手に成った魔力球でホウキを掴み地面を掃く様に操作する…

 う~む、なかなかに集中力を要する、周りの音が殆ど聞こえてこない位には集中している。

 そんな訓練を開始して20分程経過した頃、突然両肩をポンと軽く叩かれる感覚がした。

 俺は、突然の事に集中するのを止める。

 すると、両手を成した二つの魔力球は、一瞬で魔粒子へと還っていった。

 あぁ…、やっぱり集中してないと、維持するのが難しいようだな。

 少し落胆したが、後ろに立っているだろう人物に振り返ると。

 そこにはマルナが心配そうに、俺を見つめながら立っていた。


「あ、母さん どうしたの?」

「さっきから、何度も呼んでたのに気が付かなかったの?」


 マジか!? そんなに集中していたのか!? 全く気が付かなかったよ…。

 しかし、こんなに集中したのは、前世でゲームをしている時以来のような気がする。

 心配を掛けてしまったようだ、悪い事をしたな…。

 こういう時は、素直に謝る、基本的な事だからな。


「ごめんなさい…」


 マルナはまだ心配そうにしている。

 う~ん…、悪い事したな…。

 少しの沈黙の後、中庭に横たわっているホウキを発見したようで、マルナが疑問を投げかけてきた。


「まぁいいわ ちょっと聞きたい事があったのだけど…。ところでダイン、そこに転がっているホウキはどうしたの?」


 聞きたい事ってなんだろう? 子供の、しかも3歳の幼児の俺に、何を聞くと言うのか?

 疑問に思ったが、今はとりあえずホウキの事だ、しっかりと説明しなくてはならない。


「えっとね、新しい魔法を考えたから、実験していたんだよ」


 マルナが怪しげな表情をしていたので、説明を続けると同時に、魔力球ハンド…、くそ、呼びにくいな…。

 少しの間思考し、俺はこの魔力球ハンドを〔エナジーハンド〕と名づける事にした。

 安直だが、言い得ているだろうと、自分を無理やり納得させ、実際に実演してみる。

 俺の顔の右横20センチ程の場所に、先程のエナジーハンドを生成する。

 二個だと、やたらと集中してしまうので、右手の形の一個だけだ。

 それを、マルナに触ってみるよう促す。


「この魔法だよ ちょっと前に思いついたから、これの練習にホウキを使っていたんだ。ちょっと母さんもこれに触れてみてよ、ビックリするよ!」


 マルナは頷き、恐る恐る右手の人差し指を伸ばし、エナジーハンドにツンと触れた。

 すると、マルナの顔が驚きに満ちた表情に変わる。


「どう、新しい魔法〔エナジーハンド〕だよ!」


 またしてもドヤ顔であるが、集中を怠ってはいけないので、今回は何かしらのポーズはとらない。

 何かに受け答えする時も、このまま集中していなくてはな。

 マルナは驚きの表情のままだったが、やがて再起動を果たす。


「これは…。凄いわね…」

「でしょ~! これの制御に慣れる為に、ホウキを使って地面を掃いていたんだよ」


 マルナはまだ驚きの表情だが、…そんなにツンツン触らなくても良くないですか?


「そうだったのね…。良く解らないけど…。ホウキが壊れなくて良かったわ…」


 …おいおい、息子よりホウキの心配ですか? 俺はどうなっても良いのですか?

 いあ、俺には前科が有る。

 中庭の中央に立っている丸太人形を、一度半壊させているのだ。

 その丸太人形よりも、脆いであろうホウキが壊れなかったのに安堵するのは…。まぁ当然かもしれない。

 だけどさ…。俺の心配もして欲しいよ! ママン!!

 あ…。そう言えば聞きたかった事って何だろう?

 そう思い、俺は疑問を口にしようとしたが。

 おっと! 危ない危ない。エナジーハンドを魔粒子に還元しておかないと、体内魔力が尽きてしまうからな。

 さてさて、今度こそ疑問を口にする。


「ところで母さん。さっき聞きたい事があるって、言ってたけど何?」


 マルナはバっと顔を上げ、手をポンと打って答えた。


「そうそう! 昨日作ってくれた、魔道具の事なんだけどね。もう少し大きいものが欲しいなって思ったのよ」


 え? どういう事? 何で大きいのを求めるの?


