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武器召喚士  作者: どこぞの委員長
第一章~ファイント~
30/56

あの地へと・・・

どうも、どこぞの委員長です!


活動報告にも書かせていただきましたが、土日で更新出来ず、すみませんでした。


そして、前回はファイントの大爆発、悠樹君の新技の登場、というところで終わりました。


その続きです、どうぞ!


 超大型のファイントが眼前で大爆発を起こした爆風と衝撃は、これまで受けた攻撃のどれよりも強力だった。絶対神聖守護領域ホーリーサンクチュアリを張ったにもかかわらず、俺とオブサーバーの体が数メートルほど後ろへと吹き飛ばされてしまったのだ。地面にぶつかった衝撃で痛む体を無理やり起こすと、目の前にはさっきまでファイントだったモノの破片が落ちていた。

「これはまた、派手に吹っ飛んだもんだな・・・」

 声のする方を向くと、俺同様地面に倒れていたオブサーバーが立ち上がったところだった。見た感じオブサーバーの方に怪我はなさそうだ。ホッとしてあたりを見回すと、そこらじゅうがファイントの残骸で埋め尽くされている。うわぁ、これはまた派手に飛び散ってやがるな。オブサーバーと同じような感想が出てきたことに苦笑を漏らしながら、その残骸の一つに近づく。あれほど大きく、そして強かったファイントが一瞬で残骸と化すなんてことがあるだろうか。だんだん近づいてくる残骸を見ながらそんなことを考えていた俺は、突然オブサーバーに腕を掴まれた。驚いて振り返ると、そこに見えたのは戦闘の時に見せる顔をしたオブサーバー。オブサーバーは、ある方向を指で示しているようだ。チラリとそちらへ視線を向けた俺の顔が、一瞬で凍ったように動かなくなる。

「どう・・・して・・・」

 俺は無意識のうちにそう呟いていた。俺の視線を向けた先、オブサーバーが示していた場所にあったのは、巨大なナメクジのような塊。これまでの経験から導き出されたそれの正体、それは超大型のファイント(・・・・・・・・・)だった。でもいったいどうして?さっき俺たちは、安全装置の直接爆破という方法で超大型ファイントを倒したはずだ。そして、ファイントを創り出せるオブサーバーはずっと俺の隣にいた。ファイントを創る隙なんてなかったはずだし、そもそも創る理由が無い。

「まさ・・・か・・・」

 掠れた俺の呟きに、オブサーバーは軽く頷く。どうやらオブサーバーも同じ結論に至っているようだ。確かに、倒して暫くすると消滅するはずのファイントが消えていないという時点で、軽く予想はしていた。だが、それが実際のこととなると信じることができない。いや、信じたくないのだろう。ファイントを粉々に破壊したら残骸がまだ生きていた、なんていう事を。それも何故だかわからないが、さっきより大きくなっているなんていう事を。

「---ッ」

 仲間たちはどうなった!そう思ってあたりを見回すと、いた。どうやら全員無事な様子だ。だが、悠長なことは行っていられない。早急にアレを何とかする方法を考えなくては。もう一度そいつを見ようと動かした俺の顔が、また凍った。それもそのはず、さっき爆破したファイントの残骸という残骸が膨張を開始したのだ。そして、ある程度の大きさになったものから、ナメクジみたいな体を震わせ移動を開始していく。行先は、最初に確認した一番大きいナメクジ型ファイントの方だ。どうやら俺たちに興味は無いらしい。変だな、これまでファイントは目に入る全てを攻撃していたはずだ。どうして俺たちをスルーするんだ?

「マズい!」

 俺はそれに気づくと同時に走り出していた。一番大きい奴を合わせて、あいつらは合計13匹(・・・)いる。そりゃあ爆破されても動き回るよな。だって、あいつらはもともと13人(・・・)の騎士たち、円卓のメンバーで作られたんだから・・・

「おい悠樹、何がマズいんだ!」

「すまないが説明してる暇はない!武器を一本飛ばしてくれ!早くあそこへ行かないと!」

 オブサーバーは怪訝そうな顔を一瞬見せた後、帰ってきたらすぐに教えろ、という言葉と共に一本の剣を俺に向かって飛ばしてきてくれる。手を振って感謝の気持ちを示すと、俺は武器が横をすり抜ける瞬間にそれを掴み、一直線にファイントが集まる場所へと突っ込んでいった。今まで忘れていたが、ここは姉ちゃんの固有結界みたいな所だ。おそらく、あいつらがやろうとしていることは、現実世界への到達(・・・・・・・・)。そうなったら、何人死傷者が出るか分かったもんじゃない。唯一救いがあるとすれば、13匹に分裂した弊害か、レベルはⅩ位と認識できるところまで下がっているということだろうか。それでも、十分強いけれど・・・

「お兄ちゃん!」

 あと少しでファイント群団に到着するといったところで、俺の隣から雪穂の声が聞こえた。ハッとして横を見ると、地面を凍らせ、その上に自分が乗った氷塊を置いて滑って来る雪穂の姿が見て取れた。おいおい、そういう移動方法あるなら飛ぶ必要なかったじゃねえか!という心の声は無視するとして、雪穂はどうして此処に来たんだ?いや、どうして来れたんだ、といった方がいいだろうか。俺はオブサーバーを追いかける時、雪穂の作り出した氷塊に乗り、皆の武装解放で吹き飛ばしてもらった。基本的に、武装開放を使うと小一時間は行動が抑制される。こんな大掛かりな仕掛けを作って移動するなんてことは不可能なはずなのだ。

