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武器召喚士  作者: どこぞの委員長
第二章~生命の樹~
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一筋の光明


どうも、どこぞの委員長です!


前回は存在の消滅のことについて、悠樹君が気付いたところで終わりました。


では、続きをどうぞ!


 過去への転送・歴史の改竄・存在の消滅、先ほどサンダルフォンが気付いた誤算、つまり『その歴史に存在しない人間が行うことは歴史に縛られず過去改変を起こすことができる』という事が判明した結果、導き出されたものだ。この件について、あらゆることを想定し考える。その時、サンダルフォンの背後数m先に影のようなものが出現し始めた。それを見た瞬間俺は気が付いた、先程までの考えは別に必要なかった事を。そう、答えは最初から決まっていたのだ。

「雪穂が存在せず、雪穂と出会わない世界。そんなもの、認めるわけにはいかねえなぁ!」

 俺は、今しがたサンダルフォンの後ろに現れた影に向かって薄く笑みを浮かべる。その影は俺の薄笑いを見ると、同じように軽く笑みを浮かべこちらに歩いてきた。その歩みはゆっくりとしたものだが、確固とした信念に満ちているのが見てとれる。

「おにいちゃんがいなくて、おにいちゃんと出会わない世界。そんな間違った世界はいらない!」

 そう言って俺の前に立ったのは、俺の妹であり何よりも大切な存在・・・雪穂だ。俺たちは数秒みつめあうと、抱擁を交わした。ああ、とても久しぶりに会った気がする。俺の存在する場所はここなんだって、そう感じさせてくれる。雪穂がいなければ世界など無いも同然だ。俺は一人じゃない、雪穂がいる限り、俺は決して負けやしない!

「はぁ、貴殿らは本当に仲が良いようで・・・・・・悠樹殿、雪穂殿、感動の再会の邪魔をしてすまない。しかし、そろそろ始めようじゃないか」

 俺は雪穂との抱擁を続けながらサンダルフォンの方へと向き直る。ずっとこうしていたいが、そうだな、そろそろ始めなくちゃいけない。この歴史を守るため、そしてトリスタンからマルクトを取り戻すため。

「雪穂、そろそろ始めよう」

「そうだね、おにいちゃん」

 再度みつめあい、お互いの考えることを理解したところで、俺と雪穂は座り込んだ。俺は第五天(マティ)の大地へ、雪穂はあぐらを組んでいる俺の足の上へ。それを見たサンダルフォンも、ため息をつきつつ第五天(マティ)の荒れた大地へと腰を下ろす。

「全員、準備は整ったか?」

 そう言って俺は足の上の雪穂、正面に座ったサンダルフォンに向かって頷く。それを見た二人も軽く頷きを返してくる。それが最後の確認、全員の準備は整った。

「じゃあ始めようか、作戦会議(・・・・)だ!」

 俺たちは一度、トリスタンに敗北している。死にこそしていないが、生き残っていられたのは雪穂・サンダルフォンの助けがあったからだ。それに、七天(しちてん)は作戦会議をするに当たって最も効率的な場所だろう。こっちが作戦会議に何時間、下手すりゃ何日かかけたとしても、トリスタンのいる地上では一分にも満たない時間しか経っていないのだから。

 作戦をたてるにはまず情報から、ということで俺たちはわかっている限りのトリスタンの情報を整理するところから始めた。まず、トリスタン(あいつ)はマルクトの神格解放を行っている。神格解放の効力は、自己身体能力の上昇。そして今回は剣に斬撃を飛ばすという効果が付与されている。

「おにいちゃん、どうして剣に(・・)その効果がついたんだろう?」

「それが神格解放の効果だから・・・いや、違うな」

 雪穂の問い、それにありきたりな回答をしそうになってふと考える。何故()だった?ただなにかを飛ばすだけなら剣である必要はない。それこそ、俺の固有結界のように手をかざすだけの方が断然速い。剣には振るという行動が伴うからだ。速度を犠牲にしてでも剣である必要があったとするなら?

「二人に質問だ。トリスタンの剣を見て覚えていることをできるだけ教えてくれ」

 俺の想像が正しければ、トリスタンの剣にはそれ(・・)があるはずなんだ。それ(・・)さえあれば、答えは単純明快な物となる。

「そうだな、トリスタンの剣か・・・鎧が鏡のように辺りの風景を反射するほどの物だったことは覚えているのだが・・・」

「うーん、剣かぁ・・・柄の部分に宝石のような物が装飾されてたぐらいで、見た目はこの時代の人が持ってる剣とほとんど変わらなかったよ?」

「なるほど・・・宝石が装飾された剣・鏡のような鎧か・・・」

 鏡のような鎧の部分がなにか頭に引っ掛かる。何故だ、俺が見たトリスタンの鎧はそんな物じゃなかった気がする。思い出せ、どこが違う?鏡か・・・鏡の特性は光の反射により辺りの景色をその鏡面に写し出すこと。鎧がそれほどの物ならば、現れた直後に俺や雪穂の姿が写ったはず。しかし、俺はその姿を見た覚えはない。ならば、何かが邪魔をして・・・ん、なにか暖かいものが頭の上に?考えるのを少し中断し、頭の上に注意を向けると、どうやら手がのせられているらしいことがわかった。そして、俺の頭に手を置く人物はこの中では一人しかいない。

「雪穂?」

「おにいちゃん、怖い顔しないで。考えるときはみんなで、だよ」

 我が妹の名を呼びながら顔をあげると、そこには座る向きを反対にして俺の頭に手をのせた雪穂の顔があった。どうやら、一人で考え過ぎて回りが見えなくなっていたようだ。雪穂が動いたことすら気づかなかったことには内心少々ショックを覚えながら、それでも雪穂の顔を笑顔で見返す。