「大きいの?」


 マルナは右頬に右手の人差し指を当てながら、一度ウンと頷く。


「そうねぇ…。棺桶位の大きさがあれば、もっと色々沢山保存しておけると思ったのよ」


 おお~! なんという主婦力! いきなり改善策を提示してきた! というより…。

 買い物の回数を減らしたいんだろうな。

 しかし棺桶ってどういう表現っすか…。

 俺は心の中で苦笑し、その改善策に頷く。


「うん、大きく出来るよ」


 確かに大きくは出来るが…。その入れ物は何処から調達するんだろうか?

 俺がそんな事を思っていると、マルナの表情が喜びに変わっていたのに気付き、俺はすかさず、その出来る旨を言葉にする。


「多分、その位の大きさまでなら、紋記号魔法の効果も有効だと思うよ。だから、その位の大きさの入れ物を用意してくれれば、後はまた同じ紋記号円を書くだけだから、明日には用意できると思うよ」


 マルナはガッツポーズをとりながら「よし!」っと一声あげると、物置に走っていった。

 てか、マルナさん? あたなは何故そんなに足が速いのですか?

 という疑問は、マルナがもってきたドデカイ木箱で払拭される。

 しかし…。あの体型のどこに、あんな腕力があるのだろうか?

 身体強化の魔法を使っているのだろうか?

 俺はこの時、密かに決心した。

 決して、マルナに逆らってはいけないと!

 そしてマルナは中庭に、マルーノの大人2人分がすっぽり納まりそうな、大きな空の木箱をドスンと置き、指差しながら聞いてきた。


「この大きさなんだけど、大丈夫かしら?」


 ふ~む、この大きさか…。

 多分大丈夫だろう。


「うん、この大きさなら大丈夫だよ」

「よかったわ~。なら紋記号魔法だっけ? よろしくお願いね」


 木箱を置いたマルナは、そう言って満面の笑顔で家の中に入っていき、家事を再開し始めた。

 俺も急遽自室に戻り、羊皮紙を3枚取り出し、ペンとインク壷を取り出し、せっせと紋記号円を書いていく。

 内容は記憶しているので、同じものを製作するだけだ。

 紋記号を書いていたら、いつの間にか夕時となり、ライアスが帰宅し、夕食となる。

 その席で、今日の出来事を語った時に、俺の新魔法と、まだ完成してないが、なんちゃって大型冷蔵庫の話題となる。


「ダイン、今日やってくれたエナジーハンドだっけ? 体内魔力が残っているなら、父さんにも見せてもらえるかかしら?」


 うむ、体内魔力ならまだ少し残ってるい。

 だが、無理しない程度にしておかなくてはいかんな。


「うん、まだもう少しなら体内魔力も残ってるから大丈夫だよ」


 ライアスは、訝しげな表情をする。

 パパ? そんな顔しないで? ボク、何もしてないよ? ホントだよ?


「エナジーハンド? なんだそれは?」


 俺は、右手の人差し指を立てながら、その問いに答える。


「見てれば解るわよ」


 そして、俺は残り少ない体内魔力を使い、右手の形をした、少し小さめのエナジーハンドの生成を、食卓を囲む両親の前で披露する。

 出来上がったエナジーハンドを、ライアスは興味深げに見ていた。

 よしよし、驚いているようだ、このまま触ってもらおう。


「父さん、エナジーハンドに触れてみてよ」


 出来上がった、黒い人の手をした物体に、ライアスは恐る恐る右手の人差し指でツンと触れる。

 すると、ライアスは驚きの表情をし、俺に問いかけてきた。


「これは驚いたな! ところでダイン。これで物を掴んだり、触れたりする事は出来るのか?」


 お! 良い所に気が付きましたね! 流石はライアス!


「勿論だよ!」


 俺はエナジーハンドを操作、制御しながら、テーブルの上にある、俺用の小さな木製のスプーンを、摘んで持ち上げて見せた。

 それを見たライアスは、驚きと共に立ち上がる。


「おお! これは見事なものだ! このような魔法は始めてみるぞ!」


 ライアスは、驚きの声をあげる。

 俺は、エナジーハンドで摘んだスプーンを、しばらく空中で操作して見せていたが、体内魔力の限界が近づいたので、スプーンをゆっくりと元の場所にエナジーハンドで戻し、エナジーハンドを魔粒子に還元した。


「ふぅ~、今日はもう限界みたい…」


 俺は苦笑いの表情でそう言うと、立ち上がっていたライアスは、ゆっくりと自分の席に座る。


「いや、実に面白いものを見せてもたったよ、そうだな…」


 そう言うと、ライアスはゆっくり立ち上がり、中庭に向かった。

 どうしたのかと思い、食事中であったが、俺とマルナも後を付いて行く。

 すると、ライアスは中庭の物置小屋の中から出てくると、1メートル程の一本の木の棒を手に持っていて、それを物置小屋の木製外壁に立て掛ける。


「ダイン! この木の棒を、その魔法の練習に使いなさい」


 おぉ~! 期せずして練習道具をゲットである。

 ありがとうございます! お父様! 是非是非利用させてもらいます!