「私、あの時、武装開放してないからね」

 俺の考えを読んだかのように雪穂が答えてくる。それなら納得、って武装開放使わなかったのかよ!どうせ雪穂のことだ、この後に何が起こるか分からないと思って、氷を出す係は武装開放しなくていいよね、みたいな感じで力を温存していたのだろう。結果その判断は正解だったわけだ。正直、アレを一人でさばき切るのは結構無理があると思っていた、というか無理だ。ここで雪穂という戦力が増えることは、俺にとってかなり有利に働く。といっても、敵がレベルⅩファイント13匹とかいう化物クラスなので、一緒のような気もするが・・・

 そうこうしているうちに、俺と雪穂は敵の真っただ中に到着した。やはりというかなんというか、俺たちが真下にいてもファイントたちは一向に無視の姿勢を貫いている。

「雪穂、一応警戒は・・・うわっ!」

「わっ!」

 俺の言葉の途中で目の前の風景が突然揺れだした。地震かと思ったが、揺れているのは地面ではないようだ。あたりを見回すと、ひと際大きい奴を先頭にファイントが二列に整列し終わった所だった。現実世界への進行が始まったのだろう。

「雪穂、手を!」

「うん!」

 途中ではぐれないように俺は雪穂と手を繋ぐ。現実世界に帰ってみれば俺一人ファイント13匹に囲まれてました、なんてオチは嫌だからな。予想通りだったとはいえ、レベルⅩファイント13匹か・・・一気に固有結界に入れるのは不可能だな。町に被害が出るのは避けられないだろう。それに、倒しきれなくて俺と雪穂が死んだ場合、歯止めを失ったファイントたちは町を、いや、世界中ですら破壊し尽くすだろう。そうなったら終わりだ。なんとしてでも止めなくては!雪穂の方を見ると、雪穂も決意に満ちているのが分かる。俺たちは頷き合い、薄れていくあたりの景色の中で、次の戦闘への決意を確認し合うのだった。








「・・いちゃん、ね・・・ちゃん」

「ううん・・・」

「お兄ちゃん!」

 誰かに呼ばれて、俺は慌てて体を起こす。目の前には俺を起こしてくれていたのであろう、一人の少女がこちらを見ていた。

「ここは・・・」

 どうやら、俺はアスファルトで舗装された道路に倒れていたようだ。俺はどうしてこんなところにいるんだ?まだ意識のはっきりしない頭で、これまで何をしていたのかを思い出してみる。えっと、確か超大型のファイントを倒して、何かに気付いたんだ。そして、雪穂と二人で敵の中に突っ込んでいって、現実世界に・・・

「---ッ!雪穂、ファイントはどうなってる!」

「それが・・・」

 雪穂から事情を聞くと、どうやら結構大変な状況になっているようだった。雪穂の話をまとめると、大体3つのことが分る。まず、俺たちがたどり着いたのは首都の幸野(こうの)である可能性が高そうだという事。しかし、人々の雰囲気を見る限り、これまで俺たちがいた幸野(こうの)ではなさそうだという事。最後に、これが一番厄介なのだが、13匹のファイントはどこにも見当たらないという事。どういうことだ?現実世界へ戻る段階で何らかのトラブルが発生したのか?

「考えてても仕方ない。雪穂、情報を収集するぞ!」

「分かった、聞き込み調査だね!」

 俺は頷くと、雪穂と共に、おそらく幸野(こうの)であるはずの場所へ一歩を踏み出していった。

 順調に行くかと思った聞き込み調査だったが、そう簡単ではなかった。まず、時間が深夜の0時過ぎだったという事。これがタイミング的にマズかった。俺たちの服装はセントラルバージスの制服、つまり時間的に深夜徘徊で補導されてしまうのだ。そして、時間的に外に出ている人が極端に少ない事。これも聞き込み調査には向かない状況だった。小一時間町を歩いてみたが、結果として得た情報は皆無。もはやこれ以上聞き込み調査を続けるメリットはなさそうだ。そういうわけで、俺たちは朝になるまで休息をとることにした。ホテルなどに泊まりに行くわけにもいかないため、とりあえずは路地裏の人気のないところで交代で寝ることにする。こうして、謎の場所へと飛ばされた俺たちの初めての夜は過ぎていくのだった。

 翌日の朝、俺が目を覚ますと隣で雪穂が寝ていた。どうやら見張りをしながら眠ってしまっていたようだ。俺は隣に寝ている雪穂を起こさないように立ち上がると、大きく伸びをする。さあ、今日こそ聞き込み調査を始めよう。そんなことを思った時だった。

「きゃー!」

 俺の耳に女の人の悲鳴が聞こえたのだ。

「雪穂、起きろ!何かあったみたいだ!」

「うにゅ・・・え?」

 再び悲鳴が聞こえる。雪穂もそれが聞こえたのだろう、一瞬で戦闘モードへと顔つきが変わった。俺たちは互いに頷くと、悲鳴のする方へ走り出す。数分してそこにたどり着くと、そこにはファイントに宙づりにされる女性と、それを助け出そうとする男性の姿があった。男性も女性も自分たちに何が起こっているのか分かっていないようだ。それもそうだろう、ファイントは武器召喚士にしか見えないのだから。そこに突然、別の男女二人組が飛び込んできた。その二人の手には、剣と刀が握られている(・・・・・・・・・・)

「大丈夫か!」

「今助けます!」

 後から来た二人はどう見ても武器召喚士、俺たちと同じ能力の持ち主だ。だが、あのファイントは2人では荷が重い。俺たちが助けに入るべきなのは、火を見るよりも明らかなことだ。だが、その姿を見、声を聞いた俺たちは一歩も動けなくなってしまった。あの姿・・・あの声・・・あの二人は・・・


父さん(・・・)

お母さん(・・・・)


はい、今回も読んでいただきありがとうございます。


ついに出てきたあの二人!


これからどうなっていくのか!


次回をお楽しみに!


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