「ああ、すまなかった。今は皆で力を合わせるときだったな。ありがとう、雪穂」

 俺は、大事なことを気づかせてくれた妹の頭に手をのせ返し、そのまま髪をすくように頭を撫でてやる。それが気持ちよかったのか、雪穂は俺の胸に頭を預けて猫のように頭を擦り付けてきた。そんな姿も可愛いなと思いながら俺は頭を撫で続ける。何秒だったか、はたまた何分だったかは分からないが、突然誰かが咳払いをする音が聞こえた。ここには三人しかいないので、咳払いをしたのが誰かはすぐにわかる、サンダルフォンだ。しかし、それでも突然の事に俺たちはビクッと体を震わせ、そのまま宙に1cm ほど飛び上がった。慌ててサンダルフォンの方を見ると、彼女がジトーとした目で俺たちを見つめているのが見てとれる。

「別に貴殿らが何をしようと良いのだがな、作戦会議をすると言ったのはどこの誰だ。全く・・・」

「すまん、つい・・・な」

「ごめんなさい、つい・・・」

 頷きをもって謝罪を受け止めた様子をしているものの、やはり視線はまだ生暖かいものが残っているサンダルフォンは、大きなため息を一つつくと先を促してくる。はよ進めよ、と言わんばかりに・・・

「んん、じゃあ今考えていたことを二人に説明しよう」

 俺は誤魔化しと気まずさの精算も兼ねて咳払い一つすると、先程考えていたことの説明を始める。鏡のような鎧になにか引っ掛かるという話だ。鏡のような鎧の話は元々サンダルフォンがしたものなので、彼女は不思議には思っていないように見える。しかしもう一人の方、雪穂は首をかしげていた。どうやら、俺と同じでなにかが引っ掛かっているようだ。俺・雪穂、サンダルフォンがトリスタンを見た位置は違った。そこに何かヒントがあるかもしれない。

「思い出した!おにいちゃん、トリスタンの鎧は四色に輝いてたんだよ!」

「それだ!色は確か・・・」

「レモン色・オリーブ色・小豆色・黒色、違うか?」

 俺が色を思い出すより早く、サンダルフォンが四つの色を提示してくる。それらの色は、あまり一緒に見ることが無い配色。ものすごく細かい描写だが、それで合っていると思い出した俺の記憶が裏付けする。この配色が間違いないのなら、最近俺たちはこの配色のものを見た。このほとんど同時には見ないであろう、四色を持った存在。それこそが・・・



「「「マルクト!」」」



 三人の声が見事なほど同時に発せられた。間違いない、鎧が発色していたのはマルクトに由来する四色。しかし、それでは俺の予想と反する。俺の予想では、斬撃を飛ばすことのできる剣そのものにマルクトが付いているものだと思っていたんだが・・・

「でもそれなら、鎧がマルクトの神格解放で何かの効果を得るはずじゃないの?」

 どうやら同じことを考えていたようだ。雪穂が、どこか納得のいかないように首をかしげる。俺たち兄妹がウンウン唸っていると、そこにサンダルフォンが手をあげた。その目が無言で訴えかけてくる、また一人で考えているのかと。そうだな、一人で考えていても仕方ない。

「サンダルフォン、鎧が鏡のようだったというのは事実なんだよな?」

「ああ、無論だ。私が貴殿に嘘をついても仕方ないだろう」

「ならば、何故鎧は四色に発光していた?」

「はんしゃ・・・?」

 雪穂が呟くように、自分で考えを落とし込むように呟く。はんしゃ、ハンシャ、反射・・・っ!そうか、そういうことか!

「雪穂、それだ!反射だ!鎧は鏡のようだった。なら、周囲のものを反射する」

「そうか、反射した光が目に写ったのだとしたら、鎧が発色していたわけではない!だが、その発光元はどこに?」

「発光元になりそうなものが一つあるよ。剣の柄に付いていた宝石、あれがマルクトなら?」

 三人の発言が疑問を次々に回答に変えて行く。三人よればなんとやら、とはよく言ったものだ。本当に三人よったら答えが出た。やはり最初の俺の勘は間違っちゃいなかったってことだ。わざわざ剣を振るという時間ロスまでして、斬撃を飛ばさなくてはならなかった理由、それはマルクトにより特殊効果が付いているのが剣だけだったからだ。それならば、あいつを倒し、マルクトを取り返すために必要なことが一つ決まったな。俺たちは頷きあい、相互に今の回答を理解したことを確認する。

「じゃあ、次だ。どうやってあいつから剣を奪うか」

「マルクトが付随してるのは向こうも分かっているはずだ。そう簡単には渡してくれそうにないが、貴殿らに何か考えはあるか?」

「それは・・・なかなか難しいね。おにいちゃん、何か思い付く?」

 俺は雪穂の質問に対し、首を横に振る。警戒している相手から物を奪うことは容易ではない。それこそ戦うための物、自らの命を預けるものならば尚更だ。それに、トリスタンは(それ)がある限り俺たちに負けることはないだろう。下手に戦ったら負けるのは目に見えている。そしてその事実は、言い換えると、(あれ)を奪わない限り俺たちに勝ち目はない、ということでもある。さて、どんな方法をとれば、あんな化け物じみた奴から剣を奪うことができる?こっちは三人がかりでも一旦引くほどの強さを誇る・・・

「あ、この手があった・・・」

 俺はポツリと呟くと、だれもいない方向に右手をのばしさらに一言、こう呟いた・・・



次元破壊ディメンションブレイク!」




はい、今回も読んでいただきありがとうございます!


なかなか話が進みません、すみません・・・


ちゃんと次回はトリスタンとの戦闘にするつもりですm(__)m


というわけで、次回もよろしくお願いします!



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