「ありがとう!父さん!」


 ライアスは胸を張り、威厳のある父親のポーズ!


「なに、気にするな」

「良かったわねダイン」


 マルナは、俺の頭を優しく撫でながらそう言ってくれた。

 笑顔も可愛いね!


「うん!」


 俺が、ニコニコ顔で返事をしたその時、ライアスから疑問が投げかけられる。


「ところで、さっきから気になっていたのだが…。この大きな木箱はなんだ?」


 それに答えたのはマルナである、しかもやたらと嬉しそうだ。


「それはね、食料を保存する魔道具になるのよ!」 

「あのヒンヤリする、小箱の魔道具の事か?」

「そうよ、大きい方が沢山保存できるでしょ?」

「それはそうだが…。簡単に出来る物なのか?」


 決して簡単ではございません! 非常にデリケーナ作業なのです!


「ええ、ダインに聞いたら出来るって言ってたわよ。ね? ダイン?」


 突然話を振られてしまったので、ライアスに事の成り行きを全て話す。


「―――という訳なんだ」


 長~い説明を、ライアスはふむふむと聞いてくれた。


「そうか、解った」


 その後、食堂へと戻り、3人で食事を再開する事となったのである。

 食事後俺は、自室へと戻り、紋記号円を書く作業へと戻る。

 この作業は、翌日の昼前まで続く事となるが、幼児な俺は途中で力尽き、眠ってしまった。


 そして次の日。

 何時もの様に起床出来た事に驚きつつも、いつもの様に朝食を済ませ、ライアスを見送る。

 そして俺は自室に戻り、紋記号円を書く作業に入る。

 昼前になり、紋記号円が完成した。

 そして、完成した紋記号円を、既に成功している、小さいほうの木箱に張ってあるものと何度か見比べて、記述に間違いが無いかを入念にチェックする。

 紋記号魔法が暴走すると、それはもう恐ろしい事になるとカディウスさんから聞いていたので、入念に記述の一つ一つを何度もチェックする。

 そうこうする事1時間…。

 入念なチェックのお陰で、記述に間違いが無い事が解り、俺はマルナと一緒に中庭に向かった。


 俺は、マルナに木箱の中に入れてもらい、せっせと作業を進める。

 と言っても、紋記号円の書かれた羊皮紙は、マルナに括りつけて貰わないといけないので、その作業は手伝ってもらう。

 3箇所に、紋記号円の書かれた羊皮紙を括り付けた後、俺はそれぞれの紋記号円を接合紋記号で結び、最後に起動紋記号を書き込む。

 書き込む起動紋記号は、魔粒子を大気中から自動収束するタイプだ。

 そして、3枚の羊皮紙に記述が終わると、そのドデカイ木箱の内側に、薄い魔粒子の膜が張られ、ヒンヤリしてくるのが解った。

 俺はマルナに声をかけて、木箱から出してもらう。


「母さん出して~」


 マルナは俺をヒョイと抱え、彼女も木箱に手を入れて温度をチェックしている。

 マルナは、うん! と頷いて、俺を彼女の右横に降ろしてくれた。


「ありがとね~、ダイン。これで沢山のものを保存しておけるわよ!」


 満面の笑みで俺の頭を撫でてくれた。

 紋記号魔法の暴走も無かったし、マルナも満足しているので良しとしよう。

 しかし、マルナの主婦力も大概だな。

 そして、マルナは魔道具となったドデカイ木箱〔なんちゃって大型冷蔵庫・横置き型〕をヒョイと持って、台所の空きスペースに置き、うんうん! と頷いている。

 実に嬉しそうである。

 その一部始終を見届けた後、丁度昼食の時間だったので、朝の残りのスープと小麦パンを食し、俺はその後中庭に出て、昨日のエナジーハンドの生成と操作練習を行う。

 操作練習用にと、ライアスが物置小屋から一本の木の棒を取り出してくれていたので、それで練習をする事になった。

 しかし、少し特徴的な部分はあるが、良い両親の間に生まれて良かったと思った。

 さて、とりあえず練習を再開する事にしよう。

 今日は俺の左右に、魔粒子を同時に収束させてみる。

 すると、俺の左右20センチ程横の両サイドに、黒の魔力球が生成される。

 大きさは大人の拳大だ、俺もこの動作にはかなり慣れたので、この程度はお手の物だ。

 次にイメージし、両サイドにある魔力球を、同時に人の手の形に変えていく。黒いけどね。

 昨日の倍のスピードで、変形と変質が始まる。

 消費する体内魔力も、昨日よりも小さいようだ。

 何かしらのカラクリがあるのだろうが、これ幸いと思い、中庭の物置小屋の、木製の外壁に立て掛けられた、長さおよそ1メートル程の木の棒を、両のエナジーハンドで持つ。

 後は上手く操作できるように、エナジーハンドを制御するだけだ。

 この日は、地面に○や△、□に×などの模様を書いては、エナジーハンドで拭って消す事を繰り返した。

 体内魔力も尽き始めたので、この日の訓練を止め、自室に戻る。

 俺はこの練習成果を、何時もの様に羊皮紙に記入し、紋記号魔法辞典を読み、勉強と言う名の遊びを開始する。

 ネット、ゲーム、漫画など、娯楽の少ないこの世界で、読書は最高の娯楽であると今は思える、文字も学べるしな。

 そして時間は夕時となり、ライアスが帰宅したので、俺とマルナで出迎える。

 ライアスはまず台所に向かい、魔道具〔なんちゃって大型冷蔵庫・横置き型〕を確認する。

 蓋を開け手を突っ込み、ヒンヤリしたのを感じたのだろう、「うむ!」と頷くと、自分の自室に向かい着替えを開始する。

 俺はその行動を見届けると、ほっと胸を撫で下ろしたのだった。

 その後、俺は夕食までの時間を自室で過ごし、夕食を食す。

 その席では、今日の成果である、魔道具〔なんちゃって大型冷蔵庫・横置き型〕の話題となった。


「しかし、あの魔道具は便利だな」

「ほんとね~、これで買い物の回数も、ぐっと減らせるし」

「いや、そういう問題でもないのだが…。ところでダイン、この魔道具は、どの程度の大きさまでなら対応できるのだ?」


 むむ、やはり対応出来る大きさが気になるのか。

 俺だって、完全には把握出来ていないんだけどね。


「う~ん…。多分、もう少し大き目のものまでなら対応出来ると思うけど、実際にやってみないと解らないかな…」


 俺は少し困った表情でそう言うと、ライアスは顎を摩りながら思考のしているようだったが、直ぐに元に戻る。


「そうか…。もしかしたら、王国軍でも使えるのでは無いかと思ってな。特に、遠征などが発生した場合に、食料を大量に持ち運べるようになる」


 おぉ~! さすがは突撃部隊の部隊長だ! 自軍の利益を考えている。


「なるほどね~、あなたらしい考えだわ」

「うむ、魔道具自体は、ここ4年程で普及が進んでいるが。その殆どの特許は、カディウスが所持しているからな」


 カディウスさん凄いな…。

 マジックセンサーもそうだが、一体どの位の種類の魔道具を作ったのか気になる。

 明日丁度迎えに来るし、その時に聞いてみよう。

 そんな事を考えていると、マルナが少し険しい顔でライアスに問いかける。


「ライアス、あなた…。まさかダインに、この魔道具を大量に作らせるつもりなの?」


 ライアスはフッと笑い、首を横に振る。


「まさか、まだ幼いこの子に、そんな無理はさせないよ」


 一触即発である。マルナの雰囲気が一瞬で変化したので、俺は冷や汗を掻いてしまった。

 しかし…。子供思いの父親で良かったよ…。

 ありがとうライアス!! 父として尊敬しています!!


「そう…。そうなのね、なら良かったわ」


 その後は、何時もの様に、楽しい食事の時間が再開された。

 まったく…。一時はどうなるかと思ったじゃないか!

 俺は食事後、自室に戻り、紋記号魔法の辞典を読み、夜も更けてきたので、就寝する事としたのだった。

 新魔法です、この能力の詳細は何れ明らかになります。

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